第3話 国境の町 サラバンに到着
いよいよ準備が整い、裕輔達一行は成田から一路ベトナムヘと向かった。
成田空港からの直行便でハノイに到着した。ここから鉄道を使って行くのかと思ったら、なんと車で行くそうだ。舗装のない悪路を揺られ丸一日掛けてやっとベトナム側のラライを超えてすぐのラオス側に渡った。国境に近い町のサラバンに到着した時はクタクタだった。
このサラバンの町はラオスが経済発展地域としてベトナムとの貿易経済特区と定めている。だから今回新しく建設する国境の橋は両国の貿易に重要な役目果たし事になる。その割には寂れた町で、道は砂利を敷いただけの道を古いバスや錆びた車がガタゴトと走っている。
宿舎はホテルかと思いきや元警備隊が使って居た宿舎らしい。そこには今にも崩れ落ちそうな古い橋が架けられていた。その隣に今回新しく建設する橋となる。国境の橋といっても田舎町の小さな橋だが国境とあって大きいトレーラーなどが沢山通る。
その橋の手前にあるゲートが開くのは朝七時からと決まっているそうだ。前日から車は長い列を作っている。おまけにこのボロ橋は重量の関係で片側通行をさせているありさまだ。
それに橋の脇にある歩道は所々に穴が開いていた。そんな国境の橋を歩いて渡る人の列も見られる。沢山の車が往来する橋は川幅が百メートル両側の土手の高さに橋を掛けるから全長は倍少し二百三十メートルといった処だろうか。
それ程大きな橋ではない。国内ではもっと大きな橋を造って来たからやや物足りないが。だがこれは手始めである。
この橋が予定通り完成したら次はラオスとタイを流れる大河、メコン河へ架ける橋を手がける話も浮かび上がっている。スタッフも裕輔も夢は大きく開く。
この川の増水はどうかも調べる必要がありそうだ。日本と違って雨季には集中豪雨も考慮しなくてはならない。裕輔は早くも橋の工事を行なう上で工事状況を想定し、この土地の雨季にどれほどの雨量になるのかデータを調べた。
川の水はやや茶色に濁っているように見えるが、洗濯などをしても問題はないそうだ。日本のように川は透明とは限らない。よくそんな濁った川で洗濯や野菜を洗えるのか不思議だが。元々ラオス、ベトナムに限らずタイ、マレーシアも川は濁っている。土も同様に赤茶色が普通だ。日本なら土の色はまず黒で、川の水は透明と決まっている。
つづく
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