第6話 通約のビオランに町を案内して貰う
ただひとつ面白く日本人に分かりやすい言葉がある。汚い醜いはキラーイだ。実にユニークで覚えやすい。勿論彼女との最初の会話はサバーイ・ディーから始まった。なんとも明るい子で通訳以外でも彼女の明るさと笑顔には日本人スタッフも癒された。祐輔は英語なら普通に会話出来るがラオー語は全くできない。教えて貰ったあいさつ言葉くらいだ。よって二人の間では英語で会話する。
背丈は大きくないが肌は浅黒くキュートな感じで特に眼が魅力的だ。
ビオランだけは祐輔が橋の話をしても、嫌な顔どころか眼を輝かせて訊いてくれる。ある休み前の前日、ビオランに街を案内して上げると誘われた。もちろん祐輔は断る理由はどこにもない即座にOKした。そのビオランと一緒に行ったのはごく自然であった。
祐輔だけが独身の特権だろうか? それと世帯持ちの連中は気を使ったのか? 二人で行けと言わんばかりに配慮してくれた。いま思えば日本人スタッフは仕事以外プライベートな時間は殆ど取れなかった。
観光なんて甘え考えだと思っていたが、彼女のおかげで観光気分を味わえそうだ。その彼女が案内してくれたのはラオスの中都市を車で案内してくれた。
本当は首都ヴィエンチャンに連れて行きたいが日帰りは無理なので名もない街で我慢してねと言う。彼女が運転する車は、なんと彼女の自家用車だという。
日本とは経済事情が違う、この国で若い女性が自分の車を持っているは珍しいそうだ。こんなに若くて車を持てるのだから裕福な家庭で育ったのかと思っていた。
せっかく案内をしてくれたビオランに申し訳ないが、特に観光地らしいものは見当たらないそんな表情は押し隠して風物の三輪タクシーに乗り、町をひと周りしてから食事をした。自分の車があるのたがらタクシーじゃなくてもと思ったが地元の人間は地理に詳しいのと上手い店を知っているからだ。
野外テントを張った店には豚、鶏、スープに細い米を合わせた物を日本円にして七十円ほどで食事が出来るが日本人だったらタクシーも食事も二倍から三倍はふっかけられるだろう。すべての値段は交渉で決まるらしい。慣れない日本人には不便でならないが、その点ではビオランに感謝だ。
つづく
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