第13話とりあえず領主をブチッとしてみた

 あっという間に3日が経ったけどこれといって進展がなかったのよね。昨日街娘の格好をして中を見てみたけど街の人達は特に不安そうにしてたりはしてなかったのよねぇ。それにこうして今も見てるわけだけど、もしかして市民には伝えてないとか?うわぁ、今日街を襲いますってちゃんと予告出したのに酷いことする領主ね。

 よーし!そんな酷いことをする領主なら最初にやっておきましょうか!うふ、私って優しいわね!

 それじゃあ領主の所にレッツラゴー!


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 はい、領主の屋敷に到着!ちゃんと下見をして領主の屋敷を見つけておいてよかったわ。どこもかしこも同じような屋敷で分かりにくいのよね。でもここだけ兵士の量が少し多かったからちょっと覗いたらビンゴだったのよ。

 てことで!街にいる人たちを美味しくいただくための3分クッキング!


 それでは食材のご紹介です!まずは市民に何も言わず自分だけ防備を固めて助かろうとした領主!


「な、なんだ貴様!?どこから入ってきた!ちっ、兵は何をやっている!おい!侵入者だ!何をやってる早く来い!」


 うんうん、食材が生き生きしてますね。調理をはじめていきましょう。まず初めに領主の魂を食べます。


「く、来るな!なんだその触手は!?や、やめっ、ゴボッ、ボォッ」


 それほど美味しくないわね。やっぱり醜い人に恐怖という名のスパイスをかけても美味しくならないのね。残念だわ…。

 ごほん、ではあらためて首を切り取って広場に持っていきましょう。

 広場に持っていく前に領主の生首に八本の触手を突き刺して生首のタコを作っておくと楽しいですよ!

 それでは街の広場で日常を謳歌している善良なる市民の皆さんに見せつけて恐怖を煽りましょう!


「皆さーん!こんにちはー!今日皆さんには死んでいただきまーす。そしてこのことを皆さんに伝えなかった領主にはこうなって頂きました!あ、これちゃんと動くんですよ。ふふ、皆さんもこうはなりたくないですよね?なら頑張って逃げてくださいねー!それではいきますよー!よーい、ドン!」


「うわあああああああああ!」


「な、なんだアイツ!」


「ど、どけー!死にたくなーい!」


「な、なんで!?なんで門が開かないのよ!?」


 それと事前に街から出る門は触手などで逃げられないように固めておきましょう。


「よし!上から逃げられるぞ!な、こんな所にも触手!?ぎゃあああああああああ!」


 壁の上から登って逃げようとしても触手で捕まえて食べるので問題ありません!あと、この時点で貴族は1人は逃しておきましょう。

 他の街に行ってくれれば自ずと私のことが広まって強い人が来てくれるのでそれも美味しく頂けるという一石二鳥な料理なのです!

 はい、ということで完食しました!ごちそうさまでした。

 やっぱり人の魂って美味しいわね。その人の今までやってきた行いで味が変わるなんてとっても素敵な食材よね。

 はぁ、やっぱり食べ過ぎない方がいいのかしら?人間ってポンポン産まれるわけだし…。でも減らし過ぎても増える量が一時的とは言え落ちるのよね。畜産業って意外と大変だったのね。

 今まで何も考えず牛とか豚とかのお肉を食べてきてたけどこれからはちゃんと感謝の心を込めて食べることにしましょう。


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 んー、3日間待ったわりにそれほど面白くはなかったわね、お腹は膨れたけど。

 次は何しようかしら?身体の改造…別ゲー…あ、そうだ。シュブ=ニグラスの解放でもしに行こうかしら。そろそろ強くなっと思うし、なんなら派手に暴れてる自覚はあるからもう向こうにはバレてそうなのよねぇ。

 ま、今考えても仕方ないし行ってから考えましょうか!

 よーし、そうと決まればさっそ、く?あれ?なんか上手く身体が動かせないわね?それに何だか眠くなってきたわ…。こんな所で寝るのもなんだしベッドでちゃんとね、なきゃ…。


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【急に動きが止まっただと?…そうか、満腹になったことにより休眠に入ったのか。まったく、魂の味に酔い急激に魂を取り込み自らの精神を歪めおって。我がいなかったら精神が頑強のうえ魔術がかかっていたとしても1歩間違えば崩壊していたぞ。…はぁ、しょうがないやつめ。何とかしてやろう】


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 …知ってる天井だ。あれ〜?私いつベッドに入ったけ?てかそもそも部屋まで空間繋げた記憶がないのよねぇ。おかしいわね?何かを忘れてる気がするんだけど、なんだったかしら?


