第14話 塔を散策してみた

 だいぶ歩き回ったけど上にあがる階段がまったく見当たらないわね。それに塔の見た目と中の広さが合わないし地面だけ石畳で壁と天井が洞窟っぽくなってるのってどうにかならないのかしら?いや、わかるのよ?ダンジョンと言えば洞窟とか塔とか開けた草原とかテンプレよね。だけどそれを混ぜちゃいけないしなんならランダムで変えてくるのも以ての外よ。私じゃなかったら道に迷って出れなくて確実に死んでるわね。ま、死んでなくても何かしら変化を起こしてても不思議じゃないけどね。


「ダァズウゲェデェグレェ、ダニモビエナイィ」


 …うん、言ったそばから出てくるなんて別に私求めてないんだけど?ていうか、目が空洞で喉が溶けて言語が怪しいけどそれ以外の肌は少しも汚れてないから後ろから見たらパッと見だと死んでるのか死んでないのか分からないわね。

 はぁ、それにしてもアレはどっちなのかしらね?最近魂の匂いもとい生気が分かるようになったからこそアレがどっちなのか分からないのよね。普通の人からしたら目玉がなくて喉が溶けてる時点でゾンビとか屍人扱いですぐ殺されそうな見た目してるのよね、可哀想に。

 よし、このままにしてるのもなんだしサクッとやっちゃいましょう。とりあえず首と身体を分けるのがこういう時のテンプレよねっと。


「イィィダァァイィィィ!カラダハドゴダァ!」


 ありゃま、違ったみたいね。だったら焼いて塵にするしかないわね。はい、焼却焼却。

 よし、バッチリね。まったく自衛隊が全員こうなってるとしたら残虐なことをするわね、私だってまだそんなことしてないのに。

 とりあえず全員見つけて焼却するかまだ大丈夫な人は返してあげようかしらね。ふふ、私ったらやっさしいー!

 んー、それにしてもどうやったらこんな歪なモノができたのかしら?普通は生きていたら生気が死んでいたら死気が出るけど両立出来ないはずなのよね。

 まぁ、今考えても仕方ないわね。とりあえず他の自衛隊の人を探しましょう。とりあえずなんか歪な気配を探れば分かりそうね。

 さーて、捜索といきますか!


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 うーん、探せど探せど歪者しか見つからないわね。さっきから気配も探ってるけど生気だけってのも見つからないし…。お、言ったそばからこの先から反応があったわね。あれ?でもこの先どう見ても行き止まりね?んー、できるか分からないけど壁を壊してみるしかないわね。せーの!

 おぉ、意外と脆かったわね。


「な、新手か!後ろから来るとは卑怯なヤツめ!」


「こいつらで精一杯なのに新手とかもう無理でやんすよ」


「ぬぅ、なんと面妖な。腕にあたる部分が触手になっているとは…」


「こりゃあもうダメだ。お手上げだね」


 えっと自衛隊の人なのよね?なんか自衛隊の服じゃなくてシャーロック・ホームズみたいな服着てる人とオタクっぽい人と侍?のお爺さんと2mぐらいある大男の組み合わせって意味わかんないわね?どうゆう関係なのかしら?


「あの、大丈夫ですか?結構な数に襲われてますけど?」


「ふん、誰か知らんがこの私!自衛隊特殊塔対策部隊総指揮官、皇 美玲に敗北などない!」


 あ、自衛隊の人だったみたいね。それも総指揮官がいるとは思わなかったわね。てか、自衛隊のことあまり知らないからアレだけど総指揮官ってこんな最前線にいていいのかしら?


「おお!美玲氏かっこいいでやんす!流石でやんす!」


「がっははははは!美玲さんはいつも面白いなっ!」


「やれやれ、若いもんにはついていけんわい」


 なんか急に和み出したんだけどどうしようかしらこの人たち。んー、とりあえず空間を外に繋げ…青色わんわん達は戻ってねー。ごほん、気を取り直して外に空間を繋げて、そして触手をぐるっと巻きつけて。


「おい!この超天才総指揮官に何をする離せ!というかこの触手はなんだ!貴様人間ではないなっ!」


「いや気づくの遅っ!いや、そんなことは良くて。今からあなた達を塔の外に投げるので死なないとは思いますが受身はちゃんと取ってくださいね。あ、ちなみに拒否権はありません!それでは行きますよー!せーのっ!よっと!」


「きゃっ!」


「「「うおっ!」」」


 ふぅ、いいことしたわね!ついでに歪者も焼却しておしまいっと。さて、階段探しを再開するんだけど壁が壊せる事が分かったからとりあえず破壊しながら探すとしましょうか。


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 だぁっ!やっと見つけたっ!よし、時間はまだ大丈夫ね!

