第73話 3国交流

 翌日。

 朝から、各王に会うため、まず獣人国へ飛んだ。


 城に転移し、うろうろしていると、後ろから、サラスのタックルを食らってしまった。

 別に気は抜いてはいなかったが、気配が隠蔽されていた。

 恐ろしい子だ。


 ざっと説明し。この後は、魔人族領へ行くことを伝える。


 宰相のプリメールを見つけたので、いきさつを説明する。

 一緒になり、王を捕まえる。

「そう言う事なので、行きましょう」

 と、宰相が、王の手をつかむ。


「端折りすぎだろう。そう言う事って、何が……」

 まで、王が叫んだ所で、一緒に転移をする。



 魔人族領。王城の一階。

 フロアに転移すると、サラスが走って行く。

 先ぶれを、してくれるようだ。


 久しぶりに、ジュスティーツィアの顔が見えた。

 一緒になって、王の私室へ向かう。


「久しぶりじゃの。カミオ殿」

「御無沙汰しております。パズズ王」

「してそちらは?」

「ああ、獣人族の宰相。プリメールと、王……あれ?」

「魔人族の王。パズズ殿。私は獣人族の王。レイ・オーメン・フェーラと申します。よろしく」

「魔人族の王パズズ・ヴァティーだ。こちらこそ、よろしく頼む」


 とまあ。一応、にこにこと握手をしている。

「さて。そろったから、行くぞ」

 と、言って、転移。



「ここは?」

 皆が、少しあたふたしているので、説明する。


「そう言うことで、ヒューマンの主導を握っていた聖国は、事実上滅んだ。それでここは、ソレムニティー王国の王城だ」


「そうかそうか。あ奴ら滅んだか」

 獣人族は今回絡んだし、魔人族もちょっかいをかけられていたしね。声が揃ったよ。


 宰相のプレミエが、騒ぎを聞きつけたようだ。ノックをして入って来る。

「これは、カミヨ様。お早いおつきで」

「すまない。幾度も説明をするのが、面倒なので、先に集めてしまった」

「すぐに。お茶をご用意いたします」

 そう言い残し、出て行ってしまった。悪いことをしたな。



「王様。すでに控室へ、カミヨ様はじめ、皆様が御越になっています」

「なんと。顔を出そう。話を済ませて。食事もいいかもしれん」

 と、バタバタとし始める。


 宰相と侍女だろうか? ワゴンに乗せたティーセットを持ってくる。

 それに遅れて、王トゥランが、顔を出す。


 2人の王を紹介して、挨拶合戦が始まる。


 頃合いを見て、趣旨を説明する。

 獣人族の王と魔人族の王は、それを聞き。なるほどと納得をする。


「そうですか。まさか女神が、よその世界に迷惑をかけているとは」

「それで、これから。どうなさるおつもりですか?」

 魔人族の王パズズが聞いてくる。


「まあまず。女神の居場所の特定と、俺の力の把握。それとランパスの超古代文明跡。その探査かな?」


 周りから、

「そうですな」

 という声と、

「まだこれで、力を把握できていないとは……」

 と言う王。トゥラン。


「現実的には、ランパスの超古代の文明跡の探査をしながら、能力は把握すればいいと思っている。それに、きっとどこか。女神の居場所への手がかりもあるだろうしな。昔の神は、ハイヒューマンと一緒に、邪神を滅ぼしたと聞いている。それなら神のいる所との、つながりを記したものくらいは、あるんじゃないかと思ってな」


「私も、婿殿の為に。何か手がかりがないかを、探してみましょう」

 魔人族の王。パズズが言ってくる。


「婿。婿だと?」

「ああ。そこのサラスは我が娘。カミヨ様にお仕えするために、お側に置いて頂いておる」


 ほかの二人がぐぬぬと悔しがっているが。このままだと娘や誰かを押し付けられそうだ。手を打っておこう。

「そんなことは、気にしないでくれ。サラスは自分の意志で来たんだよな」

「はい」


「だが。娘は、カミヨ様のお力で、ハイヒューマンになった」

 まだマウントを、取ろうとしているな。


「パズズ王。いい加減にしてくれないか。俺としては3種族仲良くが望みだ。それに種族において、上も下もない。ひょっとして、理解してくれないのか?」

「いや。うむ。そうじゃな」


「と、言うことで、3種族において、諍いをなくし、技術交流をして。共に発展して頂きたい」


「「「それについては、異存はない」」」


「なにか、調印とかするのか?」

「調印が何かは分かりませんが、魔法の宣誓書がございます」

「お三方。これに宣誓と魔力を込めてください。見届け人のカミヨ様は、3人の宣誓の後に封印と実行のため、魔力をお願いいたします」


「カミヨ様。実行の魔力は、魔力量により効果が変わります。あまり膨大なものを入れると国が滅びますので、軽くでお願いします」


 王たち3人が紙? 羊皮紙か?それに触れて、同時に『3種族において諍いをなくし、技術交流をして共に発展してしていくことを宣誓する』と言うと、一瞬紙が淡く光り落ち着く。


 それを巻き。封蝋をして、俺に差し出される。

 それをつかんで、少し魔力を流すと、なぜか、黄金色に光輝く。


「これは、破れませんな」

 宰相のプレミエが言うと、王トゥランが頷く。ほかの王はよく分かっていないようだが。

 宰相のプレミエが、

「この宣誓書は、実行されると普通。赤く光るのです。それで、約束を破った王が死ぬくらいですが。あれだけ強力で、さらに金色の光。国に、神罰でも落とされる気でしょうか?」


 そういわれて、俺は、慌てて言い訳をする。

「いや。おれは、軽くしか魔力を込めていないぞ」

「であれば、あなた様の神気が、何か影響したものでしょう。まあ、多分。約束を守ればいい事。些細な事でしょう」

 宰相はそう言ったが、各王は引きつっていた。

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