ビギナー
ゲートに向かいながら、考え事をしていた。
俺の目の前にある青白い画面である。
ぶっちゃけ、この世界にも、異世界にもレベルと言う概念はない。
あるのは魔力量を計り、その魔力量が多ければ多いい程強いという考えである。
そして、自身に授けられたスキルや数によってさらに重宝される。
それを踏まえ、俺の目の前にあるこの青白い画面は異質に感じてしまう。
まるでゲームなどに表示されているようなステータス画面である。
ましてや、俺以外には見えないのだから・・・
『自分にしか見えず、ましてや自分がどれぐらい成長しているのか確認できて便利じゃないですか?』
「そうなんだけどさ~!何だか違和感があるじゃん!それに、自分のステータス画面が見れるとか聞いた事がないからさ~」
『生真面目なのか、不器用なのか』
「今なんか言ったか~?」
『いいえ~!何事も疑うことから入るのもいいのではないかと思いましてね~』
さっきの言葉は聞こえてっからな
『いやーん、こわーい』
「めちゃくちゃ棒読みのセリフありがとうございますね!」
「いえいえ!これも私の仕事ですから~!」
はぁ・・・
久々だな
こんなに会話らしいことをしたのは・・・
『私は自我が芽生えてまだ然程経ってはいませんが、雅人との会話はとても楽しいです』
今の言葉には嘘が無い事が何故だか感じ取れた
まぁ、ぶっちゃけ俺も楽しいけどな。
『相思相愛ですね!私たち!』
「以心伝心?いや一言居士?」
『今のは深く傷つきました!謝罪を要求します』
「すいませんでした」
『気持ちが籠っていません!やり直し!』
「はぁ・・・仕方が無いなぁ・・・エマ、さっきは酷い事を言ってごめんな」
返答がない。
表情が見れない分、どの様に感じているのか、表情を見れればある程度は予想はできるんだが・・・
『し、仕方がありませんね~!許してあげましょう!』
「許してくれてありがとな」
『私の心は宇宙の様に広いのです!ですから許してあげるのです!』
「先ほど謝罪を一回拒んだじゃないか!」
『そう言うなら、また謝罪をさせますよ!何百、何千と!』
「勘弁して下さい!」
『仕方がありませんね~!夢の中で私のマッサージを要求します』
「はいはい!お?着いたみたいだぞ!」
ゲートには2つの種類がある。
①ゲートを潜るとすぐに戦闘。
②ゲートの先には地球とは違う世界が広がっており、多種多様の種族が住んでいる。
まず1つ目!
ゲートに潜ってすぐに戦闘が開始し、ボスを倒してもまた時間が経てば復活する。
これはただひたすらにモンスターやボスを倒すだけのゲートになる。
こういったゲートはアイテムや武具なども出るのでありがたいですね。
たまにゲートから潜り抜けたモンスターや、スタンビートが起こるが、地球のソルジャーは優秀みたいなので、難を逃れている。
次に、ゲートの先を潜ると地球ではない世界、異世界に繋がっている場合もあり、人間とは違う種族も生きていたりもする。
そういった場合、話し合いで解決する場合は、地球と協定を結び、その事により、地球に移り住んでいる種族もいる。
お互いにwinwinの関係であればの話だ。
中にはそういった関係になれず、武力でこちらに攻め入ってくる種族もいたが、今の所、そう言った種族はゲートを強制的に閉じたり、こちらも武力で対抗などをして、抑制を計っている場合もある。
地球人はその辺に関しては優秀な方なので、やられたら倍以上で返している。
地球のソルジャーと軍隊は強いのだ。
基本地球人は最初に話し合いをし、お互いに歩み寄る精神である。
だが、話し合いができず、武力でいきなり来た者達には容赦はしない。
まぁ、そうしないと地球側が危ないしね。
そして、異世界にはダンジョンが存在する。
異世界に繋がるゲートを潜り、その世界にあるダンジョンに潜って、モンスターやアイテムや武具、素材などを手に入れたり、その他には国同士で資源などの提供などもしている。
そして、なんと、種族が違えども、結婚も可能なのだ!