 はぁ、まったく階段の場所を時間でランダムに帰るとか意味がわからないわよ。壁を壊しながら進んでやっと見つけたと思ったら目の前で消えるんだもの焦ったわよ。途中で階段探すの面倒くさくて天井を壊したら壊したで真っ暗な闇の中に口とか目がいっぱいあったからそっと離れたわよね。いやぁ、さすがにアレは気持ち悪かったわ。

 さて、階段がまたどこかに行く前にさっさと上に行きましょう。2階は何があるのかしらね。


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 はい、てことで2階に到着っ!と言っても1回と何も変わらないわ………ね。

 あら?なんで私の身体が目の前にあるのかしら?…あぁなるほど首を後ろから斬られたのね。なんという不覚…。とりあえず首の方の切り口が地面について汚いし生やし直すとしようかしらね。

 …ほっと。前よし!右よし!左よし!後ろよし!うん、感度良好!そして、私の首を斬った奴がどこにもいない!んーなんでだろ?…あ、よく見れば壁に線がある。なるほどね、感知式のトラップだったわけね。こんなの私じゃなければ初見殺しもいい所よ。とりあえずまた作動して一々首を斬られるのも癪だから壊しておきましょう。

 それにしてもこの階からも生気を感じないのはおかしいわよね、どうゆうことかしら?

 …考えても仕方ないしまた壁でも壊して進んでみましょう。


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 いや〜、酷い目にあったわね。まさか壁を壊したら酸が溢れるとは思わなかったわ。それに2階は一本道ですぐ奥までたどり着けたのはいいけどトラップの量とかその他もろもろが酷すぎるはこの階。

 まず最初の初見殺しの首斬りでしょ。その後少し進んで某ゾンビ映画みたいなレザーが近づいてくるのとか、それを避けた後に天井からパラポネラって言う蟻が降ってくるトラップがあるんだけどアレ、虫が無理な人は発狂して倒れるわよね。それに顎の力が強いし刺されると酷い激痛がする毒があるからどっちみち痛さのあまり倒れてそこから噛まれて刺されてを繰り返すような普通の人なら助かってないトラップとかあったし、アイアン・メイデンに入れられたり、天井が上から落ちてきたり、人1人通れるか分からないほっそい道を左右と上から火炎放射をされて10分近く歩かされるのとか、それを乗り越えた瞬間に地面が開いて酸の池にドボンとかetc…。それで一本道の奥に着いたらついたで壁におっきくイラつく文面よ。


 “よくここまでたどり着いたね!ここは罠だらけのダンジョンだよ!他のダンジョンで頑張ってレベルとか耐性系のスキルを取ったんだね!おめでとう!だけどごめんね。まだこの先は開発中だから行けないよ。お帰りは元来た道だよ。頑張って帰ってね。Byロキ“


 ね?ふざけてるでしょ?確実に人間を殺す気だしなんなら遊んでるのよ。こんなの見たらこいつの企み壊したくなるわよね?ってことで外に出てきました。そしてこの塔を亜空間にポイッ!これを各地に出たダンジョンに同じことをしま…した。これをどうやったかと言うとただ触手を出しまくってダンジョンを見つけて空間開けて移動、亜空間に捨てるを繰り返したわ。ただ数が半端なかったのよ。テレビで中継されてたダンジョンと多分他の人に見つかってないダンジョン合わせて数百はあったんじゃないかしら?え?ダンジョンに人が居たらどうするのって?その人には申し訳ないけど中に居たままね。まぁ、私がダンジョンをポイポイしてた時に中にちょうどいた自分を恨む事ね。

 あとはロキの反応待ちだけど遅そうなのよね。最初に流れたロキの映像とか予め撮っておいた録画だもの。だから、どうせこっちのことなんて見てないだろうしね。

 さてと、とりあえず家に帰ってご飯でも食べて見逃したアニメを見て時間でも潰そうかしらね。1ヶ月分となると相当かかるだろうしお菓子も買っておかないとね。


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 ダンジョンを亜空間にポイしてから数週間、全くと言っていいほどあっちからのリアクションがありません。

 ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛

 私頑張ってダンジョンを亜空間に捨てまくったじゃん!何かしら反応があってもいいじゃない!

 もうあっちにはバレてるんだろうしこうなったらさっさとシュブ=ニグラスの封印を解いてなんなら他の2人?の封印も解くしかないわね。

 え?バレないようにしてたんじゃないのかって?いや、もうあっちが世界に手を加えてきたからさっさと潰した方がいいかなって思うのよ。それに、遅かれ早かれ戦闘にはなると思うのよね。だからその時までに戦力を揃えておきたいのよ。

 あと、私魂特化の邪神だからその分物理攻撃とかは他よりも弱いのよね。相手の魂を喰べちゃえば神だろうが勝てるんだけど喰べる隙を作るのが大変なのよ。今までは格下の人間ばかり喰べてたから隙とか作らなくてよかったんだけど、今回の相手は同格の相手とか格上の相手が敵にいるからどうしても喰べる隙がないのよ。ま、だからそのための戦力なんだけどね。

 さてと、そうと決まれば早速行動に移そうかしらね。

 ふふ、魂を洗って待ってなさいロキ!この私!新たな邪神こと『魂を食し変質させ続けるもの』アリセリア=ニトゥージャが喰べてあげるわ!

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