第39話

「冬備えの馬車が、着きました」


 司令官室に入って来た兵士が、言った。ガイアン達が砦を出ていって数日が、経っていた。無事に、過ぎていた。段々に日常的な空気も、戻って来ていた。


「早いな!」


「雪の訪れも、早いと見られているそうです」


「いつも通りの、応対で…後で、挨拶に行く」


「承知しました」


 既に何日も、太陽を見ない日が続いていた。雲の分厚さは日々少しずつ、増しているかの様だった。


 馬車は、二台だった。人々が、集まり出していた。冬籠りに必要そうな物が様々、積まれていた。砦に運び込まれる、物。人々に、配給される物。売り買いされる、物。

 辺境である。馬車の到着自体には、心華やがせてくれる感じも有ったが。

 意味する所は、冬の到来の前触れだった。


「おたくらの、司令官は?」


 御者の一人が、尋ねた。


「後で」


「手紙、有るんだ」

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