第38話

 再開されたその日の巡回も、無事に終わった。


「どう見る?」


 ガイアン達三人は再び、宿舎の部屋で話していた。バルキエールは、いなかった。


 ガイアンの言葉に答えたのは、シャウタールだった。


「暫くは、此の儘…いつ変化が、訪れるか?」


「砦に誰か、確実に潜んでいやがる」


 ガルボックが、言った。


「炙り出せるか?」


「どうやって?」


「だよな…明日は、発たなければ」


「砦に、お別れを」


 シャウタールが、言った。


「お別れだな」


 ガルボックも、言った。


 次の日の朝、三人は司令官に軽く挨拶すると、それぞれ馬に跨がって門を出ていった。


 事態が解決したらしいが故だったが、傭兵がいなくなると砦の空気は、緊張と陰鬱が増大した。とはいえ、表立って司令官に苦情を言いに行く者も無かった。辺境の、厳しい暮らしの中に居る開拓者達は、或る面無気力に成る所が有った。

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