第9話経験値は人間でした

 ふぅ、美味しかった〜。やっぱり和食と言えば白米に納豆、焼き鮭、お味噌汁なのよね〜。

 さてと、美味しいご飯も食べたしご飯も食べたしエトワ始めますか〜。


「ニャル〜、向こうに行くわよ〜」


「うむ、わかったが、随分と気が緩んでいるな。戦闘になった時大丈夫なのか?」


「大丈夫よ〜。それじゃあ始めるわね〜」


 ヘッドギアをセットして、よし、それじゃあエトワ起動!


 ===================


 よーしとうちゃ、く?あれ?ここってキャラクリした時に来た真っ暗部屋?


「お久しぶりですね、沙月さん。お待ちしておりましたよ」


「あれ?βさんだ。こんにちは、でいいのかしら?」


「えぇ、こんにちは。それと、おめでとうございます。見事融合を果たしましたね。お祝いにこちらをお渡しします」


「えと、ありがとう?その、これがなにか聞いてもいいかしら?」


「ええ、そちらは這い寄る混沌が封印される前に回収しておいた輝くトラペゾヘドロンです。そちらを持っていれば能力を使いやすくなりますよ」


「へぇ、ありがとう。ところでβさんってどういう存在なの?これを持ってたってことはアザトース陣営の人?」


「そうですね、今の所属はオーディン陣営ですがアザトース陣営ですよ。言うなればスパイをやってます。そしてそんな私の正体は…」


「…その、正体は?」


「封印されてることになってるシュブ=ニグラスちゃんでした〜。ふふ、びっくりしたかしら〜?あら、怒っちゃやぁよニャルちゃん?」


「びっくりしたぁ…。白い球体が白い人型になったらびっくりするわよ」


【ふん、怒ってなどおらんわ。だがしかしどうやって封印を免れた?オーディンとその封印は意外と強固なものだぞ】


「そんなの簡単よ〜。半分に分けたの、本体の私と半分の能力を分け与えた私に。これならどっちかが生き残れば、あとは封印を自分で解くか解ける者を見つけるだけ。ね?簡単なことでしょ〜?」


【それではバレた時に反撃が出来ないではないか。無茶をしおって】


「ふふ、ニャルちゃんは忘れちゃったのかしら〜?アイツらの性格を。アイツらは一回でも自分が勝ったと思ったら興味を無くす馬鹿どもなのよ〜?だからこうして私がスパイを出来てるわけだしね〜!あぁ、それと沙月ちゃん」


「なんですか?」


「あっちの世界でロキのやつが沙月ちゃんを指名手配して賞金をかけててもう今大変なのよ〜。あ、でも今いる街は大丈夫だから安心してね〜。あそこはイ=スの管轄だしまだ沙月ちゃんが神殿を使ってないから街に着いたことはバレてないから〜。でももし使ったらバレるからね〜。まぁ、沙月ちゃんには神殿を使っても恩寵なんて全くないけどね〜」


「指名手配…。はぁ、なんでこう厄介事が増えるのよぉ…。情報ありがとうございます。気をつけます」


「えぇ、気をつけてね〜。あ、あと〜ゴブリンとか普通の魔物を殺しても経験値にならないからね〜。スキルのレベルは上がるけど〜」


「え!そうなんですか!?じゃあいったいどうしたら…」


「そんなのプレイヤーを殺せばいいのよ〜。どうせ沙月ちゃん狙われてるんだし〜いっぱい経験値が向こうからやっくるわね〜」


「はは、そうなんですね。頑張ってレベル上げます。それじゃあそろそろ行きますね」


「ふふ、頑張ってね〜。ついでに私の封印も解いてちょうだいね〜」


 ===================


 え?最後なんか凄いことついでに頼まれたんだけど?いや、別に封印解くのはいいんだけどね?ギリギリで言わないで欲しかったんだけど?


