巨獣の最後と事後処置

「〖分解〗!……あれ?止まらない?」



 俺はナノマシンでブルトーザーコイツを分解しようとしたが、なぜかナノマシンは動くことはなかった。



「くそっ!どうしたんだ!?……よし、一旦〖解析〗!」


〖D686ウルトラドーザー 個体名 ギガンドーザー   68/ 100  

 状況  ・AI自己防衛ルーチン切り替え中 

     ・他システムによる改造あり

     ・エンジン出力超過中、エンジン要換装

     ・車体上部および操縦室に異物あり、排除せよ排除せよ排除ジョジョジョジョジョジョjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjj〗



「うわっ!ヤバい!」



 左腕を計器パネルから離した直後、バチバチと激しく放電してきた、あと少し遅かったら丸焦げになるところだった……

 しかし、おかげで弱点ははっきりしたし分解できなかった原因も分かった。

 おそらく、はじめに分解したときのイメージは丸ごとバラバラにするようにしていたが、ナノマシンの量が足りなかったためできなかったのだろう。

 ということは、足りるところを集中的に攻撃する、これしかない……



「となると、狙うは出力の足りないエンジンだ!頼むぞナノマシン!〖分解〗!」



 俺は左腕を床に向けてエンジンをばらばらにするイメージを浮かべた、すると今度は左腕から煙が床の隙間へ向かっていった。



 Gugyaaaaaaaaaaaaaaooooooooooooo!!!!!!!



 さすがに自分の心臓エンジンをやられてはただでは済まないようで、ギガンドーザーは雄たけびを上げながら激しく暴れだそうとした。



「この!往生際が悪いぜ!追加でそのデカい足も逝っておけ!」



 俺はさらに足の付け根の部品が壊れるイメージでナノマシンを追加で放った、すると次の瞬間若干浮遊感があった後すごい衝撃が襲ってきた。



「ぐふぁっ!ぐえっ!い……痛ってぇ……これ絶対骨折れたわ……」



 体があちこちに打ち付けられたが、頭を腕でかばったおかげで何とか骨折程度で済んだようだ……こんな大冒険は二度と御免だがな!



 Gu……gyao……o…………



 いつの間にかギガンドーザーコイツも動きが少なくなっており、もはや死に体の様子だった。



「これで!トドメよ!!」



 ユウヒはそう気合を入れながら跳び上がり、胴体に向かってバールを投げつけた。

 バールは勢いを殺されることなく胴体の奥深くへ突き刺さっていった、と同時にバールが開けた穴から勢いよく放電が空中へと放たれていき、ついに巨獣は動かなくなったのだった。



「……死んだのか?」


「……多分?」


「安心しなさい、手応えはあったから仕留めたのは確実よ…ってちょっと!そんなことよりあなたボロボロじゃない!大丈夫なの!?」


「えっ?あ、ああ大丈夫、あまり痛みもそんなには…って痛ってぇ!痛たたたっ!痛みが今頃来やがった!」



 アドレナリンが無くなったのか、体中をあちこち痛みが襲ってきた、こいつはかなり重症なのか?!……ってなんかだんだん痛みが引いて行ってる気が……



「ユウタさん!お怪我はございませんか…ってきゃあああああ!ユウタさんが瀕死のの重体にぃぃぃぃ!?アリソン!早く怪我の処置を!」


「うっわ!これは大変っす!急いで取り掛かるっす!」


「……きゅぅ……」



 エミリーたちも合流して来て大騒ぎしているが、アリソンに救急処置の心得があるらしく見てくれるようだ、メリーナは俺を見た途端ショックだったのか気絶してしまった。



「あれ?見た目はひどいっすけど……骨も折れてないし、打ち身程度?みたいっすね…」


「そんなわけないでしょう!ああ…こんなに血が出てしまって…これはすぐ帰って治療所で処置いたしますわ!皆さん異論はありませんわね!」


「うう…ユウ兄力足りずにごめんよぉ…」


「ええ、装甲車組で先に帰って彼の治療お願いするわ…私たちは後から行くわ。」


「いや、みんなちょっと待ってくれないか?なんかだんだん痛みが軽くなってきてるんだけど……」


「いやいやユウタ君、こんな時にまで僕たちを気にかけなくて大丈夫さ…結果的に君の大事な体に怪我をさせてしまったんだからね……」


「……わかった、ただ目的は果たさないとだからね、メルとリーンを探してそれからフィルターを探して入手してから急いで戻るとしようか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る