第35話
五日間、ガイアン達には何も起きなかった。
デアリア方面への巡回は、それ程の距離は行かない。朝出発して、午後には砦に戻る道行が、五回。三日目からは、バルキエールは同行させなかった。
いつ何が起こるか判らない、最大限の緊張と集中を続ける疲労は無論有った。が、現実の危険は訪れなかった。
しかし、デアリア領界と呼ばれる森には確かに、何かが感じられた。デアリア鉱山の恐ろしい名前に支配されて付けられた呼び名では、無さそうだった。
入った瞬間の印象は、五日間の巡回の中でますます、強く成った。
それはつまり、デアリア鉱山には今も、何らかの力、何らかの危険が潜むのだと言う事を、示してもいた。
何か、敵意の様な物。人間やドワーフやエルフだからというので無い、あらゆる存在への根元的な、何か。
獣達が少ないというのは、土地が痩せているからだけでは無さそうだった。
「此処で、迷いたく無いな」
ガルボックが、言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます