第8話沙月は 新しい能力 を覚えた

 ふわぁ、久しぶりによく寝たわ。

 ここ最近徹夜ばっかりだったし、なんなら昨日なんてエトワール・オンライン…長いわね。エトワ始めたら色々なことが舞い込んで来ててんてこ舞いだったから爆睡だったわね。もう朝って言うよりお昼なのよね〜。

 ん?なんか足の感覚が変なような?なんかぷにゅぷにゅしてるというか…。


「な、なによこれ!触手!?なんで足触手!?えっ?え!?あ、普通に立てた」


【なんだ朝から騒々しい。足が触手になったぐらいで狼狽えるでない。あと順応するのが早いな】


「いや、朝起きて足が触手になってたら誰だって驚くわよ。それにしても何だか歩きやすいわね触手って。人間の足より歩くのが楽だわ。でもなんで足が触手になったのかしら?あと歩く時ぺたぺた鳴るのが欠点ね」


【まぁ、足が触手になったのは融合の進行したからだろうな。進行したことで我の因子が濃くなり身体に出始めたのであろう。人間の足に戻したければ触手に意識を集めて人間の足を思い浮かべろ。それで戻るはずだ】


 えーと、足に意識を集中させて…。戻れー、戻れー、戻れー…、お、戻った!

 んー、触手の方が歩きやすいとか思ったけどどっちも変わらないわね。結局は足は足ってことよね。

 てか、足が触手になったなら意識を集中させれば手とかも触手になったり他のところから触手が出せたりするのかしら?

 気になるしちょっとやってみようかしら。

 まずは手に意識を集中させて…。触手になれ…触手になれ…お、出来た!ふふ、コツが分かってきたわ。よーし、じゃあこのまま触手を増やしてみようかしらね。


【なぁ、アリーよ】


「ん?なに?ちょっと今忙しいんだけど」


【いや、忙しいではなく何をやっているのだ?】


「見てわかるでしょ?触手を出してるのよ。ふふ、これがまた面白いのよね。ほら見て、触手で作った翼」


【うむ、中々に混沌としているではない。だがそんなに触手を出して大丈夫か?】


「え?何が?特に痛いとかはないけど?あ、でも出してるうちに慣れてきたからこんなこともできるわよ。ほら、何も無い空中から触手も出せるのよ。これで手が届かない物も簡単に取れるわ」


【はぁ、我の半身で我が何でもできるとはいえなぜこうも早く空間を開けるなぞ芸当ができる…。できるとしてもまだ先だと思ったんだが…】


「どうしたのよ?見なさいよほら、応用で別の場所に行けるのよ?すごいと思わないわけ?…ん?なんか今青い何かが見えたような?」


【!?今すぐそれを閉じろ!】


「え?う、うん。あれ?この匂いって」


【あぁ?また何処ぞのアホが空間を開けたと思ったら沙月じゃねぇか。久しぶりだな!なんだ、とうとう自力で空間開けちまうようになったのか!すげぇじゃねぇか!…て、おい!這い寄る混沌もいるじゃねぇか!?封印されてたはずじゃねぇのか!】


「ふん、昨日解放されたわ。だがまさか大君主自ら来るとはな。なるほどな、今の会話でアリーが何故精神汚染がなくすぐに空間を開けられたか納得がいった。貴様と既に出会っていたからか。だが何故人間嫌いの貴様がアリーと話せる?いつもなら人だろうが神であろうが噛み付いていた貴様こそ、どんな心変わりだ?」


【まぁまぁ、落ち着けよ這い寄る混沌。俺様もなんで沙月の中にお前がいるのか聞きたいんだ。ま、俺様から話してやってもいいけどな】


「ならばさっさと話せ。貴様は前置きが長いのだ」


【あぁ?いちいち茶々入れんじゃねぇよ。たくっ、俺様と沙月が出会ったのは沙月が今よりもちいせえ頃だな。なんでかは知らねぇが、沙月がこっちの空間を眺めてたからようまたアホが空間開けてやがると思って俺様直々に殺しに行ったらよぉ、こいつなんて言ったと思うよ?純粋な目で見てかっこいいって言って俺様を躊躇なく撫でたんだぜ?普通の人間が俺様を触ったら混血種になっちまうのに平気で触り続けやがるから変な感じがして殺すに殺せなくて帰ったんだが、その日から沙月が時たま見てくるようになったからよぉだんだんと慣れたっつーか殺す気が失せてよぉ、そこから仲良くなった感じだな。俺様の方はこんな感じだぜ。次は這い寄る混沌の番だ】


 あぁ、そういえばそんなこともあったわね。あの時はなんか天井の隅が気になって見てたらなんか青い犬がいっぱい見えたのよね。そしたら一番デカい青い犬が出てきてかっこよかったから撫でたのよね。後から知ったけどティンダロスの大君主だったのにはびっくりしたわよね。


「そうか、アリーの精神力は元から異常だったということか。ふむ、我の方は簡単だな。アリーが我との融合率が高かったからだな。そう睨むな。別にアリーを乗っ取ったりなどせんわ。というよりも乗っ取ることが出来ないというのが正しいがな」


