第4話 鼓動
朝起きても夏美ちゃんとの電話の余韻がまだ残っている。
いつもなら朝は目覚めが悪く時々自分でも驚くほどに寝ぼけているのに、今日はとてもすっきりとした朝だ。秋だというのにまるで初夏のようにとても清々しい。
いつも通り夏美ちゃんに『おはよう!今日も学校頑張ろ!』とDMを送り登校した。
授業中、校庭に舞う紅葉をぼんやりと眺める。
『早く電話したいな』『早く会ってみたいな』なんてことを考える。
家に帰り電話をする20:30に向け課題などのやらなければいけないことに取り組む。僕は今日の通話の時夏美ちゃんを一緒に遊びに誘うか迷い考えた。
そして時が来た。
夏美ちゃんからの着信音が鳴る。僕は嬉しさの鼓動と緊張の鼓動の両方を感じながら『応答』を押す。
『もしもし?』夏美ちゃんの声を聴き僕はした。
夏美ちゃんの声が好きだ。聴き取りやすくおっとりと落ち着く、それでいて天使のように可愛らしい。
そう気づいた時、僕の心臓の鼓動は加速した。
『もしもし?今日もお疲れ~』
『雄介君もお疲れ様~』
断られる不安と恐怖があったが悩み抜いた末、今遊びに誘うことにした。
『いきなりだけどさ、明日か明後日空いてない?』
心臓が口から出そうと比喩する人の気持ちが初めて分かった。
『明日は空いてないけど、明後日なら空いてる!』
心の中で僕は全力でガッツポーズをした。
この後、25:00くらいまで話したが正直会えることが嬉しすぎて何を話したのかあまりはっきりと覚えていない。頭の中がずっと高熱を出したようにぼんやりとしている。そんな状態のまま電話を終えた僕は明かりを消し、布団に入った。
いつもより遅い時間に目が覚めた。10:00過ぎに起きて僕は買い物に出かけた。
僕は、明日夏美ちゃんに会う時の服を買いにショッピングモールに来た。土曜日なのもありいつもよりも沢山の人でにぎわっている。
服に無頓着な僕は店員のお兄さんにコーディネートしてもらい、ベージュのセットアップと黒のTシャツそして革靴を購入した。
家に帰り少し遅めのお昼を食べていると、夏美ちゃんから『今日の夜いつも通り20:30に電話で明日のこと決めよ~』とDMが届いた。
僕は嬉しさのあまり口元が緩むのがわかる。それを隠さんとばかりに口いっぱいにカップラーメンを頬張る。
部屋に戻り、僕は明日のために遊ぶ場所や、おいしい食べ物について調べる。明日のことを妄想しながら調べていると楽しくて仕方なかった。
時刻は18:30、調べだしてからもう3時間以上の時が流れていた。
『やばい!準備しなきゃ!』と思い電話する準備と明日出かけるための準備を急いでした。
何とか20:30までに間にあい安心していると、夏美ちゃんからの着信が鳴った。
『もしもし~?』
夏美ちゃんのこの言葉、何度も聞いているのにいつ聞いても新鮮な感じがする。
『もしもし~?明日どうする?』僕は聞いた。
『ん~、雄介君は行きたいところとかある?』
『BUCYO Coffee KAKOってカフェ気になってるから行ってみたいかな』
『そこ私も気になってるところ!行こ!』
『じゃあ明日名古屋駅の銀の時計に10:00集合で夏美ちゃん大丈夫?』
『大丈夫だよ!着いたら連絡よろしくね!』
『分かった!夏美ちゃんはどこ行きたいとかある?』
『ゲームセンター行きたい!』
『お!いいね!僕もUFOキャッチャー好きだし行こ!』
僕と夏美ちゃんの心がまだ会ってないけど通じ合っているみたいで僕の中で鳴り響いていた鼓動はより激しさを増した。
明日のことについて話していたら24:00を回っていた。
『それじゃ、明日楽しみにしてるね!』夏美ちゃんは少し眠そうに話した。
『うん!僕も楽しみにしてるね!おやすみ~』
『おやすみ~』
そして僕は鼓動を感じながら眠りについた。
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