第8話 魅力的な身体

 なるほど。 小等部と中等部は男性も同じ校舎へ通っていたのだが女生徒たちが収集付かなくなり授業どころではなくなった結果、今現在帝国の法律では中等部までは男性は女性と同じ校舎で学ぶ事ができない状態であり、早くても高等部からというのが現状である。


 その為ここで俺が何か問題を起こした場合は高等部まで男性は女性と一緒に学ぶという選択肢を奪われる可能性が出てくるという事であろう。


 言うなれば俺の行動一つが未来の男性のバラ色の学園生活を奪われかねないから大人しくしろというカレンドール先生からの忠告なのだろう。


「なるほど、男性が女生徒と学べる機会は残して行きたいですもんね。 その機会を俺で潰してしまうのは確かによろしくないですね。 カレンドール先生、忠告ありがとうございました」


 そして俺は学園で通う日の為に毎日毎日鏡の前で練習してきたイケメンスマイルを炸裂させる。


 流石に大人の、それもクールビューティーなカレンドール先生には効かないだろうが気持ち悪がられないか最終確認という意味でも使ってみる事にした。


 感謝の言葉を伝えるというシチュエーションであれば俺がイケメンスマイルをいきなりぶっこんで来ても何らおかしくはないだろう。


「い、いや……ま、まぁ一応私はクロードの担任だからな。 他にも些細な事で良いから私に頼りたい事があればいつでも頼りに来て良いからな」

「はいっ」


 うん、やはりカレンドール先生は大人の女性であり、高等部といえどもまだまだ俺は子供という認識なのかもしれない。


 確かに異性の子供がほほ笑んだところで俺もなんとも思わないしな。


 だからあんなに練習した俺のイケメンスマイルが無駄だったという事ではない。 多分。 きっと。 恐らく……。 そう思いたい。


 しかしながら、だからといって気持ち悪いとかではないようなのでその点に関しては一安心であろう。


「では、これからあと十分ほどで朝のホームルームが始まるので初日は私が先ずクラスメイトにクロードの事を説明してから教室へ入ってもらう。 何の説明もせずに男性であるクロードを教室に入れるのは猛獣の中に生肉を入れるのと同じようなものだからな」


 そして俺はカレンドール先生の後をついていくのであった。





 教師という仕事をして数年。 今年で二十六歳である。


 日々ジムにも通い、肌のケアを怠っていない私のこの身体は彼の目にはどう映ったのだろうか。


 ハッキリ言ってそんじょそこらのクソガキ共よりも魅力的な身体であると自負している為クロードきゅんの感想が気になるのだが、さすがにそんな事を聞けば最悪クロードきゅんに訴えられかねないのでぐっと我慢して理想の先生像を演じ続ける。


 流石に立場上セクハラで済まされない上に、せっかくクロードきゅんと一緒に働けるだけではなく、先輩後輩関係なく血で血を洗う戦いで勝ち取った担任というポジションをこんな事で手放したくはない。

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