第7話

  チロシです。


 狐獣人の女の子の仲間を無事に救出できたとです。


 本当に良かったとです。(ほっこり)


 でも。


 狐獣人の女の子が僕を凄い警戒してるのが納得いかんとです。


 狐獣人の女の子が胸を揉んでよかって言うから、僕は思いっきり遠慮なく彼女の胸を揉みしだいたとです。


 僕は彼女が、まだ欲求不満なのかと思い、頑張ったとです。


 それなのに……酷かとです。


 おじさんショックで人間不信になりそうたい(獣人不信?)




~*~*~*~




 チロシは彼女達に共通した事に気が付き、狐獣人の女の子にジェスチャーして、それは何かと聞いて見ていた。


「……$%&#$#……」


 彼女達はチロシの問いに、苦々しい表情で短く答えただけだった。


「首に鉄の首輪って、まるで奴隷みたいだな」


 チロシは、もしも二人が奴隷だったら解放してあげれないかと考えていた。そして、シムニ゛の荷台に積んである工具鞄を探し出し、その中から金切り鋸を取り出すと、二人に見せたのだった。


「キミ、此れで首輪を切るか」


 二人の暗い表情は一転して明るくなるが、瞬時に苦々しい表情に戻ってしまう。チロシは、二人の表情が明るくなった事で、二人は首輪を取りたいのだと判断し、急いで大型チェーンカッターも取り出して来ると、首輪の留め金のネジを大型チェーンカッターで切れる部分まで切るのだが、切っている最中にチロシの手に電撃が走り抜けるが、一瞬の事でチロシには静電気が発生したのか、くらいの認識しかなかった。


「$%&#」


 狐獣人の仲間の女の子がチロシに向って叫ぶが既に遅かった。


「うひゃー手がピリピリする」


 二人はチロシの表情を見るや、二人とも身体を硬直させてしまうが、チロシが普通に動いている事に驚いていた。


「チッ、半分しか切れなかったか、仕方ない残りは鋸で切るか」


 二人はチロシが倒れ絶命したと思って、目を背けたりしたのだが、当の本人であるチロシは何事も無かったの様に、ピンピンして歩き回っていた。


「キミ、首輪を手で支えておいてくれ」


  そう言うとチロシは、狐獣人の女の子の鉄の首輪に金切り鋸を通すと、おもむろに切り始めていた。


(ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ)


 金切り鋸は軽快な音を奏でながら、滑る様にネジを切っていた。


(パッキン)


 チロシがネジを切り始めてから一分も経たずにネジは切断され、狐獣人の女の子の首から鉄の首輪が取り除かれていた。


「#$%&!」


 狐獣人の女の子は、首輪が外れたのが信じられなくて、きょとんとしていたが、仲間の女の子の掛け声で正気に戻る。


 二人の女の子は抱き合いながら、首輪が外れた事に喜びあっている。


「最後にキミ、こっちに来てくれないか」


 そうチロシが指を指して、仲間の女の子を狐獣人の女の子から話すと、また、大型チェーンカッターを持ち、鉄の首輪を力一杯切り始めだした。チェーンカッターで切れる所まで切ると、後は狐獣人の女の子の時と同じ要領で作業するだけであった。


「ふっー、疲れたな」


 チロシは少し疲れた表情であるが、達成感で満たされていた。もしも彼女達二人が奴隷だったとしても、あのままの状態には、しときたくはなかったからだ。チロシの只の我侭であったが、結果的に二人には良い結果に終わったので、たまにはチロシも人の役に経つ事が出来たのだった。


 二人は話し合い、チロシの方を向くと何やら言い出してから、頭を下げ感謝の気持ちを表していたが、狐獣人の女の子だけは、頭を下げた時に横を向きながらのお辞儀であった。


 狐獣人の女の子のお辞儀を見たチロシは、苦笑いを浮かべたまま、二人の感謝の気持ちを受け取っていた。


「俺はあの子に嫌われる事を何かしたのか」


 納得の出来ないチロシは一人で考えていたが、嫌われる事をした覚えがなく、釈然としない内に次の行動に移すことにしたのだ。


「それで、二人は靴も履いてないな。丁度いい事にシムニ゛に三人分のサンダルがあったから、それを履くといいよ。……未使用だからね」


 キャンプ場に来る途中にあったスーパーで安売りをしていたサンダルをチロシとDの安部君、ADの安田君と一緒にお揃いで買っていたのだった。


 そのサンダルの安部君と安田君の分を取り出して二人に手渡した。


「#$%#$&$#&」

「#$%#$&$#&&%$%#」


 狐獣人の女の子だけ、何やら長くお礼を言っているが、まさか言ってる内容がこんな感じだったら嫌だな「汚らしいオッサンのサンダル何って、普通だったら履いて何ってあげないんだから」って感じだったら、俺はグゥーで死にたい。