「おや、お戻りになったのですね。こちらの準備は既に出来ておりますのでどうぞこちらへ」


「あ、はい」


「ところで融合率が高まっているようですが何かございましたか?」


「なにかですか?いえ特には何もないですけど」


「ふむ、そうですか。後ほど検査をさせて頂いてもよろしいでしょうか?少し気になることがございまして」


「ええ、いいですよ。私自身も気になりますし」


「ありがとうございます。あぁ、着きましたよ。ささ、どうぞお入りください」


 ===================


「さて、それではこちらで封印場所を特定している者たちのマップデータをお渡ししながらお話をさせていただきます。…ではまずこの街から近い所からですと、クトゥルフが封印されているルルイエですね。ルルイエまでは街の南門を出て南緯47度9分、西経126度43分の方角へ徒歩で直進し続けて行けば40日、馬車ですと迂回などをしないとけなくなるので60日ほど、ニャルラトホテプと融合しているとなるとシャンタック鳥がおりますので一日で着きますね」


 シャンタック鳥で一日?シャンタック鳥ただいま封印中…。封印を特にはレベル上げ…。レベルを上げるにはプレイヤーと戦うしかない…。わたし、れべるいち、あいて、かくうえ…。


「あの〜、シャンタック鳥以外に飛べるのって…」


「いるにはいますが、ほとんどが仕えている主が封印されているので出てこないでしょうね。あとは夜限定ですと忌まわしき狩人を呼べるのでは?確か彼らはニャルラトホテプが使役していたと記憶しますが?まぁ、夜だけなのでそこまで縮められないとは思いますが」


「なるほど、わかりました。夜にでもニャルに召喚させてみます」


「ええ、その方がいいでしょうね。知らない者に呼ばれるよりも主本人が召喚した方がスムーズに行くでしょうね。それでは、次の者ですがルルイエから近いところですとハスターですね。北緯43度7分、東経198度6分へ行くと都市カルコサが見えると思いますので都市へ入っていただきハリ湖を探してください。そこにハスターが封印されております」


 うん、ルルイエ行って異界都市カルコサに行けと?SAN値直葬ですが?クトゥルフ神話好きな人なら直ぐにでも回れ右して帰りたくなる場所ばっかりなんですがこの世界…。はぁ、でも他の邪神の封印解いてオーディン陣営殺さないと私が死ぬしなぁ…。


「さて、次の者です。次の者は」


 《ワールドアナウンス》

 ただいま、プレイヤー:オーガストによりレイドボス:生ける炎が復活しました。

 また、これによりプレイヤー:オーガストに賞金がかけられました。


 は?生ける炎ってたしかクトゥグアよね?え?クトゥグア解放されたの!?うわぁ、どうしよう、よりによってニャルとの相性最悪なのの封印解けちゃったんですけど…。


「おや、どうされました?何か分からないことでもございましたか?」


「いえ、そのぉ…。今クトゥグアの封印が解放されたみたいで…」


「ほほぉ、クトゥグアのですか」


【なに!?あのド変態のマゾが解放されただと!?こうしてはおれん即刻封印し直すぞ!】


「いやいや、封印はし直さないわよ。でも物理的な距離は置きましょう。攻撃されても嫌だし」


【いや、やつは攻撃はしてこないぞ。むしろこちらからの攻撃を誘発させるような気持ち悪さなのと攻撃しても悶えて喜ぶ姿が嫌なだけだ。あと、単純にあいつは好かん】


「へ、へぇ。そうなのね…。会うのは避けておきましょ」


「それではクトゥグアの封印が解放されたのであれば3番目の説明を省いて4番目に移らせていただきますね」


「はい、お願いします」


「では4番目がシュブ=ニグラスになります。シュブ=ニグラスの封印場所はカルコサから北緯23度9分、西経189度87分の方角へ向かいましてムー大陸にある一番大きな地下洞窟に封印されています。ですが、ムー大陸に向かうルートにはいくつもの結界が張られており今のままでも結界を壊せますが壊せば直ぐにバレてしまうでしょう。なので慎重を期すならばもう少し強くなってから行くと良いでしょう。それと、申し訳ないのですがヨグ=ソトースとアザトースの封印場所が未だ特定出来ておりません。もう少々お待ちください」


