第20話 約束の時。
サリーは……この50年間の間、
色んな事があり過ぎた。
サラの死。
サリーの病気。
薔薇の雫が枯れかけていた時の
悲しみ。
生活水準が、低いこと。
食べるモノも、ままならずに
お金の無い苦しみを味わう羽目になっていた。
すっかり歳を重ねたサリーは
目が不自由になっていた。
杖の置いた場所すら分からずに
ひたすら、エルフを信じて
養老ホームの誘いにも、生返事だった……。
サリーは目は見えないが編み物は出来た。
いつか……エルフとの間に赤ちゃんが出来たら、、、、、。と
そんな事を考えながらも、
クッキーやケーキを作り、
毎日毎日エルフとの再開を待ち焦がれていた。
『今日も、来ないか。』
さぁさ。お菓子を片付けましょ。
ガタガタ!!
サリーは杖を落としてしまい、
困っていた。
『困ったねぇ。一体どうすれば。』
『よっこらしょ。と……』
その時…………サリーは
手をうっかり滑らせた。とっさに
受け身を取ったが、
転んでしまった。
ガタガタ!!ガターン!
サリーがしばらく、身動きが
取れなかった。
痛くない。。。あれ??!
背中を支える。暖かい力強い腕の感触が、サリーには分かった。
『ありがとう。助かったわ。
どちらさまかしらね?』
『サリー、僕だよ。エルフさ。』
『エルフ?』
サリーは……自分が目が不自由な事は、言えなかった。だが
妖精界に君臨するエルフには
理解出来た。
サリーのまぶたに手をかざす
エルフ。サリーは暖かい空気を
感じ取っていた。
『さぁ、サリー……目を開けて
ごらん?』
『エルフ?これは夢なの?』
サリーが目を開けると、そこには
面影が懐かしい。素晴らしく
素敵に成長したエルフが立っていた。
歳を重ねたサリーは……待ち焦がれたエルフに、
ようやく逢えたのだ。
エルフは……サリーに微笑みかける。
『待たせたね、サリー』
『エルフ?ホントにホントに
エルフなのかい?!わたしは』
エルフは……暖かかった。
サリーはエルフの広い広い胸の中に、すっぽりとおさまっていた。
久しぶりに感じる。エルフの
たくましさに、サリーはトキメいていた。
(こんな、おばあちゃんでは。)
『サリー、迎えに来たよ。
僕らは、一生涯一緒に居られるんだよ。』
サリーは……首をかしげると
エルフはにこやかな顔をした。
『どこで暮らすの?!』
『サリー、君を愛してるんだ』
『エルフ。』
『妖精界へ行こう。さぁ。手を
貸して?サリー。』
『こうかな?』
『行くよ!!』
サリーと、エルフは……手を取り合って、時空を超えて妖精界へとやって来た。
妖精界では……サリーは王女と
いう地位だった……。
余りの唐突な出来事に、サリーは
戸惑ったが、エルフが優しい
王様だったので、
妖精界では……王女サリー
王エルフ、エルザ。
3人は……いつまでも仲良く
妖精界で暮らしたのだった……。
そうそう。サリーの容姿は
妖精界の女王に相応しく、
とても美しく、変身していた。
サリーの心の美しさが生み出すものであり、また妖精界での
ご生誕したエルフの妻として、
末永く、幸せに暮らしたのであった。
サリーは……孫達に
こう、話す……。
『愛があれば奇跡は起きる』
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