第7話私の家が人外魔境でした

 …ふぅ、戻ってきてはいいけど寝る前にまとめる事まとめないとなぁ。


【ほう、ここがアリーの部屋か。中々に…物が少ないな。もう少し増やしたらどうだ?】


「え、ちょニャル!?こっちに来れるなんて聞いてないんだけど!」


【まぁ、やってみたら出来たからな。アリーに言う暇はなかったのだ。なぁに、これでいつでも一緒だ、寂しくなかろう?】


「いや、寂しいとは1回も考えてなかったけどあんたとこっちでも一緒って疲れる気しかないんだけど…」


【ふ、だが安心せよ。我は本当に今から休む。だから我のことなど気にせずアリーがやりたいことをすれば良い】


「はぁ、わかったわよ。自由にさせてもらうわ。だからこっちではあまり話しかけないでよね?」


【うむ、善処する】


 善処するって、信用出来ないわね。まぁ、とりあえず情報整理でも始めましょう。

 まずは…そうね、まず得た情報を箇条書きで書出していきましゎう。それとやることリストも作ろうかしらね。


 えーと、ニャルとイ=スから得た情報は

 ・エトワール・オンラインはゲームじゃなくて異世界で、私達プレイヤーの精神だけを送り込んでいる

 ・神とかいうのが私、というかニャルラトホテプとか邪神と融合できる人をエトワール・オンラインに誘導した

 ・ニャルラトホテプとか他の主力メンバーであろう邪神はオーディン達と争った結果、封印された

 ・オーディンと多分強そうなのはアザトースを封印するために命を使った→神だから死ぬのかは不明

 ・イ=スがニャル以外の封印場所を知っている

 ・私は人間じゃなかったらしい

 ・私は1回でも死ぬと私の世界の方の身体も死ぬ

 ※ここ重要!

 ・ゴブリン100匹ぐらい倒してもレベルが上がらない

  (ただしスキルのレベルは上がるもよう)


 って所かな?他に何か書いてないことあるかな?


 コンコンッ


「沙月、まだ起きてるか?」


「起きてるけど、どうしたのお父さん?」


「これから家族会議をするんだ直ぐに来てくれ」


「え、わ、わかった。すぐ行く」


 家族会議ってもう23時過ぎたけどこんな時間になんなんだろう?


 ===================


「お父さーん?来たけど家族会議ってなに?」


 パンッ!パンッ!


「うぇ!?なに!銃声!?」


「沙月」

「姉ちゃん」

「沙月ちゃん」


「「「誕生おめでとう!」」」


「は?えっと、ちょっと待って、理解が追いついてないんだけど。あとその格好はなに?」


「ふふ、それはだな。沙月がニャルラトホテプ様との融合を見事果たしたからな。新たな人生の門出を祝してのお祝いだ」


「うん、ごめん。ちょっとお父さんが何を言ってるのか私よく分からないんだけど?」


「いいのよ、まだ分からなくて。今からちゃんと説明してあげるから」


「ほら姉ちゃん、お祝いなんだから早く席につきなよ」


 どうしよう…家族が壊れた!てかニャルと融合してるのバレてるんだけど!いや、お父さんとお母さんはギア作ってるからバレるだろうけど…。ん?いやちょっと待って。ギアを一から作ったってことはオーディン側ってこと?でも祝ってるってどうゆうこと?ん?え?


「だいぶ戸惑っているようだが安心してくれ。お父さんとお母さんはあいつら側じゃないからな」


「心読まないでよ!…はぁ、で?あいつら側じゃないってどういうこと?あとジリジリと近寄ってこないでお父さん」


「ふふ、お父さんのことはほっといていいわよ。まずはお母さんの事情から説明しますね。その前に、はい、紅茶入れたから飲みなが聞いてね。…じゃあ話すわね。お母さんね、実はヴァルキュリャなの。ちゃんと翼も出せるわよほら」


「ブフゥッ!ごほっ!ごほっ!ちょ、あの!すごいカミングアウトとなんか出しましたけど!この人!」


「ほら沙月ちゃん落ち着いて。それで、なんでヴァルキュリャのお母さんがお父さんと一緒にいるかと言うと、あ、オーディンはもういないけど便宜上オーディン陣営って言うわね。で、オーディン陣営なんだけどもう労働環境がブラック過ぎて絶賛反抗中なの」


 えぇ、聞きたくなかった真実が…。てか、今も働いてるんだよね?ていうことは裏切ってスパイみたいなことしてるってこと?ううん、なんかオーディン陣営警備ザラじゃない?大丈夫?


「それでねお母さん思ったの。何をすればロキのクソ野郎に嫌がらせできるかなって。そして、ひとつの結論にたどり着きました。封印した邪神達を解放すればいいじゃない!って」


 うん、お母さんよ。今までクソ野郎とか聞いた事ないのに言っちゃうってことは相当嫌いなのね。てか、お母さんに嫌われてるってことは他の人?からも嫌われてるでしょロキって。


「なるほどね。お母さんの事情はわかったし、オーディン陣営がお母さんに嫌われるぐらいブラックなこともわかったわ。それでお父さんは?」


「やっとお父さんの番か。お父さんの家系は代々ニャルラトホテプ様を崇めていたんだ。それでな、お父さんのお父さん、沙月と涼太からしたらおじいちゃんの書物室にたまたま入る機会があってな。そこでニャルラトホテプ様の化身とも呼ばれるクルーシュチャ方程式が乗ってる本を見つけて何故か方程式を解けてしまったんだ。それでな、この方程式を解いたら解いた本人はニャルラトホテプ様になるんだが、多分お父さんが解いた時にはもう封印されてしまっていたんだろうな。化身とはいえニャルラトホテプ様だ、御本体との繋がりが薄くなっていたんだろう、お父さんの右腕と左足だけがニャルラトホテプ様の身体になったんだ。だが沙月がニャルラトホテプ様と融合できる話をお母さんから聞いた時はとても嬉しかったぞ!まさかあのーーー」


