第5話 教会からの脱出と冒険?の始まり

 意識を集中し、建物全体の意識の動きを確認する。

 大体寝付いたな。


 ウロウロしているのは防犯の警備か?

 こいつらは仕方がない。

 基本的に、こちら側には人があまり来ないようなので、早速行動を起こす。

 半地下だから、寒くて仕方がない。

 早く出よう。


 正面には、流石に門番が居て、詰め所まで有る。

 それに、正面側は道が直線で見通しも良い。

 パスだな。


 くるっと探査すると、こっちは空き地? そっち側に、3m程度の壁を越え飛び降りた。


 空き地かと思ったら、墓地かよ。

 土の上に四角い石が並んでいる。


 そのまま、山側に回り込み、稜線の低いところを目指す。


 さいわいに、ここは山脈の山麓。越えることができれば、逃げ切れそうだ。


 ただし目に見えて厳しそうな、雪さえなければだが。

 まじかよ。


 森林限界までは上らず、木の生えている雪の少ない所をひた走る。

 神様の与えてくれた、能力によるゴリ押しだ。


 すると、警戒のために広げていた探査に、何かが反応する。


 そこにとどまり、意識を飛ばして確認する。

 角の生えたゴリラ? が、立ち上がって鼻をヒクヒクしている。


 げっ。こっちが風上か? やばい。

 武器はないし、火は使えない。


 ラノベや漫画で見る、風のカッターはかまいたちを利用して切るんだっけ? えーと、どうすれば。

 空気を渦を巻かせて速度を上げ、一見士官や隊長用のザ○かグ○に見えるシルエットに向かって投げつけた……。


 当たる寸前には、速度が音速を超えたらしく、周辺の空気との摩擦。まあ寒いから氷の粒だろうが、俺の撃った魔法は稲光をまとい、衝撃波が起こった。

 敵の○フは死んだようだが、絶賛逃走中の状態で、あの音はやばいよな。


 倒したところへ行き魔石かな? 綺麗な石と角を手に入れ、そそくさとその場を後にする。


 走りながら悩む。

 静かに倒すための、風魔法じゃないのかよ。

 まさか音速を超えるとは、認めたくないものだな……以下省略。


 一応、教会の方に意識を飛ばす……。


 大丈夫そうだな、落雷と思ってくれたかな?


 途中、角の生えたうさぎが飛びかかってきたが、手に持ったマル○ブレード○ンテナで突き刺した。

 魚以外で初めての殺生。

 突き刺したときの手に伝わる感触に……。

 いやさっき、もっとでかいの殺したよね……。


 一応うさぎぽいから、食えそうだけど血抜きしないと臭いんだっけ? 首を切り、後ろ足を持って移動を開始する。


 って、血抜きを開始した途端、地面から根っこがこっちに突き出されてきた。


 畜生。

 もしかしてかの有名なトレントか? 結局火がいるのか? いや生木じゃなかなか燃えないよな。

 向かってくる根っこを、右手に持ったマ○チブレー○アンテナで切りさばき、根っこをかいくぐって本体に近寄り、幹にある顔に見えたくぼみの真ん中に突き刺した。その瞬間、くぼみかと思ったのが目だったようで、目の前で見開かれ驚いた。



 そのままでかい図体が倒れていく。


 倒れた。

 ううっ持って帰りたいな、なにかないのか? ええとよくあるのは、アイテムボックスとか亜空間収納庫。空間を拡張する? いや新たに空間を作ってそこに収納するイメージか……。

 肩から掛けているボディバッグをおろし、中身を一度マイバッグを広げ放り込む。 

 ここに来て、マイバッグのありがたみを感じるとは……。


 さてと、亜空間収納庫は難易度が高いから、魔法のバッグにしよう。

 このボディバッグの中に底を起点として、そこを中心として物が出入りするゲートを通り、俺が想像した空間に繋がるようにイメージして固定する。カバンの口は表面上通過するように見えるが、実はゲートを口の周りまで展開できるようにした。


 ここまで作成して、自分が作った空間が固定できているのなら、そこへ直接転移させれば良いことに気がついた。そばに倒れているトレントに手を当て空間に移動させるイメージを使うと目の前から消えた…… だよね。


 この宇宙に自分専用の空間を確保するのが、そもそも技術や理(ことわり)的にはまずい気がするが……まあ良いや、どうせいい加減な世界だし。


 後で、うさぎを焼くときに無から塩も生成できたし、胡椒は組成がよくわからないせいか作れなかった。


 さて、距離的にはここから教会とその城下? に広がる街は見えなくなった。

 一応一安心だが、ここから標高の高いところは森林限界なのか木が生えていない。


 森林限界はおよそ3000 m付近とされるが、そこまでは高くはない気がするので、地球とは条件が違うのかもしれない。

 すでに夜は明けている。


 木の無い所では望遠鏡でもあれば一発で発見だ。

 どこかで暗くなるまで休むか? それとも先を急ぐか……。


 幸いこの森は結構深いから、このまま移動という手もある。

 この大陸は人が住んでいるといったが、統治状況を聞くのを忘れたな。

 広さは分からんが、一国とは言うことはないだろう。


 ……よし、このまま山の裾野を回り込もう。


 適当に決めて飛び出して来たが、実はこの樹海は魔の巣窟と呼ばれている。

 大陸の外れ。

 両側にあるダンジョンまで延々と続く。

 またそこに現れるモンスターも強力で、地元の人間は近づかない。

 まあ教会から逃げるには、最適解だったとも言える。


 途中イノシシやうさぎを狩りながら、時たまゴブリンやスライムを狩り、順調に進んでいく。


 時たま見たことのないような鉄血の○ルフェ○ズに出てくるヘルム○ィーゲ・リ○カーのような、身長3mほどで、角が2本も生えた鬼が出てきて、ちょっと焦った。


 だがマスターした空間魔法で、右手に持った角を横薙ぎに振ると刃先の延長線上に空間の裂け目が伸びていく。

 その威力は強力で周りの木を巻き添えにすべてを切り飛ばし、開けた空間ができあがる。


 その後、角を[全空刀]と呼んで、切る技を[全断](決して全日本断○連盟ではない)と呼んで楽しんでいる。


 そして気が付けば、教会を抜け出し、すでに1月が経とうとしていた。

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