第9話 ミートパイの効果

サリーが自分の部屋へと戻ってくると、魔本が光り輝いていた。


サリーは驚いて、本を開くと

エルフが、突然現れ……


神妙な面持ちをしていた。


サリーはエルフにミートパイを差し出して、


『ママが作ったの。エルフ?花の蜜じゃないけど。食べられそう?』

そう聞くと、エルフの表情が


パァっと明るくなった。


エルフは……その一切れのミートパイを受け取り、


一口一口と、確かめる様に食べ進めていった。


サリーがその様子を見つめていると、エルフの全身から

まばゆい光が立ちこめた!



エルフは……少年の姿になり、

サリーに説明し始めた。


『サリー、僕は人間界の食べ物を食べると、1時間だけ人間の姿になれるんだよ?


どうかな?僕の姿は。』


サリーは……思わずエルフに

見とれてしまった。



それもそのはず、

エルフの髪は、銀色でツヤツヤと輝き、肌は白くて

目の色が、グリーン。


おとぎ話に、出てきそうな

白馬の王子様の様な美しい見た目をしていた。



身長は……サリーより少しだけ

高かった。


2人は手を取り合い、

これからの話を始めると


エルフは……サリーに


『心配しないで、サリー。

僕は君のことを、とても大切に

思っているんだ。』


王子様の様な見た目をするエルフから、思いもよらない提案が

出された。



サリーが、エルフに学校へ行かなくてはならない。と話をすると、



エルフはにこやかになり、

『簡単だよ?僕が人間界の食べ物を食べれば良いだけさ。』



サリーが首をかしげるとエルフは話を続ける。



『キャンディ缶あるかい?サリー』


『あ……!!そっかぁ。』


サリーは、エルフの機転の効いた答えに、感動していた。



これで、学校の時も


一緒に遊んでいられるね?と……

安心したのも、つかの間であった。



エルフは……サリーには

黙っていたが。



妖精が、人間界の食べ物を食べ続けると、2度と妖精に戻れなくなってしまうのだ。



食べてもいい回数も

妖精界では決められていた。



サリーの暗い顔は、見たくない。と……エルフはサリーに

本当の話をしなかったのだ。



エルフは……その日の夜……




告白して、消えるのか?



人間界の食べ物を食べ続けて

サリーの側にいるのが良いのかを



思い詰めるくらいに

悩んでいた。

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