第86話 アーナキという星

 元々は、陸も海も不規則な。

 地球と同じような山あり谷あり砂漠あり。

 プレートもあれば、火山もある普通の星だった。

 

 ただ。そこに住む人たちは勤勉で、地殻流れの仕組みを解析して。

 そこに干渉して、数世代をかけて大陸そのものの構造を変更した。


 また、世の中に流れる魔素に着目。

 それを利用し、己の肉体をも改造して、高位の存在。

 ハイヒューマンへと至った。


 その後も慢心せず、星を管理し、コントロールをする。


 そして、さらに高位の存在である。

 神と邂逅して、理の一部について教わることになる。


 それが魔法で、周辺の魔素に特性を与えて、コントロールをすることにより、現象として発現させる。



 この後。

 科学技術と魔法が融合されて、さらなる高みへと、発展をしていった。


 その勤勉で高みを目指す姿を、神は気に入り。

 適度な、神託という助言を、与えてくれることとなる。


 そうした折。

 別の宇宙から魔素の流れに乗って、邪悪な意識の集合体が流れてきた。


 宇宙はここだけではなく。

 いくつもの宇宙が、存在している。


 その宇宙を、運用するためのエネルギーが魔素で、更なる高位な世界から、供給されている。


 どこの世界で、生まれて来たのか不明だが、その邪悪な意識体は、数億年の漂流の後。

 生命体の溢れる星を見つけた。


 その星へと静かに、降り立った。


 そして、生命体の欲望や妬みを糧として、密度を増していく。


 力を増した邪悪なものは、周りの生物を浸食。

 その生命そのものを、糧として広がり増殖していった。


 その時。

 神から神託があり、光たる聖魔法により、滅することができると教えられ。

 今まで、依り代のみしか、破壊できず困っていたハイヒューマンは。

 聖魔法を覚え。

 さらに魔道具に組み込み、押し返し始める。


 だが。その頃には。

 その長き戦いの為に、生きとし生ける動植物たちに対し、汚染が始まり。

 モンスターが出始めた。

 木々もモンスター化をして、酸素ではなく毒を吐き始める。


 そのため。

 空気にも毒が回り始めて、人々は、シールドをまだ無事だった、一つの大陸に張りそこで生活を行うことにした。


 そののち。

 魔素たるエネルギーを、効率的に集めるため。

 リング状に大陸を繋いでいたトンネルから、中央に星の管理室を作るため。

 島を赤道上に2か所作り。

 そこを中心に、光魔法を星全体に放射して、邪神と呼ばれるようになった意識体を、浄化する計画が始められた。


 それと同時に、人類再生計画として、外の犯された空気でも。

 生存できる3タイプ。

 強化された、新人類を地上に生活させて、生活圏の奪還を目指した。


 5年の月日をかけて、計画され。

 膨大な魔素を蓄え。

 ある日。

 その奪還計画は、実行された。


 膨大な魔素から変換された。

 光魔法は、星の上のすべてを覆いつくした。


 だがしかし。

 一部に、地下からエネルギーを得ているのか。

 強い反発をする場所があった。


 それを見つけた神。


 星にある魔素は、今現在。

 魔道具による攻撃に使われているため、自身の生命エネルギーを聖魔法へと変換して撃ち込んだ。


 神として。

 霊体の状態で、数億年の月日を生きて来たが、蓄えていた生命エネルギーは思ったよりも少なかったようだ。


 神は、自身の存在が消える前に、星の管理室に残っていたものに、力を与えることとした。


 最後に、星の命のために尽くせた。

 納得して、消滅しかけた、その意識の端。


 ランパスに張られたシールド内部が。黒く染められていたのを、見ることになった。


 邪神は、攻撃を受けたときに、地下へ潜り。

 熱に焼かれながらも、ランパスにたどり着き。

 シールドに守られていた、内部を浸食して、犯しつくしたようだ。


 最後の力で、『まだ奴は生きている。倒せ』と、神託を残し。神は消滅をした。



「うーん」

 俺は、ライブラリの端末を、頭から外す。


「どうしたの? 何か発見でも、ありましたでしょうか?」

 横に控えていた、テレーゼが聞いてくる。


「一つは、ここと同じものが星の反対側にある。それと、邪神の最後は、ランパスのシールド内だったようだ。地下の龍脈というか、エネルギーラインを移動したらしい」


「でも先日開いたときには、そのような気配はありませんでした」

「ああそうだ。数千年のうちに食い荒らして、滅亡したのならいいが。移動したのならまずいな」



 話を聞いていた、みちよが、

「星の反対側に行ってみる?」

 と聞いてきた。


「ああそうだな。行ってみるか」


 そういや。最近テレーゼと出かけるときに、必ずみちよが付いてくるようになったな。


 とりあえずは、様子を見るため、霊体で様子を見に行く。


 星の半周はさすがに、距離があったが。

 それでも無事に、たどり着いた。


 中へ入ると、全く同じ作り。

 下には、4つの方向から来たロータリーがあり。

 上の階には、池の真ん中に、小さな島がある。


 橋がつながる島に降り立つと、やはり同じ「汝の道を示せ」が聞こえてきた。


 体に戻り、同じ物があったと、説明をする。

「行ってみましょう」


 そう言って、3人で移動をした。


 そういえば。

 フェンは拠点で、子供たちを鍛えている。

 俺がライブラリを見ているところを、眺めていてもつまらんらしい。

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