 …うん、聞きたくなかった真実パート2。まさかお父さんの家系がニャルを崇めていたなんて…。

 はぁ、そっか。私ヴァリキュリャと身体の一部がニャルになった狂信者との間に生まれたのね…。


「それでな、お父さん思ったんだ沙月がニャルラトホテプ様と「お父さんうるさい!」ごふぉっ!」


 お父さんがうるさくて私の中のシリアスな雰囲気がどこか行ったけど色々考えたってしょうがないわよね。よし!切り替えてこ!


「最後は涼太の番よ。もう何が来ても驚かないから言っみなさい」


「んー、僕は母さんや父さん姉ちゃんと違って普通の人間だよ?ちゃんと検査したから間違いないし。それに前々から僕以外が違うのは聞いてたしね」


「え?ほんとに何も無いの?ほんとにほんと?隠し事は良くないわよ?」


「うーん、隠し事じゃないけど強いて言えば色んな世界で勇者やって魔王を倒しまくってることぐらいかな?」


「やっぱりあったじゃない!何が僕は普通の人間だよ?よ!勇者は普通の人間じゃありません!」


 全くもう、なんなのよこの人外魔境わ。ニャルラトホテプ(私)とかヴァルキュリャとか狂信者とか勇者とかもう訳が分からないわよ!


【ふふ、中々愉快な家族ではないか。それにアリーだけ何も知らなかったというのも面白い話だ】


「うるっさいわね!急に喋りだしたと思ったら何が愉快よ!こちとら産まれて18年間自分のことを人間だと思ってたのよ?それが急にお前人間じゃないからよろしく。って言われて愉快なもんですか」


「急に叫び出してどうしたんだ?…まさか!ニャルラトホテプ様のお声が聞こえるのか!?どんなお声なんだどんな喋り方をされるんだ!頼む教えてくれ!」


「ふふ、ふはははははは!アリーの父親は面白いな!見ろ!大の大人が少女に膝まづいているぞ!これが我の信者か!そうかそうか!面白いぞお前!そうでなくてはあの方程式の化身を解くことなんぞ出来んからな!特別に名を聞いてやろう!」


「あ、ありがとうございます!わたくしめはニャルラトホテプ様の下僕!七草 白瑛と申します!ニャルラトホテプ様に名を覚えてもらえるとは光栄でございます!」


 こんなお父さん一生見たくなかった…。あぁ、お母さんも涼太も引いてるわ。やっぱりこの絵面はダメよね。


「お父さん、そろそろ席に戻ってくれる?さすがに気持ち悪いし怖い。あとニャルはどうやって話してるのよ?」


「ふっ、簡単な事だ。我の思念をアリーだけではなくてそこな3人にも伝えただけだ」


 はぁ、なんか凄いことやってるけど、さすがに驚きすぎてもうリアクションとる気すら失せたわ。


「う、すまん…。ふぅ、それでだ。本題に入るんだが」


 本題とかあったんだ。


「お父さん達はニャルラトホテプ様達アザトース陣営に情報や道具などを横流ししようと思ってるんだが、その仲介を沙月に頼みたいと思っている」


「いや、仲介って言われても他の邪神達を解放してないし、陣営の人って言っていいか分からないけど会ったのまだイ=スだけなんだけど?」


「おぉ!イ=スの偉大なる種族か!イ=スの偉大なる種族が居れば道具の心配はないか。それに、封印されてる場所の情報も持っていそうだな…。こちらから出せるものがオーディン陣営の動向しかないぞ、まずいな…」


「白瑛と言ったな。案ずるな、アリーの家族であれば何も心配はいらん。我が口利きをしてやろう。もし反対するものがこれから現れれば、我が潰して説得してやろう」


「なんと!ニャルラトホテプ様にそう言って頂けるとはありがたい!よろしくお頼み申します!」



「うむ、安心して大人しく待っておれ。それとだ、今日はここらで解散とする。アリーが疲れているから休ませる。いいな?」


「はっ!かしこまりました!沙月ゆっくり休むんだぞ」


「う、うん、わかったわ。じゃあおやすみ」


「おやすみなさい沙月ちゃん。寝る前にストレッチするのよ」


「おやすみ姉ちゃん。明日の朝ごはんは姉ちゃんの好きな和食にするね」


「3人もゆっくり休んでね」


 ===================


「それでどうしたのよ?いきなり私のこと気遣って」


【いやなに、融合したてなのだ。我だって気遣うことぐらいあるわ】


「わかったわ。そうゆうことにしてあげるわ。それじゃおやすみ」


【ああ、ゆっくり休んで身体を癒せ】


 ===================


【ふむ、やはり融合の進行が早いな。我の因子とヴァルキュリャの遺伝子を持っているとはいえ、こんなにも融合が早く進むことがあるのか?いや、そもそも何故融合した時に正気を保っていられたのだ?少し失礼するぞ。…ふふ、なるほどな。これはこれで愉快なことが始まりそうではないか。はてさて、これからアリーはどうするのだろうなぁ?】

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