第2.5話
僕は水無瀬透。僕の不幸続きの人生は、鎧武者に成ることができる青年・赤城山烈さんと出会うことで、一変した。僕は、自身が【アンチ】に覚醒した意味を探るために、烈さんと行動を共にしている。
僕たちは、メタルビーストの出現の知らせを受け、現場に向かっていた。
「さっきの質問の続きだ」
烈さんは移動しながら、説明をしてくれる。
「そもそも、メタルビーストは、元々は普通の動物だったんだ」
「それがどうして、あんな凶暴な獣になったんですか?」
「それがな、この世界にはメタルウイルスってのが蔓延っているんだ」
「メタルウイルス……?」
「ああ、そのウイルスのせいで動物たちがメタルビーストに成ったり、耐性を持たない人は記憶を失うんだ」
「それのせいで僕も一回記憶を……」
「ああ、それで、俺が前に住んでいたマンションの近隣住民や管理人さんも記憶が消えていたんだ。だがしかし、お前は【アンチ】に覚醒した」
「僕が……覚醒? あまり前と変わった気がしないんですけど……」
「正直、【アンチ】が記憶を失わない以外に、よくわかってないんだ」
「もうなんなんですか、それ!」
「なんで一回目は消えて、二回目は記憶が戻ったんですか?」
「ああ、単純に、二回目で抗体ができていただからだろうな」
「なるほど……そういえば、烈さんも【アンチ】なんですか?」
「いや、俺は【アンチ】じゃないぞ」
「えっ? じゃあどうして記憶が消えないんですか?」
「それは俺が【アースドライバー】を使って戦っているからだな」
「これがフィルターになっているんですね!」
「そういうことだ、あっ! いたぞ!」
【ビーストサーチャー】に導かれ、たどり着いたのは路地裏だった。そこには建物から建物へと飛び移る、化け猫のメタルビースト。
『アースドライバー』
『烈火』
「変身!」
僕がメモを書き留めている間に烈さんは、鎧武者へと変身する。
「あぁ……ちょっとまだメモが……」
「さぁ、焼き尽くすぜ!」
「よし!」
僕はメモ帳から銃へと持ち替えて、烈さんの援護をする。
鎧武者は化け猫に斬りかかるも、躱されてしまう。
「シャアアアアア!」
鎧武者の斬撃を躱した化け猫は、建物の壁を蹴り反動をつける。そのまま、爪を突き出し、鎧武者に突撃する。
「ぐわっ!」
「烈さん!」
僕は、烈さんを援護するために銃を構えるも、目にも止まらない速さで動き回る化け猫を捉えることができなかった。
「……大丈夫だ!」
そう言うと、鎧武者は再び化け猫に立ち向かう。しかし、素早いヒットアンドアウェイ戦法を取る化け猫に対して、鎧武者は全く反応できず、一方的に攻撃を受け続けてしまう。
「はぁ……はぁ……一撃一撃はたいしたことなくても、何回も受けるときついぜ……」
鎧武者はついに片膝をついてしまう。
このままじゃだめだ……僕が、僕が撃たなきゃ……!
しかし、一向に狙いが定まらず、僕は銃の引金を引くのを躊躇ってしまう。こうしている間にも化け猫は鎧武者にダメージを与え続ける。
「ぐあああっ!」
鎧武者はついに倒れてしまう。
「シャアアアア!」
化け猫の叫び声が轟くと同時に一瞬、僕の後ろから強烈な突風が吹く。突風に驚いた僕は目を見開く。その時、目には倒れこんだ鎧武者にとどめを刺すために飛びかかる化け猫が映った。僕はなんとかその一瞬を捉えることができたが、今から動くにはあまりにも遅すぎた。
アースアーマーズ 碧渡戊武 @Midorito_bob
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