第16話 エルザの役割
エルザは力の限り飛び続けた。
『あ!後1分!!!』
扉が閉まる寸前の所で、エルザは
ヒラリとかわした。
手の中に眠る、奇跡の宝石
を大切に抱えて、エルフが待つ
妖精界へと戻って行った。
『エルフーーーー?!!
何処に居るんだーーー!!?』
エルザは叫び続けた。
エルフは、サリーの事を考えすぎて食べ物も食べずに倒れていた。
『エルフ!!?大丈夫か?!』
『…………う……うん。』
『もう大丈夫だ!サリーと逢えるぞ!』
その言葉を聞いたエルフは信じられない。という表情を浮かべた。
『エルザ……僕は……僕は……』
『エルフ!分かってる!お前の気持ちを叶えるよ!だから元気出せ!!』
エルフは、涙を流してエルザに
感謝の気持ちを述べた。
エルザは、父親から預かった
奇跡の宝石を取り出してエルフに見せた。
『この奇跡の宝石は、人間界でも使えるらしい。父上がサリーの
母親の名前を、知っていたんだ』
『…………?!!』
『へ?!じゃあ、僕らは
サリーと僕は…………異母…?』
『まだ、本当のところは分からない。ただひとつの真実は、僕が
サリーの居る人間界へ向かって
妖精界へと連れてくる事が出来るかも知れない!という事だよ』
『え?!ホントに?』
エルフの表情がパァっと明るくなった。だが、その顔はやつれきっていた。
サリーの事を、思い悩むが故に…………。
『エルフ!!後少しだけ、
待てるか?!僕がサリーを妖精界に連れてくる!!』
『エルザ兄さん…………!』
エルフは感激の余り大粒の宝石の様な涙を流していた。
『僕のサリー』
『兄さん……頼む。サリーに
逢いたいんだ!』
エルザが宝石をかざすと、
エルザの姿が消えかけ始めた。
エルザは笑みを浮かべて
消えかける瞬間、エルフに一言放った。
『お前達が羨ましいよ』
『行ってくる。』とその瞬間に
エルザの姿は消えた。
エルフは、希望を与えてくれた
父上とエルザに……深く感謝を
していた。
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