第5話 Café

 八時にセットしたアラームが鳴る前に目が覚めた。自分自身でも驚くほど『シャキッ』と目が覚めた。

僕はそのまま着替え、朝ご飯を食べに一階に降りた。

棚から食パンを取り出しマーガリンを塗り口に咥えた。ソファーに座りテレビをつけるとニュースのお天気コーナーがやっていた。

お天気コーナーのお姉さんが段々夏美ちゃんに見えてきた。

僕はきっと寝ぼけているからだと思い。顔を洗いに行きその後出かける準備をしていた。

時刻は9:10丁度いい時間だ。僕は買った革靴を履き、幼い少年のように玄関を飛び出した。僕は近くの金山駅に行き名古屋駅まで電車に揺られた。

集合場所に着き夏美ちゃんを探すが見当たらない。どうやらまだ着いてないようだ。

10分が経過した10:03、夏美ちゃんから着信がかかってきた。

『もしもし?雄介君もう着いた?』

『今銀の時計前にいるよ~』

『ごめん結構待った?』

『ううん、僕もちょうどさっき来たばっかりだから大丈夫だよ~』

『ほんと?よかった~。ちなみに何色の服着てる?』

『ベージュのセットアップ着てるよ!』

『あ、見つけた!』夏美ちゃんは通話を繋げたまま僕の左側から手を振りながら『雄介くーん!』と言いながら走ってきた。

実際に見る夏美ちゃんは、写真で見るよりも少しあどけないく小動物のようで守ってあげたくなってしまう子だ。

いざ会うと、頭が真っ白になって何も考えられないせっかく考えてきたプランがどこかに飛んで行ってしまった。僕は黙り込んでしまった。いつも賑わっているこの場所が今日だけは僕たちの貸し切りに感じる。

『まず、どこ行く~?』

沈黙を取り壊すように夏美ちゃんは言った。

『あ、えっと、夏美ちゃんはどこに行きたい?』

上手くろれつが回らない。

『なんでそんなに緊張してるの?』

夏美ちゃんは無邪気な笑顔で微笑んだ。

その瞬間僕は心が苦しくなった。今までにない感覚だった。ただ自分にもそれが何なのかはっきりとわからない。

『別に緊張してない!それでどこ行きたいの?』

『じゃあ、とりあえず前言ってたカフェ行きたい!まず色々話したいし!』

僕らはBUCYO Coffee KAKOに行った。

僕はコーヒーと小倉トースト、夏美ちゃんはカフェオレとチョコクリームぜんざいを注文した。

『夏美ちゃんって高校どこ行くか決まってる?』

『うーん、決まってないかな』

『雄介君は大学とか将来何になるとか決まってる?』

『僕は機械いじるのとか好きだから機械の開発者とかになりたい!』

『開発者ってすごいね!応援する!』

『ありがとう!』

いつもと変わらない何気ない世間話で僕たちは2時間弱盛り上がっていた。

ただいつもと違うのは目の前に夏美ちゃんがいて、一緒の空間にいられることだ。

 嗚呼、今日は幼い天使のようなその微笑みを目前としていられる。







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