第9話


「 魔子?」


「 はい 」


「 好きな人はいるの?」


「 さっきも言ったけれど、男子全員からキモィって言われてるんだよ、だからいるわけないでしょっ… 」


「 ならば…直ぐに相手を見つけるのです! 」


「 は? 」


「 一年以内にその人と愛し合うこと 」


「 愛し合う? 」


「 心から…そして身体も… 」


「 えッ!?…。。」


「 こっちへおいで 」


祖母は私を椅子に座らせると、櫛で私の髪を梳かし始めた。


「 あなたは明日から生まれ変わるの、魔女としてね…なれるかどうかはあなたしだい 」


祖母はお話ししながら、チョキチョキと私の髪を切りはじめた。


足下には切られた黒髪がパラパラと落ちていき、前に置いてある姿見に映った自分がみるみる変わってゆく。


腰のあたりまであった髪は、肩までかからないくらいのショートになり、半分くらいしか見えていなかった顔はすっかり眉まで見えるようになっていた。


生まれて初めて髪を切った。

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