機乗(無理やり)戦闘

「天井?何も無いみたいだけど?」


「はぁ〜んなるほどね、了解っと!」



 そう言うとホープは天井に向けて発砲した、すると天井に這っていた太いワイヤーだか配線だかが目の前に垂れてきた。

 ……ってちょっと待てよ?このシチュエーションって…

 ユウヒに向かって確認しようと口を開く前に彼女に抱き寄せられがっしりと彼女の右半身へ固定されてしまった。



「ちょ、ちょっと待て!ひょっとしてここから?!」


「あら、よく分かったわね、安心しなさいしっかり抱きしめておいてあげるから。」


「 」


「じゃあ露払いでお先に!」


 俺が絶句している間に、ホープはそう言うとワイヤーを掴んでその身を空中に踊らせ、向かっていってしまった。



「さて、こっちも行くわよ。」


「はっ!待ってくれ!まだ覚悟決めて…」


「決めなくてもいいわよ、勝手に持って行くから」



 そう言うとユウヒはそのまま手すりをジャンプして乗り越え、俺ごと空中へ飛び出したのだった。



「うわぁぁぁぁーーー!!!!」


「舌噛むわよっと!」



 ダンッ!と凄い音を立てて壁面を脚で蹴り上げて勢いを殺し、ユウヒと俺も無事にブルドーザーの側面にある足場に取り付くことが出来た。



「うぅ…し、死ぬかと思った…」


「そんくらい文句言えるなら大丈夫ね、ほら!とっととあなたの仕事に掛かりなさい。」



 そうだった、ここからまだブルドーザーコイツを何とかしないと…

 しかし、ガチャガチャと音を立ててさっきのカメラ蜘蛛みたいなのが群がってきた。カメラの方と違うのは、カメラの代わりに二股に別れた部品があり、そこがバチバチと放電していることだった。

 見ただけで相当電圧がありそうなので、もし当たった時は丸焦げになってしまうだろう…



「ユウタ君!ここは任せて操縦席へ向かってくれ!」


「デカいトカゲの体に寄生虫!?ホント面倒くさいわね!」



 ホープは向かってくる電気蜘蛛を撃ち落とし、ユウヒが近づいてくる奴をバールで殴り飛ばしてくれたお陰で足場の先へ行けるようになった。



「これならいける!ありがとう!」



 俺はそう言うと、足場の先にある操縦席らしきところへ向かっていくが、途中で前方にまた電気蜘蛛が数体現れて進路を塞いでしまった。

 くそっ!こいつらうじゃうじゃいやがる…ユウヒとホープは後ろから群がる蜘蛛たちを撃退していてこっちにはこれなさそうだ…どうすれば……

するといきなり目の前の電気蜘蛛が頭から弾け飛び足場から落ちていった、見回してみると地上にある瓦礫の陰からスコープを付けた小銃を構えたメリーナがいた、彼女が装甲車から降りて援護をしてくれていたようだ。



「メリーナ!絶対ユウタさんに蜘蛛を近づけさせないように!アリソン!しっかりこの巨獣を引き付けなさい!」



エミリーが大声で指示を出す声が聞こえてくる、ここまで支えてもらったならば俺も男だ、仕事はきっちりやってやる!



「うおぉぉーーーーー!」



俺は気合を入れるように大声を上げて走り、操縦席に飛び込むようにして侵入しドアを閉めることに成功した。

ドアの向こうから電気蜘蛛がバチバチ音を立てながらドアを壊そうとしてくるが、かなり頑丈なのか手段が乏しいのか分からないが入ってくるような様子はなかった。



「よし!ナノマシンで中からこいつを〖分解〗してぶっ壊してやる…ここまで大暴れしたんだ…覚悟しやがれ!」

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