第30話 俺、1人です。王城に着きました。②

「ふふふ、その言葉を待っていた。

‥‥早速、命令だけど、アーラル姉様のとこに行ってきて。」


「は?」

つい、素でしゃべってしまった。


「いや〜、君を渡すから、王にならないでって頼んだら、案外食いついてね〜、

1番強い立場のアーラル姉様が居なくなるのは

凄くデカいからね〜。」


あの手紙の意味はこれか!?


そう言われた俺は無理矢理アーラル王女の部屋の前に連れて行かれた。

簡単に逃げれたけど、今回のは俺の失態だ‥‥。


「あ〜、怖い‥‥。」

そう言った瞬間だった。


俺は、アーラル王女に馬乗りにされていた。


え?なんで?


「嬉しいわ、サウス〜。

私、ずっと待ってたのよ〜。

あなたがいない日々なんて、つまらなくて、

つまらなくて、私、新しく『瞬間移動魔法』

まで覚えたのよ〜。」


なんか、答えを言ったけど、そんなことどうでもいい。

この危機的状況に比べれば。


「あぁ、あんなに手に入らなかった、サウスがこんなに簡単に‥‥。

どうしましょう?」


ヤバい、マジの貞操の危機だ。


「アーラル王女、流石に、この状況は不味いかと、なので、一旦離れてみては‥‥。」


そう諭すように言う俺。


「いや!!

ねぇ、なんで、そんなこと言うの!?

私のことが嫌いになったの!?

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、

ねぇ、なんでなの!?」


あぁ、ヤバい!ヤバい!!


言葉では、無理だと思った俺は、無理矢理離れることを決行する。


だが、力では勝てない。


なんでだ?


そして、魔法も効かない。


なんでだ?


「私だって、ダリアンの教えを受けているは、簡単に離れれると思わないで!

それより、なんで、そんなことするの!?」


あっ、やっべ、さらに怒らせた。


「‥‥仕方ない、色々して黙らせるしかない。」


そう言って、だんだんとアーラル王女の顔が近づく。


待て!

女尊男卑の世界でキスなんかされたら、

ほぼ、結婚することになるじゃないか!!


‥‥アーラル王女を殺すことは出来る。

だが、その手は悪手だ。


世界から『グラード国のユリ』と呼ばれているアーラル王女を殺せば、それだけで、この国だけではなく、他国からも命を狙われる。


俺がそんなことを考えても、

容赦なく近づく唇。


顔を逸らそうとする俺。


そして、唇が止まる。


不思議に思って、アーラル王女を見ると、


「こんな‥‥とき‥に。」


そう言って、アーラル王女は倒れる。


「終わっ‥‥た?でも‥‥何故だ?」




黒百合の花言葉は『復讐』と『呪い』。

俺は『グラード国のユリ』の本当の意味を知る。

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