赤?青?
俺は次々とモンスターを倒していき、気が付いたら中心部まで来ていた。
「さて、結構モンスターを倒したけど、ステータスは上がってますかね?」
九瀏 雅人
Lv.5
体力:37
魔力:32
筋力:38
俊敏性:32
命中率:79%
回避率:52%
運:24
スキル
【仮面武装】Lv.1 ・ 【擬似脳導処理能力】Lv.1 ・ 【※※※※】
「おっ!いつの間にかレベルが5になってる‼」
順調にステータスも上がって、そのせいか、以前よりも体が軽いし、スライムやゴブリンの動きが遅く見える。
しかも、筋力も上がったおかげで、ゴブリンが簡単に倒せる。
「以前の俺なら、倒すことも困難に近かったのにすごい進歩だ!」
『そろそろ中ボスがいるエリアに行きませんか?』
エマがとんでもない事を言って来た。
「な、何を言ってるんだ⁉中ボスは俺にはまだはや―――」
『早くはありませんよ!いつまで雑魚を相手に時間を費やしているんですか?』
「い、いや、まだ仮面武装に慣れて―――」
『動きは良くなっています!あとは実戦あるのみです!』
「わかったよ・・・」
『無駄に長い沈黙の上、その渋った返事どうにかならないんですか?』
「ぜ、善処します」
『お願いしますね』
このゲートの実質ボスはレッドゴブリン。
普通のゴブリンとは大きさが3倍な上に、パワーも3倍!防御も3倍!俊敏さも3倍なのだ。
まぁゴブリンの3倍だからどうなのって話だよね・・・
中心部にある洞窟の奥に扉があり、その扉の先にレッドゴブリンがいる。
以前、挑戦した時は、5人組で挑んで、クリアした。
俺はと言うと、皆の足を引っ張らないようにするので精一杯でした・・・
今回は1人で挑む事になる。
ただ、攻略法はわかっているが、心配だ・・・
先ほど、実質のボスはと言ったが、真のボスは違うらしい。
なんって言ったらいいのかなぁ?
ボスはいるにはいるらしいのだが、資料によるとここのゲートのボスはブルーゴブリンである!が、会った事がある奴はいない。
いや、いないと言うのは語弊がある。
今から約100年前ぐらいに戦った者がいたらしい。
しかしあまりの強さに返り討ちにあったらしい。
残されている資料によれば、中ボスのレッドゴブリンに比べて、全てのステータスが軽く10倍だと言われている。
更には強化魔法も使う上に、刀まで使うとか・・・
しかも達人級の腕前だとか・・・
会いたいとか言う奴は自殺志願者ぐらいだろう。
かと言って、上級者がわざわざブルーゴブリンを倒しに行くかと言ったら行かないだろう。会えるか分からない上に・・・だってビギナーだぜ。
とにかくだ!
今はレッドゴブリンに集中しよう!
果たして、俺1人で倒せるだろうか・・・?
「よしっ!考えたってしょうがない!俺はもう、以前の俺じゃないんだ‼」
そう自分に言い聞かせ、俺はレッドゴブリンがいるであろうエリアへと足を踏み入れたのであった。
「たしかこの辺に洞窟が・・・あったあった!」
この洞窟の奥に扉が合って、その扉の先にレッドゴブリンがいるんだ。
ゴォォォォォォォォォオ
扉を開くと、こちら側に背中を見せ、中央で胡座をかいて座っている赤い・・・
赤くない・・・だと⁉
「えっ、青いゴブリン⁉」
な、なんで⁉
ここ1階はレッドゴブリンのはずっ⁉
なんでだっ⁉
しかも、レッドゴブリンよりも体がでかい!
俺が混乱していると、青いゴブリンが立ち上がり、こちらを向く。
「お? 来たか?」
「ゴブリンが喋ったっ⁉」
ブルーゴブリンは、慌てて口を塞ぐがもう遅い・・・
「あっ、すまない⁉ 喋っちゃいけないんだった・・・久々なもので・・・今のは忘れてくれ・・・なっ!この通り‼」
まるで、どこかの居酒屋さんで、大将やってる~みたいな感じのノリと仕草で言ってきやがった⁉
「それでは仕切り直して!フゴフゴグガ―――――⁉」
「いやいや・・・さすがに無理でしょ!」
「頼む!そこをなんとか――――⁉」
ブルーゴブリンは土下座をしてきた。
「わ、わかりましたから⁉ 頭を上げて下さい!」
俺がそう言うと、ブルーゴブリンは頭を上げ、満面の笑顔をこちらに向ける。
「いや~、ほんっとかたじけない!久々にボスをやるもんだから、ついついルールを忘れてしまってな~がはははははははは‼」
ブルーゴブリンは大きな声で笑いだす。
久々だって?
「あ、あの、いつもここにいるのはレッドゴブリンだったと思うのですが・・・」
質問をすると、ブルーゴブリンは笑うのを止め、こちらに視線を向ける。
「あぁ~すまない!担当の紅林さんだが、先ほど、嫁さんが産気づいてしまい、2~3時間だけでいいから、嫁さんの近くに居たいと言うもんで、急遽、代わりに・・・とゆうか、無理やりとゆうか・・・とにかく! 私が、2~3時間の間担当することになった」
えっ、担当?紅林さん?色々とツッコミどころが多すぎる⁉
「あぁ、すまない!私は鬼人族の蒼海 豪鬼と申す」
え?鬼人族?
待って⁉
鬼人族ってあの幻の戦闘民族じゃなかったっけ?
異世界の資料や文献でしか見た事がないからあれだけど、たしか戦闘民族じゃなかったか?
つか、めちゃくちゃ日本人っぽい名前だな。
「あ、自分は九瀏 雅人と言います」
「ふむ、九瀏殿だな!よろしくな!」
蒼海さんは、腕をこちらに向ける・・・まさか握手か?
「は、はぁ・・・よろしくお願いします」
俺も腕を上げると、蒼海さんは、俺の手をガシッと握る。
握手で合っていたよかった・・・
蒼海さんは握手をすると、ぐわんぐわんと腕を揺らす
「九瀏殿の手はしっかりと鍛錬を積んでいる手だな!」
「いや、そんな事は―――」
「い~や!この手は毎日鍛錬をしなければ、この様にはならない‼」
「あ、ありがとうございます!そう言ってくれたのは蒼海さんが初めてで・・・嘘でも嬉しいです」
「嘘など私は言わんよ!それと私の事は豪鬼と呼んでくれ‼」
「わ、わかりました、豪鬼さん!自分は雅人と呼んで下さい‼」
「あいわかった!雅人殿‼」
「はいっ!豪鬼さん‼」
俺たちは、なぜだかお互いに認め合い、更に力強く握手をし直したのであった。
『何を意気投合しているんですか・・・戦わないんですか?』
エマが呆れた様にボソッと呟いたが無視をした。
だって文献や資料にあったブルーゴブリンが実は幻の戦闘民族・鬼人族だったなんて・・・
戦うだって?
俺はまだ、いや、また死にたくはない・・・
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