【あぁ?そりゃどういうことだ?這い寄る混沌なら例え精神力が強かろうが簡単に乗っ取れるだろうが。それが沙月には出来ないってのか?】


「そうだ、何故かは分からないがアリーの精神には防御魔術が施されているのだ。だが、我が乗っ取れないのはそれだけじゃない気はするがな。それとアリーを調べていてわかったのだがアリーの中に我以外の複数の因子を発見した。そのうちの1つが貴様の因子だ。多分だがアリーは長時間接していた神性を持つ者の因子を取り込みその能力を使えるのであろう。だが本人が行動を起こさない限りは使えないみたいだがな】


【おいおい、マジかよ。長時間だろうが会ったことのあるヤツの能力を使えるなんて、そんなの神の中にもいねぇぞ。そんなこと続けりゃいつ沙月がぶっ壊れてもおかしくねぇぞ!】


 え?なんか私の状況ヤバい感じなのかしら?でも話しぶりからして私の精神力がめちゃくちゃ強くて、なんかよくわからないけど精神に防御魔術もかかってて、練習すれば色々な神の能力が使えるってことよね?

 …あ、でもそうよね。なんやかんや普通に話したりしてたけど、ニャルもイ=スもミゼーアも会った瞬間発狂間違いなしの部類に入るのよね。

 そうなるとまだ発狂してない私って異常すぎるわね。でもそのうち他の神にも合うわけだし、精神力ゴリゴリ削れてミゼーアの言う通り潰れそうね。

 てか、ニャルはいつの間に出てきたのかしら?考えごとしながら触手で遊び過ぎて出てくるところ見逃したわ。

 そういえばニャルって色んな姿になれるのよね?私もできるかしら?


「我も時間の問題だと思ったのだがな見てみろ、我らが話してる間もアリーは触手で遊び、ましてや別の姿になっているのだ。通常でいえば人間だろうがなかろうが自分の姿形を別のものにした時点で生きることなぞ出来んのにだ。こんなことをやっておいて壊れないのに、我々と同じようなモノに会い続けて壊れる?ふ、片腹痛いわ」


【あぁ、確かにこりゃ壊れねぇわ。元から不定形ならまだしも自分の形が定まってるのにこれをやるなんざ命知らずだぜ。だがこれをみて逆に安心したわ。…よし、じゃあ俺様は戻るぜ。這い寄る混沌何かわかったら俺様にも教えろよな】


「しょうがない、教えてやろう。それとだ、今回は貴様が来たが毎回アリーが空間を開けて別のやつが来ても困るからな、言い聞かせておけ」


【おう、わかった!ちゃんと言っておくぜ、そんじゃな沙月!また遊びに来るぜ!】


「え?あ、うん。じゃあねミゼーア」


 はぁ、びっくりした。急に話しかけられるんだものびっくりして目が複眼になっちゃったわ。でも、ミゼーアに久しぶりに会えて良かったわ。

 それに、やっぱりあのフォルムかっこいいわよね。目が金色で青い毛並みの狼みたいなあのフォルム。ああゆうペット欲しいわね。触手を分離してそこから作れないかしらね?ふふ、気になったらやるしかないわよね!


「なぁアリーよ。何をやっているのだ?」


「ん?ミゼーアを作ってるのよ。まぁ、見た目だけ同じだけの作り物だけどね」


「そ、そうか。あやつをのぉ。まぁ、程々にするのだぞ。それと調べ物をしたい。パソコンを借りても良いか?」


「ええ、いいわよ。あ、そうだちょっと待って。…はい、パソコンのパスワード」


「おお、すまんな。では借りるぞ」


 よし、それじゃあミゼーアを作っていこうかしら。

 まず準備するのは、原型にする白色の触手と毛皮にする青色の触手そして瞳に使う金色の触手、これらを使ってミゼーアを作っていくわよ!

 まずは白色の触手をこねこねして狼の原型を作っていくわ。

 こねこね…こねこね…こねこね…。うん、こんな感じかしらね。

 さて、お次は青色の毛皮を作っていくわ。毛皮は触手から作った特別性なブラシを使って梳いていくわ。

 サッ…サッ…サッ…。よし、出来たわ。これを狼の原型に被せてつなぎ目を消していく作業よ。まぁ、これは乗せて終わりなんだけどね。

 さぁ、ラスト!瞳を作っていくわ!瞳はころころと丸めてはめたら完成ね。

 ころころ…ころころ…ころころ…。よし、これをはめて…。完成よ!

 うん、作成時間3分にしては我ながらいいモノが完成したわね。

 いやぁ、これを作って思ったけど、面白いほどにガッツリ人間辞めたわね私。朝っていうかお昼だけど起きて足が触手になって、遊んでたらどこでもドアみたいな感じのが出来ちゃって、そしたらミゼーアが来て、ニャルとミゼーアが話してる間に触手で遊びまくって、ニャルが色んな姿になれるのを思い出してそれを真似したら出来て、最終的に自分の腕の触手を切り落としてミゼーアの模型を作るって、今思えばかなりおかしいわね!


 ぎゅるるるる〜


 そういえば、お昼なのよねぇ。確か昨日の夜、涼太が和食って言ってたわね。ふふ、楽しみだわ!

 お昼食べたらすぐにでもエトワをやらなきゃね。とりあえず当面の間はなかなか上がらないレベル上げをしなきゃよね!

 目指せレベル10よ!

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