第4話外に出るのが一苦労

 《……プレイヤー:アリセリアの進化が完了しました。お疲れ様でした》


 《ワールドアナウンス》

 ただいま、匿名によりレイドボス:無貌の神が復活しました。

 これによりヘルプにレイドボスについての情報を掲示します。


 《個人アナウンス》

 レイドボス:無貌の神(弱体)に進化しました。

 これによりヘルプにレイドボスについての情報を掲示します。


 進化報酬

 SP30

 スキル

 隠蔽、隠密、忍び足、気配遮断、並列思考

 称号

 レイドボス(封印中)、這いよる混沌


 《個人アナウンス》

 進化したことにより種族スキルを付与されます。

 ERRORー種族レベルが低すぎるためスキルを1部封印します。


 スキル

 無貌、発狂付与(封印中)、召喚:シャンタック鳥(封印中)、召喚:ナイトゴーント(封印中)


 スゥー……。意識を取り戻した直後にアナウンスとか嫌がらせですか?


【ん?ようやく起きたか、我が半身よ】


 あー、コレもいたんだった。もうちょっと意識を失っていたかったわ……。


 「ええ、おはよう。それと今から色々と確認するからまた黙っててね」


【我の扱い雑すぎなのだが……】


 「いや、雑じゃないわよ。これが正しいあなたの扱いよ」


【……】


 よし、黙ったところでツッコミどころしかない色々を見ていきましょうか。まずは、スキルから。


 スキル

 道具鑑定Lv1

 鑑定よりも道具限定で詳細な情報が見ることが出来る。


 目利きLv1

 道具が本物か偽物かを見分けられるようになる。

 また意思を持つ道具かも判別出来るようになる。


 隠蔽Lv1

 隠したいものを隠せる。

 Lvが上がればステータスも隠せるようになる。


 隠密Lv1

 隠れるのが上手くなる。


 忍び足Lv1

 音を立てずに歩けるようになる。


 気配遮断Lv1

 気配を隠すことが出来る。

 ただし、気配探知を使用された場合相手の気配探知のLvが上の場合バレる。


 並列思考Lv1

 同時に違うことを考えることが出来る。


 無貌Lv1

 自分がなりたいと思ったありとあらゆる姿になれる。


 発狂付与Lv1(封印中)

 相手に状態異常:発狂を付与することが出来る。ただし、成功する確率は低い。


 召喚:シャンタック鳥(封印中)

 シャンタック鳥を召喚することが出来る。


 召喚:ナイトゴーント(封印中)

 ナイトゴーントを召喚することが出来る。


 ……うん、説明雑過ぎないですかね?いや、言いたいことは分かるのよ。簡単に伝わりやすくしたんだろうけど、もうちょっと説明が欲しいかなって思うのよね。

 とりあえず後で、お気持ちメールを送っておきましょう。

 さて次は称号を見ましょう。


 称号

 幻想級装備を手にした者

 プレイヤーで初めて幻想級装備を手に入れた者へ贈られる記念称号。


 βの加護

 管理AI:βから贈られた称号。

 この世界の住人から好かれやすくなる。1部の住人から注目される。

 PS:これから先頑張ってください。


 レイドボス(封印中)

 この世界に災いをもたらす悪しき生物に贈られる称号。

 戦闘中、敵の数が多いとステータスに補正がかかる。

 PS:イベント時にお願いしに行きますので、それまでお待ちください。


 這いよる混沌

 いつもニコニコあなたの隣に這いよる混沌ニャルラトホテプです!

 隠密系スキルに補正、闇・暗黒属性に耐性がつく。


 ……はぁ、3つ目までは許そう。だがしかし、這いよる混沌お前だけはダメだ!

 どうして最後にネタをぶち込んできたのよ運営!せっかく目を逸らしてたのに!

 「最初に種族の無貌なる者でそうかな?って思って、狂気、発狂で「あ、これクトゥルフ系だ」って確定したわよ!したけど、まさか自分がニャル様になるとは思わないじゃない!どうしてくれるのよ!」


【ど、どうしたのだ我が半身よ?いきなり叫びだしたりなどして?】


 「あ"あ"?どうかしたかですって?あなたにも原因があるんですよニャルラトホテプ!あなたが私をここに導かなければ、私はレイドボスになんかならなかったんですよ!それをあなたが導いたから……」


【そ、それは誠に申し訳ないことをした。して、なぜ我の名が分かったのだ?】


 「そんなの称号を見たからに決まってるじゃない」


【称号?……ふむ、我が半身よ。我に視覚情報の共有を頼む】


 「え?なに、もしかして見えてなかったの?」


【うむ、身体の権限を持っているのは半身だからな。それと、聴覚も頼む】


 「でも、さっきまでは私と話してたじゃない」


【さっきまではオーブに封印されてただけだからな。見ることも聞くことも出来たが、我が半身と融合したことにより出来なくなったがの】


 「なるほどね。じゃあ、ほんとに自分からは何も出来なくなってるのね。わかったは、視覚情報と聴覚の共有?をするから待ってちょうだい」


【うむ、頼んだぞ我が半身よ】


 まだ、ちょっとだけ上から目線なのがイラッてくるけどさっきよりかはマシだから許してあげようかな。

 とりあえず視覚情報と聴覚の共有ってどうやってやるのかしら?

 ……あら?メニューの下の方に『感覚共有』なんてあったっかしら?

