第4話 幼馴染
部活動見学の次の日、授業が終わり帰宅の準備をし、俺は職員室に向かった。
ドアをノックして呼び出したのはもちろん佐々木先生だ。今日も可愛い。
「どうしたの〜?」
「いやちょっと聞きたいことがあって。」
「何を聞きたいの〜?」
「先生って何か部活の顧問とかしてますか?」
そう、俺は先生が顧問をしている部活に入りたかったのだ。理由は簡単、先生が可愛いから。
「今のところは何もしてないけど、作りたい部活があって〜」
何部なのか訪ねると先生は書道部と言った。どうやら先生は昔書道を習っていて、書道が大好きらしい。だがこの学校では部員4人以上で部活、3人以下なら同好会という扱いになっている。
「僕書道部入りたいです。」すると先生は目を見開いて子供のように喜んだ。可愛い。この部活にして良かった。いやまだ同好会か…。
「それじゃあ明日から早速よろしくね!」
「あ、はい!分かりました。」いや明日からって休だな。まぁいいや先生と2人きりの時間はできるだけたくさん過ごしたい。
帰る頃にはもう部活動終了の時間になっていた。下駄箱から靴を取り出して履いて歩き始めたときだった。後から俺を元気に呼ぶ声がした。
この声はまさか────。
「久しぶりだね!りょーた!」
「愛奈じゃん、久しぶり。」
森川 愛奈(もりかわ まな)。俺の幼馴染で幼稚園の頃からずっと一緒だった。受験期に入ってからはお互い関わる事が減ったのだが久しぶりに再開できた。元気なテニス少女。髪は基本的にポニーテール。
「あれもう部活入ったの?相変わらずテニス部?」
「今日は体験できた日だったから体験してきた!」
「そうなんだ、すごいな。」と褒めると愛奈は俺に向けて笑顔でピースサインしてきた。可愛い。
愛奈は家が隣なので帰りは一緒に帰った。
「高校生活は慣れた〜?」
「まぁ普通って感じかな。友達も結構できたし。」
「まぁりょーたはイケメンだし頭いいからね〜。そりゃ友達もいっぱいできるよ〜」
実は俺は自分で言うのもあれだが普通に頭が良いのだ。中学の頃は学年1位を3年間キープし続けていた。それに対して西宮高校の偏差値は決して高くない。中の中の上って感じだ。
俺がイケメンってことについてだが、これもたぶん事実だ。現時点でこの高校入ってからすでに6回は告白されている。全部適当なこと言って返事を先延ばしにしたが。まぁこの話はまた今度だ。
「りょーたならもっと良いところいけたでしょ。なんでこんなところ来ちゃったのよ。」
「そんなのこの学校の女子が可愛いって聞いたからに決まってるだろ。」
「え〜私と同じ高校に行きたかったからじゃないの〜」
「まぁそれもあるかもな。」なんて冗談っぽく言ってみた。
「そういえばりょーた今日も夜1人?」
「あぁ、父さんが忙しいからな。」
俺は父さんと二人暮しをしている。母さんと弟がいたが事故で亡くなってしまった。そのため父さんは仕事ばかりでなかなか帰って来れない。父さんの負担を減らすためにも俺は高校入ってからバイトを始めた。オシャレなカフェだ。
「じゃあ私が今日夜ご飯作ってあげるよ!」
「ほんとか、助かる。」
こうして俺は愛奈と一緒に自分の家に帰宅した。
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