 仲間の女の子のお礼も「臭そうなサンダルだわ」とかだったら、俺はチョキで死にたい。


 二人の女の子は、一人で妄想して苦しんでいるチロシを少し離れて見守っていたが、苦悶の表情のまま固まっているチロシに、狐獣人の女の子は石を投げつけて呼び出すが、未だに反応が無かった。


「もう俺は駄目だ。パァーで死ぬしかない」


 狐獣人の女の子はチロシに近づくと、何を思ったのかチロシの目の前で、徐に太股の裾を捲った。すると、下を向いていたチロシの首を狐獣人の女の子の秘部に注がれていた。


「&%$$#$”」


 仲間の女の子は狐獣人の女の子の後ろに来ると、裾を戻して狐獣人の女の子を叱っているみたいだった。


「#$%&&」


 狐獣人の女の子は仲間の女の子に謝ると、服装を正し、チロシに身体言語を使ったジェスチャーを始めだし、二人で話し合った方角を指し示しチロシに行く様に促していた。


「向こうに向えばいいんだな」


 チロシは二人が指し示した方角に指を指し示すと二人は頷く、進行方向を確認すると、チロシは藪の方に進み、藪の先を確かめだした。


「これなら、さっき通ってきた場所よりかは大分マシかな」


 背の低い藪が地平線の向こうまで続いて降り、見ただけでは危険かどうかは解らなかったが、茂みの豪雨を通るよりかはマシであろうと判断した。


「二人とも、俺のシムニ゛ちゃんに乗ってくれ」


 チロシは二人に、そう言うと助手席の背もたれを寝かせ、後ろに一人乗り込ませると、背もたれを起こし、狐獣人の女の子の手を握って助手席に乗り込ませて、自分は運転席に乗り込む。


「それじゃー、出発するぞ」


 そう言うとチロシは、シムニ゛をゆっくりと発進させはじめ、後部座席に乗っていた仲間の女の子が、狐獣人の女の子に驚いた表情で何かを話しはじめだしている。


 二人は何かを言っているが、多分だがシムニ゛ちゃんの素晴らしさや凄さを称えているとチロシは判断していた。


 そして、出発してから二十分ほどしてからだ、街道とおぼしき道にでるや、街道の少し先に荷馬車が路肩で脱輪しているのが目に入る。


「$%&$%#”#$!」


 助手席に座っていた狐獣人の女の子は、荷馬車を指差して、荷馬車のある方に向って欲しいみたいである。それを理解したチロシは、ゆっくりと辺りを警戒しながらシムニ゛を荷馬車の方へと歩みを進める。


 荷馬車の横まで行くと助手席から、狐獣人の女の子が降りて、荷馬車の荷台を確認しに行くが、荷台を確認した狐獣人の女の子は、仲間の女の子に来る様に促したみたいで、後部座席に乗っていた女の子が、後部座席からの降り方が解らずに暴れだしていたので、チロシは運転席のシートを倒すと後部座席の女の子に降りる様に促した。


 女の子を降ろしたチロシも狐獣人の女の子が居る場所まで、警戒しながら進むと、ゆっくりと荷台の中を確認しだした。


 荷台の中には誰も居なかったが、血痕が残されていた為に、荷台の中で戦闘が行われたのかと思ってしまう。そして、生活物資が少しと、調理器具などが残されているのを確認すると、チロシは二人に持っていくかを確認する。


 二人は使える物は何でも運び出したい様で、路肩から荷馬車を脱出できるなら、荷馬車の荷台も持って行きたいみたいだった。


「#$&#”$”#$”#%”#”#$”$””!#!」


 仲間の女の子が一生懸命に、チロシに荷台を路肩から出せないかと伝えていたのだ。チロシは少し考えてから、徐にシムニ゛専用の牽引カーゴトレーラー(中)から牽引ロープを取り出すとシムニ゛専用の牽引カーゴトレーラー(中)を切り離してから、荷馬車の荷台に牽引ロープを結びつけた。牽引ロープだけでは不安だったので、トラロープも使い、シムニ゛と荷台をグルグル巻きに巻きつけていた。


 作業が終わってシムニ゛に乗り込むチロシは、二人が荷台の後方をロープで引っ張り上げる用意が出来たのを確認すると、ゆっくりとシムニ゛を発進させる。


(ギシッ、ギシッ、ギシッ)


 荷台の軋む音だけが森に木霊していた。    




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る