 まぁいっか。とりあえず視覚情報と聴覚をONにしてっと。あ、そうだ、どうせ乗っ取られないなら全部ONにしちゃおっと。


【む?おお、全部の感覚を共有するとは感謝するぞ我が半身よ】


 「はいはい。とりあえずこれが称号よ」


【ふむふむ……、なるほど理解したぞ。神々もまた面白いことをするではないか】


 そういえば、ヘルプも見てないや。とりあえず見とこ。


 「ちょっとヘルプ見るから画面変えるわよ」


【わかった。我は少し考えることがあるから好きにするといい】


 ほんとにコイツ自由ね。ニャルラトホテプだけあるわ。

 とりあえずヘルプを開いて、新しく来たのだけで見ましょうかね。


 ヘルプ

 遺跡

 世界各地にあり遺跡内には宝物がある場合もある。

 ただし、必ず遺跡を見つけるのは難しい。


 幻想級装備

 見つけるのに100年はかかるほど見つけるのが困難な代物。

 見つけるのが困難な代物だが装備の持つ力は絶大。


 レイドボス

 世界に災いをもたらす自然災害のような悪しき生物。

 レイドボスには様々な種類がおり這いよる混沌からドラゴンまで多種多様な存在がいる。


 ヘルプだけあって当たり障りないことだけしか書いてないわね。でも、ドラゴンがいるのが知れたのはいい情報ね。

 ……さて、ここにはもう用はないだろうしそろそろ外に出ましょうか。


 ===================


 ふぅ、外の空気が美味しー!空気が美味しく感じるとかやっぱりこのゲームすごいね!

 あ、そういえば外に出る前に放置してた怪しい本を探したんだけどこにもなかったのよね。どこにいったんだろう?

 とりあえず分からないことは置いといて街を目指そうと思うんだけど街ってどっちにあるんだろう?一応マップはあるんだけど私のいる位置以外全部灰色で見えないんだけど?


 「ねえ、ニャルラトホテプ。街の場所って分かったりする?」


【街など我が封印された時にはこのンガイの森の近くにはなかったと記憶するが、封印されてから500年は経っているからな、もしかしたらあるかもしれんが我は知らん】


 「ご、500年も封印されてたのね。それじゃあ知るわけないか……。とりあえず歩いてみるけどニャルラトホテプも何か見つけたら言うのよ」


 てか、ンガイの森って言った?ここの運営はクトゥルフ神話が好きなのかしら?ログアウトしたら、お父さんかお母さんに聞いてみましょう。


【わかったが、いちいちニャルラトホテプというのは言い難いであろう。先程ニャル様と呼んでいたではないかそれで呼べばいいのではないか?】


 「え、嫌ですけど。……でもそうね。いちいちニャルラトホテプって呼ぶのもアレだしニャルって呼ぶわ。よろしくね、ニャル」


【ふん、結局安直なのにしおったか。だが、これから先よろしく頼むぞ、我が半身よ】


 「その半身って呼ぶのやめてくれる?私はアリセリアって名前なの。そうね……、じゃあこれからはアリーとでも呼んでちょうだい」


【わかった、よろしく頼むぞアリー】


 「よし、じゃあ街探しと行きますか」


 ===================


 ぜんっぜん!森が途切れないんですけど!

 とりあえずマップ見ながら真っ直ぐ進んでるんだけどこの森広すぎませんかね!その分色々と手に入ったからいいんですけどね!


 「この森ちょっと広すぎない?ニャルはなんか見つけた?」


【いや、見つけてはいないがこの森全体に人避けと魔物避けが施されている、後はもし間違って入って来た人間ように施されてるであろうマップ情報を誤認させる魔法がかかっているな】


 「いや、それもっと早く言いなさいよ!」


【しかし、アリーが楽しそうに採取をしているからな邪魔しないようにしてやろうという我の配慮だったのだがな】


 「ぐ、それは私が悪いわね。ごめんなさい、ずっと歩きっぱなしでイライラしてたのよ」


【そうだったのか。ではそろそろ森を抜けていいのだな?】


 「ええ、お願いするわ。ところでどうしてニャルはそんなのが施されてるって分かったの?」


【ふ、それは簡単なことだ。我は人間に知恵を授けてその知恵で破滅するのを楽しむ神だぞ。この様な幼稚な魔導モドキを解くなど眠りながらでも解けるわ】


 「じゃあ解くのをお願いしてもいい?」


【いいだろう。と、言いたいところだがアリーと融合したことで解けなくなっているがな。だが、正しい道を教えるのは出来るぞ】


 「それじゃあお願いね」


 ===================


【そこを右だ】


【1歩下がって左】


【目の前の木まで5秒で辿り着け】


【止まってその場で手を叩け】


【右手の木を殴れ】


【そこのキノコを取れ】


【そこで……】


 ===================


 あぁ、やっと出れた…。ニャルがいなければ外に出る前にやめてたかもしれない。

 元の原因はニャルだけど、それは気にしないことにしましょう。


【随分と森の規模がデカくなっていて案内がめんどくさかったぞ。アリー】


 「知らないわよそんなの。別に私が魔法をかけたわけじゃないんだから」


【確かにその通りだな。して、人間の街に行きたいんだったな】


 「そうだけど、ニャルも500年遺跡から出てないから分からないでしょ?」


【ん?そんなもの人間の持つ生気でわかるぞ。そうだな、とりあえず左をずっと真っ直ぐ進んでみろ。そこに街があると思うぞ】


 「私にはその生気?が分からないけど、とりあえずこっちを真っ直ぐ進めばいいのね」


 あ、そういえば私メイドのロールプレイするはずだったのよね。街にメイド服の装備でもあればいいんだけどな〜。

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