第4話 みょうが

沢山もらっちゃった。と母さん。

ザルいっぱいに入ってるモノ、それは


みょうが


職場の人に貰ったらしい。

なんか知りませんがその方は実家が農家で

結構な野菜を今までも貰ってきた。


へぇ、みょうがを栽培してるんだね、珍しい。

と俺が言うと


「外のトイレの脇に生えてるらしいよ」と母さん。


外にトイレとは今の世の中では中々である。

いや、外で中々とか、日本語は複雑。


因みに俺んちでは刻んで素麺の薬味ぐらいしか

したことない。


じゃあググろうってことになったので

オッケイさんにお願いした。


みょうが 料理


俺と母さんは

みょうがのゴマ味噌田楽の画像に飛びついた。

いや、食いついた。食べ物なので言いかえた。


画像をクリックするとなんか変なサイトに飛んだので

すぐ消した。


じゃあそう言った感じで作ろうという事になった。


半分に切る。

味噌と・・・。

なんと!砂糖が切れている。

仕方ないのではちみつ入れた。


そして塗る。

トースターで適当に焼く。

チンと音がする。

取り出す。

ゴマ振りかける。


母さんと俺は笑顔。


しかし、ここで問題が発生。


未だにザルに残っている。

もう、間違い探しのレベルで減ってる気がしない。


それじゃあってことで

刻む。刻む。そして刻む。


素麺をゆでる。


味噌田楽と素麺。


薬味はみょうが。チューブのワサビ。

もう主役がみょうがでトッピングが素麺。


「おいしいね、勇樹さん」と母さん。

「おいしいね、母さん」と俺。


みょうがを食べると物忘れが激しくなるみたいだね。

と母さん。


よくご存じで。


まぁでも噂っぽいアレでしょうといったが

再度、オッケイさんに尋ねた。


みょうが 物忘れ


いきなりでっかい、みょうがの絵と共に


「わすれっぽいのはあなたのせい」との文字。


まぁこんなものは色々と、そう、諸説ある。


さっきオッケイさんに教えてもらったのは

インドのお坊さんとか落語とか出てきたので


俺も考える。


ある所におじいさんとおばあさんが居たんだよ。

おじいさんとおばあさんの家は昔ながらの家なので

トイレは外にあったんだ。


おじいさんは「こりゃいかん、もれる」と

イソイソとトイレに行く。


用をしようとし、ふと横を見ると、なんか

・・・こう、何か、そう、形がよくって

食欲をそそるようなものが生えていた。


どうやらじいさんは用より食欲が勝ったらしく

することしないでそのなんか生えてる先っちょを

むしり取る。


匂いを嗅ぐ。これはいい物だ。

少しかじってみる。苦い、が癖になる。


婆さんにも勧める。婆さんはペッと吐出し

刻んで素麺の薬味にしようと言った。


そしてふたりはみょうがを薬味に、おいしそうに

素麺を食べた。


そして婆さんが爺さんを見るとなんと!


漏らしてた。


婆さんは言う。

「みょうがのせいで用をするのを忘れたんかい!」


おそまつ。


ってどお?母さん。と俺。


「勇樹さん?ちょっといいですか?」と母さん。

「えぇ、なんでしょう、母さん」と俺。


それってみょうがを食べて物忘れじゃなくて

みょうがが気になって物忘れよね?


と辛口の批評。


じゃあいきなり食った事にしよう。

トイレで。

と言うと母さんは


それでいいから早くそうめん食べて。

固くなる。と。


どうやら俺は




みょうがを食べて

素麺を食べるのを忘れていたらしい。






















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