第4話 青春を謳歌したい

 むしろそんな状態で俺が餓えに餓えた女学生たちがいる魔術学園へ高等部といえども通学しても良いものかと不安になる。 むしろ高等部だからこそヤバそうだと思うのは俺だけなのだろうか?


 恐らく性に関して一番興味がある年代であり、それはそのまま異性への関心の強さに比例するのではなかろうか?


 しかしながら今まで小等部や中等部は男性が通った結果授業どころではなかったという前例があるのだが、高等部に関しては男性の親が自分の可愛い息子を守るために半強制的に国の保護施設へと預けている為問題があったという前例どころか男性が通うという事がそもそもないのである。


 流石にさかのぼればあるにはあるのだが、それも数百年前の話であり、今の環境に当てはまるのかと言われれば疑問しかない。


 とりあえず帝国的には『流石に十五歳ともなると落ち着いて来て感情もコントロールできるだろう』という事らしいのだが、大の大人の女性ですら俺を見て発狂する者がたまにいるくらいなので正直言って『そんなわけないやろ』というのが俺の率直な考察である。


 しかしながら、ではなぜ俺が帝国の保護施設に入って男性たちと青春を謳歌しないのかというと、そんな事は決まっている。


 異性と青春を謳歌したいからである。


 男性との青春はハッキリ言って前世で嫌という程やり尽くしたのだ。


 とりあえずあれやこれやと今までのように建前で本音を隠したりせずに言うのであれば『女の子からチヤホヤされたいっ!! 少しくらいいいではないかっ!! 前世から合わせて今日までの約四十年前後も我慢して来たんだっ!! 俺だって女の子キャッキャウフフの青春を謳歌したいっ!!』というのが本音であり、その感情をいままで隠して今日まで生きて来たのだ。


 その結果、俺は晴れて男子ばかりの保護施設ではなく女子だらけの魔術学園への入学という楽園を手に入れたのである。


 確かに、この世界は俺が描いていたような世界とは異なり、当初こそは『違う、そうじゃない』と思っていたのだけれども(今も少しばかり思っているのだが)女性全てが行動力に溢れた変態というわけでもあるまい。


 そう思っていた俺の考えは浅はかであり、当初抱いていた懸念が割と当たっていたという事がこの後すぐに分からされることになるのだが、それはもう少し先の話である。


 そもそもこの世界では何故中等部まで男性は女性のいる学び舎で一緒に学ぶことが出来ないという法律が出来てしまったのかという事をこの時の俺はあまり深く考えていなかった。

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