第18話 俺、エスコートします。本番です。②

憤りながらも、冷静にユアン様は聞いた。

「何故、私の専属執事が必要なんですか?」


言ってることは、当たり前なことだった。

いくら可能なこととはいえ、普通は相手を連れてたりするから、他人の専属執事をダンスを頼むことはほとんどない。


「実は‥‥連れてくるはずだった、私の専属執事が今日は病欠で来れなくて‥‥他にも‥。」

最後にぼそっと一言付け加えたアーヤ


「‥‥他にも?‥もしかして、一目惚れですか?」


「えぇ!?

‥‥そ、そうかも‥しれません。」

その言葉と同時にユアン様が俺の足を踏んできた。


俺はそんなこと教えてませんよ!?


そして、アーヤの父親である、ラーザルからも睨まれてしまった。

俺、今の悪くないよ‥‥。


「はぁ、仕方ないですね。いいですよ、私の専属執事を使っても。」

「本当ですか!?ありがとうございます!!」


「でも、先にあなたが踊ってください。」


謎に、さっさとサウスを返せと言わんばかりの声だった。


「い‥‥や、いえ、ありがとうございます。」


今、嫌って言おうとした?

‥‥まぁ、そんなわけないか。

だから、ユアン様そんなに睨まないで‥‥。


そして、俺はアーヤと踊ることになった。


「サウスさん、今夜は私と踊って頂きありがとうございます。」


「いえ、お嬢様のためですから。

そして、敬称も敬語も不要ですよ。私はただの平民の執事ですから。」


「それなら、サウスさんも私に敬語を使わないでください。」

と上目遣いで言ってくる、アーヤ。


「それは、さすがに‥‥。」

この子ズルくない!?そんな顔で見られたら

「分かりました。」

こう言っちゃうよ‥‥。


「ですが、それは2人だけの時にしてください。」

なんとか踏み留まった俺、えらい!


「分かりました。それで大丈夫ですよ。

それは、それで特別感がありますから。」

あれ?俺ミスった?

‥‥大丈夫か‥な?


そして、踊り終わった俺はすぐにユアン様と踊ることになった。


「あの子なんで私からサウスを取るの!?

私のサウスなのに!!。」


小声ながらもかなりの威圧感のある声で話すユアン様。

それでも、顔に無駄な力を入れることなく、

そこには、誰もが羨むかわいいご令嬢の姿があった。


「若気の至りですよ。ユアン様。」


「サウスは黙ってなさい。」


ユアン様に怒られてしまった。

正直言って、まだ専属執事となって、数ヶ月で

こういう時、困ってしまう。


「でも、ノ‥‥も私と同‥だ‥‥のかな?」


「今、何て言いましたか?」


「なんでもありません。」


そう言って笑うユアン様はとても『可愛い』かった。


俺達のダンスが終わったと同時に大きな拍手が起こった。


「「え?」」


俺とユアン様がそう言うと同時に令嬢達からの熱烈な視線が俺に向いた。

これ以上、俺の心労を増やさないで‥‥。





今回、『可愛い』を始めて使いました。

書くのが楽しいです。

なので、これから2作目を書こうと思っています。

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