第3話 桃

「母さんや、ちょっといいかな」と勇樹。

「なんでしょうか?勇樹さん」と母さん。


今年の夏は暑い。おかしいくらい暑い。

だからエアコン入れよう、エアコン。


まだ朝の10時だ。ここ神原家ではエアコンは

寝る前とお昼13時から18時までしか入れない。

電気代の節約をしないといけない、そんな家計。


母さんは、窓を開けて扇風機を回しましょう

と言うと、窓を開けた。


凄い熱気が部屋に入ってきた。

俺は3秒で窓を閉じた。


「母さんや、ちょっといいかな」と勇樹。

「なんでしょうか?勇樹さん」と母さん。


よそう・・・そういうの。

もう我慢の限界だ。俺はエアコンのスイッチを入れた。


勇樹さん、少し疲れてるの?元気がないみたい。

母さんはそう言うとちょっと心配している風だった。


俺は、夏バテかなぁ。という。

母さんは、「夏バテとは?」と返す。


う~ん。暑くてへとへとになる感じ?と俺は言う。

母さんはもっと詳しく教えてと言ってきたので

グーグルさんにお願いした。


夏バテとは・・・

高温多湿の夏に体が対応できず、体がだるい、疲労がとれない等

夏に起こる体の不調

室内外の温度差による自律神経の乱れ

高温多湿の環境による発汗の異常

などなど。


「まんまだねぇ、勇樹さん。」と母さん。


その時にチャイムが鳴る。

俺は返事をしてドアを開ける。

見知った人だった。ここの大家さんの娘さんだ。

俺は知った人だったので腕を引っぱり玄関の中に入れ

2秒でドアを閉めた。


「なにすんのよ、強引ね、勇樹君。好きよそういうの。」

なんか面倒くさくなりそうだったので

上がってもらった。


「これ、唯ちゃんからの差し入れ、桃よ、桃。

 冷やしてきてるのですぐ食べてね」


と、発泡の箱に入って、中にはドライアイスが入って

そして、桃さん、ようこそいらっしゃいました。


「勇樹さんや、ちょっといいかな」と母さん。

「はい、なんでしょう、母さん」と勇樹。


おいしいね、冷たくて。


そういって微笑み合う。


「あんたたちってホント仲がいいわね。」と美香。


ところでさ、桃太郎って話あるじゃない。と美香。

ありますねぇ、と桃を食べながら勇樹君。


あれ、どうやって中に入ったのかなぁ、と美香さん。

魔法で入れたんじゃない?と中二病の母さん。


種の中にはいってたのかなぁ、と美香さん。

でも割った時に種らしい描写ないわよね、とリアルな母さん。


俺はグーグルさんにお願いした。

「桃太郎 種」


そう言うと画面には何故かトマトの事が出てきたので

画面を閉じた。


童話にリアルは追及してはいけないよ、

と大人げないことを言う勇樹君。


婆さんが割った時によく桃太郎を切らなかったわよね、と美香さん。

剣の加護をお婆さんが受けてて達人だったのよ、と中二病な母さん。


こんな風に童話を突っ込む大人にはならないと誓った勇樹君。



そして、少し思案して勇樹君は言った。


桃太郎はどこからか異世界転移してきた人で、

転移した場所が桃の中で

「どうすんだよ、これ。この状況。」と思ってて

どんぶらこ~と川に流されて

「やべえ、まじやべえ」と言ってる時に

おばあさんに拾われて、割られて

「あぶねえ、あぶねえ、切られるとこだった」とか言って

でも桃の中から助けてくれたので感謝した。

んで鬼が居るってことで

「鬼人族!?いるのここ!みたい!会いたい!」とか。

んで、犬耳族(犬)とゴブリン(猿)、・・・・。

キジはどうしようか、うん、

そうだ「キジ」って名前の魔法使いでいいや。

と4人で旅に出る。


というのが本当なんだよ。と勇樹君。


母さんは「はいはい、勇樹君は厨二病ね」と笑いながら

こっちを見てた。


母さんに厨二病っていわれたくねえよ、

と思ったが言わなかった勇樹君。



ちょっと元気になった勇樹君でした。















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