第18話 サリーの選択

思わず。大きな選択を迫られた

サリーは……


エルフとサラを、天秤にかけていた。

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エルザの方を見ても、優しく

微笑んでいるだけだった……。





幼いサリーの心は、とても痛んだ。大好きなエルフは……決して逢えない訳では無い。



50の選択だった……。


サリーは悩んだ。



エルフとの想い出を思い出していた。サリーは口をつぐんだ。



エルザは……少し後悔していたが仕方の無い残酷な現実であった。



エルザは……そんなサリーを見つめていると、何処となくエルフの

サリーを想う気持ちが理解出来た。



(エルフ……確かに、サリーは

可愛いだろうな。)



サリーは……下を向いたままで


重い口を開いた。






50待てる!』


『サリー…………エルフが

妖精界で、待っててもかい?』



サリーは小さいながらも重大な決心をしていた。





エルザは……戸惑った。サリーならば、てっきり妖精界に……

着いてくると決めるだろう。と

思っていたからだ。



エルザは、もう一度サリーに

聞いてみる。それでも……




その言葉は、とても力強かった。


サリーの目の奥には、美しい光が見えた。



エルザは……しばらくサリーを

見つめていた。そしてため息を

軽くつくと、



サリーの方を見ながら


『サリー、エルフにことづては……無いの?』



サリーは……涙を流して笑顔を

無理して見せた。


『エルフを



『分かったよ。サリー。君を

一瞬でも苦しめて、悪いと思ってる。ごめん。』



サリーの涙を浮かべた笑顔は

エルザにとって、とても

眩しかった。サリーはきっと、


母親が、一人きりになり悲しむ姿を見たくなかったんだろう。



そう思えた。



『分かったよ。サリー……。

エルフに伝えるから。僕は、

そろそろ戻らなきゃ。』


『エルフに……逢えるの

信じて、待ってる!わたし。』



『オーケー、サリー……

君達の愛の深さには、負けたよ。』



『エルザ!?』


『なんだい?サリー……』



『このクッキー。わたし、作ったの。いつかエルフと食べようと

思ってたの。』


『エルフに渡してくれる?』


『お安い御用だよ。ありがとう

サリー……。エルフの奴喜ぶぞ。』



『じゃあ…………サリー、50年後まで、しばらくお別れだ。』








エルザは奇跡の宝石をかざすと

サリーの前から、消えていった。



サリーは……しばらくその場に

座り込み、自分に……言い聞かせていた。






自分さえガマンすれば。

みんなが、きっと上手く行くと

サリーは……少しだけ大人の

自分を想像していた。

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