第6話 女性たちの怨嗟の声
その周囲の反応を見た俺は、ゾクゾクゾクと何とも言えない優越感が湧き上がってくる。
あぁ、あの辛くて暗い前世を耐え抜いたからこそ神様が俺に与えてくれたご褒美なのだろう。 と本気で考えてしまうくらいには今俺はまさに人生の絶頂期にいる。
そんな事を思いながらさらに集中して耳をすますと──
「男の癖に……」
「どうせ他の男と同じように直ぐに逃げ出す癖に」
「男は精子だけ提供していればいいのよ」
「汚らわしい」
「どうせ魔術もろくに行使できない、女性に守られるだけの存在の癖に」
「ほんとそうよね。 男性ってだけで働きもせずに死ぬまで遊んで暮らせるんだから」
「なんで働きもしない遊んでばかりの男性を養っていくために私達が汗水かいて稼いだお金を税金として使わなきゃいけないのよっ!」
「国を守るのも治安を維持するのもインフラを整備するのもあれもこれも全部女性がやっているんですよっ! 不公平ですわねっ!」
──黄色い声に隠れるようにして聞こえてくる女性たちの怨嗟の声。
うん。 彼女たちの気持ちは痛いほど良くわかるのだが、その怒りをまるで男性代表であるかのように俺へぶつけてくるのは止めて欲しいな。
ほら、俺メンタル豆腐だし。
そんなこんなで黄色い声と怨嗟の声を聞きながら俺はニーナに先導される形で俺が今日から学ぶクラスも担任がいる職員室へと向かっていく。
嬉しさと悲しみが両方とも最高値という、言葉では言い表す事が出来ない感情を抱きながら俺はこれからの事に思いをはせる。
確かに陰口は気持の良いものではないのだが、どうせ俺に言っているのではなく俺の後ろにいるこの国の制度と男性たちに文句を言っているだけなのだから気にするだけ無駄だと割り切って生きて行くしかないだろう。
そこさえ目を瞑れば学園ハーレムを堪能できるのである。
であればこそ、マイナスの言葉はシャットアウトするのが正解だろう。
そもそも俺に文句を言ったところで、その文句の殆どは俺にはどうしようもない内容ばかりなのだから、そういう内容を言ってくる方が悪いのだ。
聞いて欲しければ『男性』ではなく『俺個人』に宛てた文句を言ってきて欲しいものである。
そしてさすがここのОBであるニーナ。 その足取りには迷いは無く、真っすぐに職員室へと向かってくれたため、十分もせず最初の目的地である職員室の扉の前へと到着すると、ニーナはノックを三回して『どうぞー』と返答を聞いてから『失礼します』と職員室へ入っていく。
「話は聞いている。 お前がクロードか。 先に言っておくが私は男性贔屓はしない性分でな、男性だからといって甘やかしたりは決してしないというのを先に伝えておく」
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