第20話 俺、エスコートします。本番です。④

「お前のような!王族と平民の混血なんかがちょっと、女に惚れられたからって!!

調子に乗るな!!」


こいつは典型的な貴族至上主義の輩だな。

面倒くさいことになった‥‥。


「ちょっとナルシス、あなた、どういうつもり?」


と、ため息混じりで話すアーラル王女。


俺も思った。わざわざ、こんなことをするメリットが無さ過ぎる。

まず、外聞が悪くなる。そこから、国王への道はかなり険しくなる。

もしかしたら、婚約も難しくなるかもしれない。


「それは、こちらのセリフです。

何故、姉様はこんなような者なんかと、

いらっしゃるんですか!?」


「だから、それは私がサウスを好きになったからと言っているでしょう。」

まるで、母親が子供をなだめるような声だった。


「そんなこと信じられません!

第一、一応そんな者でも、王族の親戚にあたります。結婚など不可能です!!」


「そう、確かにそうね、

‥‥でも、前例がないわけではないのよ。」


これは、事実であった。

初代国王は、自分の妹と結婚していた。

‥‥まぁ、バッシングは結構あったらしいけど。


「ちっ!!‥‥おい、お前発言を許可する。だから、俺の従者と決闘をしろ!!」


すると、俺の真上から、剣が降りてきた。


「なっ!」

間一髪で俺はその攻撃を避けた。


「お前の意見なんか聞かない!!

どうだ、俺の従者は近衛騎士団長だぞ!

才能無しのお前なんかが勝てるわけない!!」


ナルシスは暴挙に出た。

こんなことをすれば、自分の立場がさらに悪くなるというのに‥‥。


だが、これを止められる者は存在しない。

一応王族なら止められるが、今のところはいない。

いや、1人だけいるな。

第3王子ユラウス王子だった。

何故、助けようとするんだ?

まぁ、気になるが、また今度聞くとしよう。


今はこのくだらない決闘をなんとかしなければ、ならない。


俺は観察を始めた。

筋骨隆々な体から溢れ出る力強さ、魔力も周囲に出てしまう程溢れている。

強いな‥‥。今のところ俺が攻撃を避けたことに驚いて止まっているが、

すぐにくるだろう。


血を出すのまずいな‥‥。

まぁ、余裕だ。

そう思った俺は、闇のデバフを近衛騎士団長にありえない程付けた。


それと同時に、近衛騎士団長は倒れた。


「「「!?」」」

周囲は騒然とした。


それに構わず、俺は言葉を続ける。

「人は不自由な生き物だな。」


そして、俺は近衛騎士団長の首を掴んだ。

‥‥いつでも、殺せると示すために。


「これでもまだ、負けを認められないのか?」


その言葉に腹を立てたのか、怒りながらナルシスは走り去った。


これで、懲りてくれればいいんだが‥‥。


まぁ、このことで、他の令嬢達から暴力的と嫌われてしまったと思えば、トントンかな?

だが違った、先程よりもさらに強くなった。熱烈な視線を受けた。


ちょっと待て、こんなDV野郎嫌だろ!!

そう思って、ユアン様を見ると、

カッコ良かったと言われて、抱きかれてしまった。


まるで、自分のものだと示すように。




これから、忙しくなることと2作目も書こうとしていることもあるので、

これからは、朝7時に何か1本出していくことにします。

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