第84話 これからの事

「さて、各王もいる事だし。これからについて話をしよう。重要なのは、邪神が生きていて。いつ出てくるかも、しれないと言う事だな」


「そうなのよ」

 女神が叫ぶ。

「まず。邪神は、どういった姿をしているんだ?」

「定形は無くて。黒い霧みたいな物。触れると生物は死ぬし、死者は起き上がって生者を襲うのよ」


「あー。あいつか」


「知っているの?」

「ああ。ハイヒューマンの遺跡に住み着いている」

「はあ? あっ」

 ちっ、しまった。並木くん。気が付いたか。


「あんた。あれの事を知っていたのかよ。俺も死にかかったし、兵士も幾人か犠牲になったんだぞ」

「あー、そりゃ悪い。俺たちも聖国の目を盗んで、海に出ようとしたら、あれが出て来ただけだしな」


 やばい。皆がジト目で見て来る。

 みちよとフェンは、知らんぷりかよ。


「おかげで居場所は分かったし、聖魔法で駆除できるのだろう」

「少しでも逃がしたら、また増えるから。逃がさないようにしないとまずいわよ」

「まあ。何とかなるだろう」


「いい加減。この縄ほどいてよ」

「いいだろう」

 と言って、縄を管理から外す。


「まったくもう。ひどい目に遭ったわ」

「普段は、どこに居たんだ?」

「あそこの地下に、シェルターがあって。そこのカプセルで眠っているのよ。もうあきたわ。私もここで暮らそう」

 何を言っているんだ。この駄女神は?


「何を言っているんだ。ちゃんと自分の仕事をしろ」

「あなたが、管理者になったんでしょう? 私はゆっくりするの」


「俺はこの世界の管理じゃない。お前が、ばかなことをしないように、管理するのが仕事だ」

「ふーん。私の管理ね。異世界ものでも同じ種族。いいわよ管理してね」

 こいつ。何か違う方に、話を持って行ってやがるな。


「あー。神代様」

「ああっ」


「ひっ」

 ああ脅かしてしまった。


「悪い。なんだ?」

「私ら、国へ帰って、先ほどの話を周知。聖魔法の使い手を、鍛えようと思うのだが……」

「ああ。そうだな。送って行こう」


 各王を、自分の城へ送って行く。


「あいつら結局。風呂に入っただけだな」



 その後。女神の事は気にせずに、俺たちは普段通りの生活を始めた。


 すると。女神の行動。基本は、小さな子。そのものだった。


 子供の頃は戦乱。

 どんどん押し寄せて来る、ゾンビ軍団と、彼女の両親も戦いに明け暮れ。

 戦乱の中。

 まともな教育も受けられず。と、言っても。

 基礎教育はカプセルで受けたらしい。

 つまり集団の中で、友人とか、そういう付き合いが、皆無だったようだ。


 つまり。

 俺たちが風呂に入れば、ひょいひょいついて来て、ポイポイ脱いで。隠しもしない。

 すぐにみちよが気がつく。

 女神。行動が基本子供ね。

 それに気が付き、世話をやき始めた。


 結構なスタイルの女性が、お風呂でこんなの初めてとはしゃぎ。

 食事でも、和風に振ってみたが、こんなもの初めて食べる。

 そう言って、ぱくぱくと食っていた。


 この体は、培養槽から出たばかりだが、記憶は引き継いでいる。

 そのため、記憶の中では、普段栄養食とエネルギー食の二つを、水で飲んでいたようだ。

 戦争時のレーションが、大量に保管されているらしい。

 まあ大量に作ったが、人間はどんどん死んだからな。



 彼女は、客間を作り寝かせていたが、いつの間にか俺たちの営みに混ざって来た。

 さみしくてこっちに来た時に、フェンがいたずら心を起こして、混ぜたようだ。

「主。違うのが分かったか?」とか言っていたが、わかるさ。そんなもの。

 フェンの胸は、もっと張りがある。



 まあ俺の体力に、問題は無いし。良いだろう。


 それからあと。

 各種族の聖魔法使いに指導をしに行ったり、攻撃時の方法や手順。

 撤退時の逃げ方について、議論をして話を詰めた。


 邪神に巻き込まれると、ゾンビ化して敵になる為。

 ゲートを大量生産して、それを利用して、逃げる戦術? を基本とした。


 当然ゲートは、魔石を加工して認証制にしてある。ただ。ゾンビになると、掻い潜ってくる可能性があるため。体温センサーも組み込んだ。


 そんな、生活をして半年ほど。


 俺たちがミスルールの拠点に居るために、代表になっているソレムニティーの王、トゥランから使者がやって来た。

 まあ。ゲートを置いてあるからな。


 邪神の力を窺うため、一当てしてみるとの事だ。

 場所は、ミスルールからランブルへと向かう、岬の地下。

 港の事は、伝えてある。


 この半年の間に、ダンジョン側は、各種族の聖魔法使いの練習により、浄化されている。


 見張り兼。目印として。

 シーサーベントを待機させておくと伝え。

 様子を見ることにする。


 当日。

 俺たちは、シーサーベントの頭の上で、お茶をしながら見ていた。

 獣人族の宰相。プリメールは、現れたシーサーベントを見て感動をしてくれた。

 伝説の神獣を、神代様が使役していたとは。と、言って。

 さすがでございます。と、泣いていたようだ。


 とりあえず。ゲートを配置した外側に、耐物理の結界を坂下さんが張り。

 その中で、聖魔法使いたちが、攻撃を開始する。


 すると、振動が起こり始めて、遺跡ごと崖が崩落を始める。


 その後。

 港の奥から、黒い霧が一気に噴き出す。

 波状に連続攻撃される聖魔法。

 それに触れると、以外とあっけなく、端から消滅をしていく。


 聖魔法は、火縄銃の三段撃ちと同じように、各種族が、順に代わりながら撃ち込んでいく。


 うん。耐物理の結界で、抑え込めているようだ。


 俺たちは、海の上から順調そうな。

 その戦いを眺めていた。

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