【起きたのか。気分はどうだ?自分が誰かわかるか?】


「あ、ニャルおはよう。私、自分で帰ってきた記憶ないんだけど何か知らないかしら?」


【うむ、我がアリーの身体を少し借りてここまで運んだのだ。まったく、なんだあのデタラメな身体の構造わ。毎秒身体の中身が変化するなど我でなければ動かせなかったぞ】


「ああ、そうなのね。ありがとう。でもそんな変なことはしてないわよ?それに身体の構造変え続けないとなんか落ち着かなくなったのよ」


【な、なるほどな。それであの量の魂を取り込み続けあのようになったと。それではしばらく魂を取り込むのは控えろよ】


「わかったわ。抑えるようにしておくわよ。あ、でも変え続けるのはやめないわよ?」


【それはよかろう。では我は休ませて貰うぞ。アリーが眠っている間、暴走しないよう抑えるのはさすがにこたえたからな】


「それは悪いことをしたわね。ゆっくり休んでちょうだい」


 はー、それにしてもニャルが全部やってくれたのね。ありがたやーありがたやー。ん?てか、何気に私乗っ取られてね?それに身体の構造変え続けるの変って言われたし…。

 それにしても、外が真っ暗なんだけど今何時よ?20時ね。確かあっちに行ったのが朝の9時ぐらいだったから11時間寝てたってことよね?それにしてもなんか寒いような…およ?およよ?11月1日?私の記憶だと9月1日だったと思うんだけど、2ヶ月ぐらい寝てたってこと?やばくない?こうしちゃいられん!さっさとシュブ=ニグラスの封印を解放しなくちゃ!


「うわっ!いったー、もう何よ〜。…足がツルツル触手になってる…。そりゃ転ぶわよね。はぁ、とりあえずお水飲んでこよ…」


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「おはよ〜ってあら?誰もいない。どこ行ったんだろ?…まぁいっか。この時間って何放送してるのかしらっと」


 [1ヶ月前、突如全国各地で発生した謎の建造物ですが、いぜん正体を掴めておらず、2週間ほど前に突入した自衛隊も戻ってきていません]


 [こちら現場の中本です。現場では警察と自衛隊が警備をしていますが未だ何かが起きる予兆などは見て取れません]


 [えぇ、これはどの文献にも載っていない建造物です。およそビル8階相当の建造物を鉄筋などを使わないで岩のみで作るなど不可能なのですがーーー]


 ウッソだろお前、これからすんごい嫌な感じがするんだけど。よくまぁ、これに突入しようと思ったわよね。

 この雰囲気からして多分向こうが創ったダンジョンね。まったく人様が寝てる間に何してくれてるのよ。もう既に世界の理を変え始めてるじゃない。これは一刻も早く適合者を探して封印を解放しないとダメね。

 とりあえず今やることは情報収集よね。2ヶ月寝てたってことは色々あっただろうしまとめておかないと。


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 ほうほう、私が寝ちゃったあとにクトゥルフとハスターの封印が解放されたと。えーと、名前はハワードさんとビアスさんね。姿はまだ特定されていないけど短期間で街が何個か落ちてるのね。適合者探して封印とこうと思ってたけど探すだけで済んで良かったわね。

 え、イベントなんてやってたの!そりゃ私のところにプレイヤーが来なかったわけだ。いいなーイベント、私もやりたかったなぁ。まぁでも2人を見つけて端末を渡して、その後シュブ=ニグラスを解放することにしましょう。あとはヨグ=ソトースとアザトースの封印場所よね。多分私が寝てる間にイ=スが突き止めてあると思うけど実際に行かないと分からないわね。


 それにしてもあの塔に関する情報は全くといっていいほど出てこないわね。あ、いっそのこと自分で入っちゃうとか?私なら余裕で警備をくぐり抜けられるし中に何か居ても倒せるかもだしもし危険でもすぐ逃げられるし問題ないわね!

 よし、準備して今から行きましょう!


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 はい、アキバの塔に到着!いや〜近くにあってよかったわ。遠出するにしても場所を覚えてないとどこでも時空開けないのよね。ほんと便利なのか不便なのか分からない能力よね。今では記憶力がめっちゃ上がって忘れるなんてことないけどね。


 まぁにしても街のど真ん中に建てるとは人様の迷惑を考えないやつよね。あ、そういえば今のオーディン陣営のトップってたしかロキだったわよね?ロキの情報を聞いた感じ派手好きでイタズラ好き、こうゆうことをする筆頭だと思ったんだけど大人しいのが疑問なのよね?うーん、なんか裏がありそうなのよね…。んー、考えても仕方ないしとりあえず入りましょう。


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 うーん、中に入ったものの特にこれと言って何も無いわね。そういえば、小説とかの定番だとステータスとか表示できるのよね。ステータスオープン…出たわね、バグってるけど。


 《ぴーんぽーんぱーんぽーん!やぁやぁ人類諸君!元気にしているかな〜!僕の名前はロキ!この世界の神様だよ!皆も知っているようにダンジョンを建てさせてもらったよ!それでなんでアナウンスをしているかって言うと〜、やっとステータスを開いてくれた人が出たのでアナウンスさせてもらったよ!あ、そうそう3年後にモンスターいっぱい出すからよろしくね!もしそれが嫌だったら頑張ってダンジョンを攻略してね〜!それじゃあまったね〜!》


 …えぇ?もしかして私が何かやっちゃった系?いや、でも人って言ってたし多分私だったら何かアクション起こすわよね。うん、多分ギリギリタッチの差で開いた人がいたのね。よかった〜、やっちゃったと思ったわ。よし、それじゃあとりあえず進みましょうか。

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