第34話

 言いつつも、ガイアン達には特に話し合いは、無かった。

 何も言わずシャウタールが一人離れて、先頭に立った。無造作な、感じだった。


「ガルボック殿は、魔法を使うと聞きました…シャウタール殿に何か、守りを働かせる様な事は、出来ないのですか?」


「出来ない訳じゃ、無いがな」


 バルキエールの問いにガルボックが、答えた。


「どんな奴が襲ってくるのか、判って無い…こっちが魔術を使ってたらそれを、感じ取ってしまうかもしれない。何か別のやり方、仕掛けてくるかもしれない…シャウタールの腕を、信じるしか無い」


 ガイアンが、引き取って答えた。言い方は落ち着いていたが、目は鋭かった。


 やり取りに無関心そうにシャウタールは馬を進めて、森に近付いていた。


「危険は、犯さない訳にもいかないからな」


 再び、ガルボックが言った。


「判りますが…」


 バルキエールはやや、不満そうに見えた。


「何か有ったら、あいつが一番上手くやれる…それに、今度も一人の奴が襲われるとは、限らない」


 シャウタールの姿は、木々に隠れて見えなくなった。



 全員が、森の中に入った。木々にも土にも特に、変わった何物も無かったが成る程、デアリア領界という呼び名も判るなとガイアンは、感じた。

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