第4章 リオたちのカーニバル!

第36話 開幕!

生徒会の朝は早かった。私は6時に起きて、ホテルに向かった。

11月19日日曜日。快晴。気温は10℃。

今日は私達、風祭中学校の文化祭。


ホテルに着いたのは7時前だけど、もうすでに生徒達が集まり始めていた。準備組が、自分達の団体の出し物をチェックしている。


午前8時。生徒会と文化祭実行委員のメンバーもそろい、最終チェックをした。検温機の充電を確認したり、エアコンをつけたりした。

それから、全員にiPad用のバッグを配った。iPadがすっぽり入る、専用のショルダーバッグだ。


「これにiPadを入れて、常に肩から下げといてください。で、イヤホンを持ってる人はイヤホンで通話してください」


トランシーバーとかの、無線機の代わりだ。生徒会も実行委員も常にバラバラに行動しているから、互いの連絡はこれで取る。私もイヤホンマイクをつけた。これで、iPadをバッグに入れたまま通話ができる。


あと、腕章も配った。私達は「生徒会」、実行委員は「文化祭委員」と書かれた腕章を制服の腕につける。パンフレットにも、困ったことがあればこの腕章をつけた人に声をかけてください、と書いてある。


そうしている間にも、続々と生徒達が集まってきた。ホテルに入れるのは350人までだけど、そのうち200人くらいが生徒になる予定だ。私達は人数確認のため、生徒が入ってくるたびにiPadに記録した。


「あの〜、もう入れますか?」


人数確認をしていると、高校生くらいの女性のグループが来た。お客さんだ。


「あ、すみません。9時スタートなんで、9時から入ってもらっていいですか?」

「わかりました〜。あ、ちなみに外でもう、何人か待ってますよ」

「え」


ロビーの窓から外を見ると、10人近い人が駐車場で待っていた。


「え、もうこんなに来てるの? 早くない?」

「みんな楽しみにしてるんだよ、僕達の文化祭を」


燈が私の肩を叩いた。


「理音会長、開始前のチェックは全部終わりました。あとは9時を待つだけです」


神流ちゃんがiPadを私に見せた。チェックリストの項目は全部埋まっている。

あと10分ほどで、9時になる。


「それじゃ会長、何か気合いの入る開会の言葉を」


燈が私の背中を押して、みんなの前に立たせた。生徒会メンバーと、文化祭実行委員達の目が私に向く。窓の外では、お客さんが少しずつ増えている。

みんなのおかげでここまで来れた。そしてみんなが、文化祭を楽しみにしている。


「……みなさん、今日まで本当にありがとうございます。私のわがままから始まった文化祭だけど、今日、ついに、開催まで漕ぎ着けました。ここまで来れば、あとは誰ひとり感染させないだけです。みなさん、頑張りましょう。そして成功させましょう、私達の文化祭カーニバルを!」


そして、午前9時。

私は館内に学校のチャイムを流した。


キーン、コーン、カーン、コーン……。


チャイムが鳴り終わる。

私は宣言した。


「午前9時になりました。これより、今年度の風祭中学文化祭を開始します!」

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