「えぇ、わかりました。でもこんなに沢山の情報ありがとうございます。頑張って封印を解いてきます」


「えぇ、よろしくお願いしますね。それでは検査をさせて頂いても?」


「えぇ、どうぞ」


「ありがとうございます。。でもこちらへ」


 ===================


 ふぅ、やっと終わったわ…。なんか色んな検査という名の拷問だったわね…。

 やったことと言えば、足を切ったり、腕を切ったり、胴体切ったり、首を切ったり、高い所から落とされたり焼かれたり色んな薬品を飲まされたりプレス機で押し潰されたり変な細菌を身体に射たれたりひたすら何も無い空間を走らされたり電気銃で撃たれたり…。

 うん、やっぱりあれは検査じゃなくて拷問とか人体実験の類よね!途中でスキルが生えてきたけどうるさすぎて止めたぐらいいっぱい手に入ったしスキルレベルが上がったからいいけどね。

 さて、とりあえずその生えてきたスキルを見てみましょうか。

 ステータスオープンっと。


 キャラ名:アリセリア

 性別:女性

 種族:無貌の神(弱体化中)

 種族レベル:1

 職業:無貌の神

 職業レベル:1

 HP:1000

 MP:11500

 STR:630

 VIT:100

 INT:1150

 MND:1150

 DEX:100

 AGI:710

 LUK:100

 SP:60


 スキル

 物理スキル

 棒術Lv3、体術Lv1


 魔法スキル


 耐性スキル

 斬撃耐性Lv10(New)打撃耐性Lv10(New)

 刺突耐性Lv10(New)落下耐性Lv10(New)火耐性Lv10(New)

 電撃耐性Lv10(New)状態異常耐性Lv10(New)

 即死耐性Lv3(New)発狂耐性Lv10(New)痛覚耐性Lv5(New)


 察知スキル

 気配察知Lv1


 遮断スキル

 気配遮断Lv1


 召喚スキル

 召喚:シャンタック鳥(封印中)

 召喚:ナイトゴーント(封印中)


 ステータスアップスキル

 AGI強化Lv20、VIT強化Lv20(New)


 その他

 鑑定Lv3、道具鑑定Lv1、夜目Lv3、聞き耳Lv2、目利きLv2

 鑑定偽装Lv1、隠密Lv1、忍び足Lv2、並列思考Lv7

 無貌Lv1、発狂付与Lv1(封印中)


 称号

 遺跡に初めて到達した者、ハザード遺跡に到達した者

 導かれし者、殴り屋、道から外れし者、遺跡の探索者

 レイドボス(封印中)、這い寄る混沌、走り屋、耐える者

 精神異常者


 武器

 バールのようなもの(封印中)

 アルソフォカスの書(封印中)


 防具

 頭:冥土のカチューシャ(無貌の指輪)

 体:冥土の服(無貌の指輪)

 腕:冥土の手袋(無貌の指輪)

 腰:冥土のスカート(無貌の指輪)

 足:冥土の靴(無貌の指輪)


 うわーい、いっぱい増えたー。…じゃないわよ!ちょっと物騒すぎるわよ!耐性系の上がり方異常よ!なんで取ってなかった耐性系のLvがほぼ全部Lv10になってるのよ!それに称号も精神異常者ってやりたくてやったわけじゃないのよ!機会とかで検査すると思ったのに詐欺よ詐欺!

 はぁ、もうヤダ…。ログアウトする…。


「ああ、アリセリアさん検査に付き合っていただき誠にありがとうございます!いやぁ、有意義な時間でしたね。いやはやアリセリアさんはどうにも再生能力が強くてこちらもどうしたら再生しないのかムキになってしまいましたよ。…おや?どうしたのですか?死んだ魚のような目をされて?」


「…あ、もう、ログアウトするので、じゃあ」


「え、ええ、ゆっくりお休み下さい。…わたくし、なにかしてしまいましたかね?」

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