ちなみに俺は彼女すらいません。
この19年間・・・ね。
『うわぁ・・・・』
引いてるんじゃないよ。
軽くショックを受けたわ。
こんなの俺だけではないからな!
つか、この状況が当たり前だと思っている俺が既にいるのが何だか更に悲しくなった。
『うわぁ・・・』
いちいち反応してもらえると思ったら大間違いだからな!
『ちっ!』
舌打ちは許さん!
『すいませんでした』
「許そう!俺は寛大だからな」
『話しが逸れましたが、ゲートの話はまぁざっとこんな感じですね』
「おい!」
『さぁ、後ろがつっかえていますよ!歩いて下さい!』
「はいはい」
歩いて行くと、段々と人が増えてくる。
「久々に来たな・・・F級ゲート・・・別名【ビギナー】」
ここは初心者のためのゲートで、主にスライムやゴブリンなどが生息している。
どこのゲートもそうだが、ソルジャーが入ってから、何分か経ってから次のソルジャーが入っていく。
時間を置いた事により、先に入ったソルジャー達と、鉢合わせをしないように配慮してるんだろう。
ここはスライムやゴブリンがワンサカ湧いて出てくる。
普通なら、あまりてこずらず倒すことができるので、ここでみんな研鑽を積む。
さらに、稀にレアなアイテムや、武器なども排出される。
しかし、ここの1番の売りは、数年間、死亡者は出てはいないということ!
だから、初心者には打って付けなのだ。
ただ、ここはゲートだ・・・
何が起こるか分からない。
気を緩めない様にしよう。
「ここに来るのは何年ぶりだろうか・・・」
俺もここで何度もお世話になった。
入口まで行き、身分証明書を警備員に提示する。
「ビギナーへようこそ・・・お1人様でしょうか?」
「はい、1人で来ました」
「わかりました・・・それでは頑張って下さい」
「ありがとうございます」
すんなりと通過した。
まぁ、ここのゲートはこんなもんだろう!
ゲートの奥へと進む。
進んで行くと、一匹のスライムに出くわす。
「さて、果たしてどんなもんかね~?アムスティール・アームモード」
唱えると両腕が輝き出す。
手をニギニギしてみる。
うん・・・良い感じ
『雅人、これぐらいの相手は軽くデコピンで十分です』
「OK!ほいっとっ!」
パシュッ
スライムに向け軽くデコピンをするとバシュッと音を立てながら爆散して消えていった。
すると俺の体がほのかに光出す。
「ん?何か体が光った気がしたな?ステータスをチェックしてみるか?」
周りに人がいないかチェックする。
「よし、いないな・・・ステータス画面オープン」
九瀏 雅人
Lv.2
体力:21
魔力:13
筋力:19
俊敏性:16
命中率:79%
回避率:55%
運:16
スキル
【仮面武装】Lv.1 ・ 【擬似脳導並行処理能力】Lv.1 ・ 【※※※※】
「おぉ、微妙に、全ステータスが上がっている!」
こいつは凄いな・・・
なんか楽しくなってきたぞ!
今まで、戦闘が楽しいなんて1度も感じた事がなかった。
常に死と隣り合わせな戦闘ばかりで、必死だったからだ。
ここ、F級ゲートは正直、経験を積む以外、とくに金になる物はない。
ゲートのクラスが上がれば、上がる程、高額なアイテムを見つけたり、倒したモンスターがドロップするアイテム・素材が現れ、ランクアップしていく。
その代わり、クラスが上がれば上がる程、死と隣り合わせになっていく・・・それがゲートのあるべき姿なのであろう・・・
「よし、片っ端から倒していくぞ!サポートよろしく!」
『了解しました!』
俺は視界に入る、全てのモンスターをどんどん倒していった。
正直最初はどうなるのか不安だったが、こうやってレベルが上がると楽しくなってくる自分がいた。
時間を忘れるぐらいに―――
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