力
「エマに聞きたい事があるうんだけどいいかな?」
「なんでしょう?」
「俺のスキル、仮面武装の事なんだけどさ」
「仮面武装は身体能力を数倍にも跳ね上げてくれるスキルです」
「身体能力を数倍に⁉」
「はい。実際には雅人の通常の力を基盤としているので、仮面武装はそこからかける事で数値が上がるのです」
「それって、俺自身が力を付ける事によって―――」
「仮面武装も強くなると考えていいと思います」
「マジか・・・俺が成長する事でそれが何倍にも膨れ上がるって事・・・でもなんで今になって覚醒したんだろうか?」
「それは雅人が一度死んだからでしょうね」
「⁉」
「声を出して驚くのかと思いましたが?」
「いや、うすうす気づいてたんだよね・・・自分で言うのもあれだけど、意識を失う前の光景は悲惨だったからさ」
「・・・・・」
「ごめん、気を悪くしちゃったよね」
「いえ・・・雅人は復讐を考えていますか?」
エマが真剣な表情で俺に問いかける。
「復讐かぁ・・・最初は考えてはいたんだけどね・・・目を覚まして、父と母を見ていたらそれどころじゃないって思ったんだよね。俺が意識を失っていた間の苦労を考えるとさ」
「そうですか・・・。では今のところは考えていないって訳ですね」
「その言い方だと何か含みがあるなぁ」
「気のせいでしょう」
「まぁ、とにかく!今はみんなを楽にさせられるぐらいの資金を集める事に集中!でもその前に、自分自身の力について詳しくならないといけないと思うんだ」
「わかりました。当面の間は自身の強化!そして資金集め!それが整い次第復讐っと!」
「俺よりもエマの方が復讐に拘ってると思うんだけど⁉」
「気のせいですよ」
エマは平然とした顔をしてはいるが、沸々と湧き上がるドス黒いオーラが見え隠れしてるような・・・?
「明日はビギナーに潜るんですよね?」
「その予定だよ」
「では、仮面武装の部分換装についてお教えしますね」
「部分換装?」
「はい。今回フル換装した事により、あのような事が起きました。ですので部分換装で感覚を養うとよろしいかと」
「なるほど・・・それはどうやってやるんだい?」
「簡単です!換装したい体の部分、例えば腕だけなら、アムスティール・アームモードと唱えるか、声に出さずとも可能ですので、やってみて下さい」
「OK!アムスティール・アームモード」
唱えてみると、腕の部分が光輝き、一瞬で換装が済んだ。
「すごい!こんなこともできるのか!」
「マスクオフと唱えれば、顔以外が換装されます」
今度は声に出さず唱えてみる。
すると上半身・下半身に換装された。
「基本、顔バレしたくない時以外はそちらの方がよいかと思われますが、それと手足だけの場合はリムモードと唱えて下さい」
「わかりました!」
「良い返事です」
それからエマ先生に色々と教えていただいた。
それによりいつの間にか朝を迎えようとしていた。
「あとは、この後ゲートにて確かめながらやっていきましょう」
「ありがとうございました」
「どういたしまして!フフフ」
エマが笑っている。
こんな感じで笑うんだ。
なぜか胸がほっこりする。
「変な事を考えていませんか?」
「いえ、お気になさらず!」
「まったくもぅ・・・」
頬をぷくぅっと膨らませる仕草もかわいい。
妹がいたらこんな感じなのかなと思った。
「それではまた、ゲートにてお会いしましょう」
「うん、今日はありがとうございました!」
「いいえ、まだ今日は始まったばかりですよ」
エマがそう言った瞬間意識が遠のいていく。
「はっ⁉」
俺は上半身を起こし、周囲を見渡す。
何も変わってはいない。
「ふぅ・・・夢か―――」
『夢かではありません!なぁ~にをバカな事をほざいてるのですか!さぁ!もう起きてゲートへ行く準備をして下さい!』
「ふおっ⁉あ、頭に声が聞こえる!」
『当たり前じゃないですか!基本、夢の中か、仮面武装している時でしか体を具現化する事はできません!生身の場合は直接頭に語りかけ、雅人をサポートさせていただきます』
「そ、それを早めに言って欲しかったな~」
『伝える前に時間が来てしまったんです!』
「そうでしたか・・・」
『さぁ!のんきにしている場合ではありませんよ!時は金なり!時間は有限ではであって無限ではありません!やることは山積みです!さぁ動いて動いて!』
「は、はい!わかりました!」
そんな感じでエマに急かされながら、俺は急いでゲートへと向かったのであった。
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