第10話 これは戦争なのだ
そもそもこの監視魔術具をつけるに至った話し合いでは、まだ誰が担任になるかは決まっていなかったため私自身『監視魔術具を設置すれば万が一私が担任になれなかった時にこれを使って蹴落とせることができるかも』と思って賛成したのである。
もちろん、そのほかにも生徒達がクロードきゅんとイチャイチャするのが許せないという私怨も当然ある。
言い換えればクロードきゅんに手を出そうとした女性全員を蹴落とすために設置したと言っても過言ではないのだ。
そもそもこの話は私とその他教員という話ではなく、私とその他学生を含めた女性達とのクロードきゅん争奪戦なのである。
であれば教師である我々はまず生徒よりも優位に立てる環境作りをするのは当たり前だろう。
これは遊びではない。 戦争なのだから。
ここ帝国では高等部を卒業した成人男性は月に一度の精子の提供が義務付けられているのだが、だからと言って結婚できないという訳ではない。
確かにほとんどの男性は精子提供だけして後は自由気ままに結婚もせず暮らすというものも少なくはない。
それに男性は国の物であり市民のものではないという考え方から隣の聖王国などは自国の男性との婚姻関係を結ぶのは違法とされていたりする国もある。
しかしながらここは帝国では自国の男性は婚姻関係を結んでも違法ではないのだ。
今までは男性と法律上は結婚できようができまいが私には関係ない話だと思ってあまり深く考えていなかったのだが、今になって帝国に生まれて良かったと思ってしまう。
ちなみに法律上は一人の男性につ六人まで婚姻関係を結ぶ事が許されている。
だからこそ、これは戦争なのだ。
その六人しか入れない枠組を生徒教師含めた女性達が取り合うのだから。
ちなみに今年二百歳を迎えるエルフの若づくりババァの校長先生までもがクロードきゅんを狙っているらしいので権力で無理やり婚姻関係を結ばないように私の目が黒いうちはしっかりとクロードきゅんを守ってやらなければと再度強く思う。
そして、その思いは私が受け持つクラスに近づくにつれて禍々しいオーラを感じてしまい、肌がそのオーラでチリついて来るたびにさらに強く思ってしまう。
おそらく、いや、間違いなく私のクラスメイトはどこで仕入れたのか分からないのだがクロードきゅんが自分達と同じクラスになることを分かっている。
そして間違いなくクロードきゅんの天使すぎる容姿を見たら全員が恋してしまうだろう。
「これは……気を引き締めねばな……」
「何か言いましたか?」
「いや何もない」
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