第85話 邪神との戦い
シールド内で、出てきては、消えてを繰り返す。
邪神に、ちょっと人類が押されている。
なぜかと言うと、始まってからすでに3日。
聖魔法の使い手が疲れてきて、バランスが崩れ。
俺たちも、途中参加をした。
「どうしよう。じり貧だな。一度撤退して、やり直すか?」
「あふれてきた時が、怖いですね」
シールドは張っているが。
地下はどこまで深いのか、探査してもぼやけていたため、完全に抑えているとは限らない。
もしかすると、フェンの言っていた通り。
地下から、エネルギーを吸っている可能性もある。
「もう少し地下を確認したいが。霊体でも、あいつに触れると、間違いなく影響を受けるだろう」
先に情報か。
「なあ。テレーゼ」
「なあに? 神代さま」
最近、すっかり態度が変わった女神である。
今もニコニコと、小首をかしげて来る。
彼女がこんなに変わったのは、俺とつながった時に得る安心感と、なにか温かい物が供給されて、それにより心が満たされると本人が言っている。
みちよやフェンには感じられないらしい。
元々眷属は、俺とリンクがあるからな。よく分からん。
「魔力の許(もと)というのは、地面の下を流れて、火山から地上に噴き出すと聞いたが本当か? 」
「地面の下。アセノスフェアの上層に沿って流れていて、発散型境界で噴き上げていると言われているの。でも、その発生は、星のコアだとも言われているし、宇宙の外から供給されるもので。世界そのものを維持するエネルギーとも言われているから。うーん。詳細は不明だと思うの。でも、昔調べたときに、魔素濃度は、火山やプレートの誕生する境界部では、濃いと結果が出ているわ」
そう言った後。
頭をこっちに向ける。
黙って俺は頭をなでる。
「たらしね」
なにかぼそっと、みちよが毒づく。
「地下から、エネルギーを吸っている可能性もある。という事だな」
「地殻を落として、一時的に流れを阻害することもできるわ」
「それをすると。大陸が壊れないか」
「当然。壊れるわ」
すごく。にこやかに答える。
「でも、昔そうやって。地殻の整理をして、この世界を作り直したはずよ」
「それでこんなに。大陸の形が揃っているのか」
「うん。驚いた?」
「ああ驚いた」
なぜか周りは、やれやれという感じだが。
「さて。聞いた通り、邪神が地下からエネルギーを吸収しているなら、話は複雑だ。一度でかいのを撃ち込んで、撤退しよう」
「そうね。昔倒しきれなかったのも、その影響がありそうね」
みちよがそう言うと、
「それはね。今回みたいにシールドを張らず。遠距離から攻撃したから散らばっちゃったの」
テレーゼが答える。
「ああ。まあ分かった。ここを倒しても、他にもいるかもしれないと、言うことだな」
テレーゼが頷いている。
「じゃあ。撃ち込んでみようか」
俺とみちよ。坂下さんと並木くんとサラス。そしてテレーゼで、一気に周辺魔力を聖魔法に変換してぶち込む。
思ったより光が強く。すべての世界が、塗りつぶされるほどの光が、辺りを包んでいく。
その後。開いた穴を覗き込む。
ものすごく深い穴の先に、ふつふつとわく溶岩が見える。
「ありゃ? 消したみたいだぞ」
みんなものぞき込み。底を確認する。
「あーまあ、消えたならいい。蓋をしておこう」
土魔法で硬質の蓋をかけ、どんどん埋めていく。
「あっさりだが、これで終わったと思うか?」
「そういうのを、フラグっていうのよ」
そう言って、みちよが、いやそうな顔をした。
シールドを解除して。みんなが、ゲートを通り帰っていく。
その後。一月ほど様子を見た。
しかし、問題なさそうなので、変化があれば連絡するように、見張りを残して、俺たちも帰った。
見張りは各国。時差を利用して、うまくするようだ。
その間に、ぼーっとしていたわけではなく、テレーゼの案内で、管理島の管理室に何があり、何ができるかを確認をしに行った。
地下には、やはり全部のトンネルから集まって来る。
魔素を利用したエネルギーを、ランパスのシールドだけではなく、それぞれの大陸の安定や、コントロールに利用していた。
地殻。つまりプレートの流れをコントロールする技術があり、それを利用して大陸が乗っているプレートが、各々動かないようにしてるらしい。
それにより、山の高さもコントロールをして、穀倉地などの雨の量や、空気の対流までも調整ができるようだ。
ランパスは超古代の文明跡にも行ってみたが、シールド内での気候コントロールに失敗したのか。
異常が出たのか、枯れ果てて。それこそ文明跡というのが、正しい状態だった。
中に残った施設跡を見てみたが、使えそうな物はなく。
シールドは解除した。
まあ、残されていた物に対して、知識がないため。
ひょっとすると、画期的な物があるのかもしれないが。
現状テレーゼにも、不明なものだ。放置しても良いだろう。
おれも。ここの管理室に入れるようにして、残されていたライブラリを見る。
海馬や記憶野に直接シグナルが与えられて、体験ができる感じなので、見るという表現はおかしいのかもしれない。
そのライブラリは、この星の歴史から技術的なものまで。
多岐にわたっているため、俺はここに通い詰めることになった。
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