巨獣現る

「ブ、ブルトーザー!?どうなってるんだ?」



 俺は敵を確認しようともと来たルートを途中まで戻り、入口のほうを見てみた…

 すると…



「なんだこりゃ!?でかい…!!」



 バスの全長ぐらいの鉄板を全面に装備したとんでもなくデカい車体の両側から恐竜みたいな形をした機械の脚が生えているブルトーザーにメルとリーンが攻撃を加えているが装甲か車体が頑丈なのか全く聞いていない…!



『クソっ!こいつ硬いぞ!』


『私のミニガンコレじゃあ刃が立たないよぉ!』


「皆下がれ!コイツでもくらえぇ!」



 オルヌが炎を出してブルトーザーを焼き尽くそうとしたが、炎に包まれても全く効いたように見えない…!



「なんて奴だ…多脚戦車ならぬ多脚ブルトーザーってか!?」



 入口の方からもエミリー達が攻撃しているようで銃撃が加えられているが、機関砲も効いている様子はなかった。



「ガッデムですわ!35ミリなんてコイツの前では豆鉄砲ですの!こんな事なら155ミリ自走砲に乗ってくるべきでしたわ!」


「お嬢!こっちは一発食らったらアウトっす!走り回るんで捕まってくださいっす!」


「…こんなの相手じゃ手持ちの歩兵火器じゃ駄目…今は逃げに徹するべき…」



 エミリー達は攻撃を受けないように回避を優先しているようだった

 そうこうしているうちに、奴は脚を持ち上げ胴体を地面に着けてしまった。



「コイツ何を?……まさか!皆ソイツから離れろ!」



 Gaaaaluooooooooo!!!



 雄叫びを上げながら胴体に付いているキャタピラを回転させたのかその場でものすごい速さで回転を始めた!



「うわぁっ!この巨体で超信地旋回とかなんてデタラメな!?」



 ユウヒ達は弾き飛ばされてしまったが、幸い距離を取ることが出来たようだ、ユウヒは制御室の近くの壁に激突しているようだった。

 俺は急いで駆け上がり、ユウヒの状態を確認した。



「ユウヒ!大丈夫か?!」


「あぁ!全くもう!せっかくの服が台無しじゃない!」


「……大丈夫そうだな。」



 見た目は少々の擦り傷くらいで負傷は無かった…服はボロボロで目のやり場に困る格好になってはいたが…



「しかしユウタ君とんでもないのが出て来たけど、撤退する方がいいんじゃないかい?」


「はぁ?!冗談言わないで!この私がコケにされたのよ!落とし前つけないと気が済まないわ!」



 ホープも合流して撤退案を出してくれたが、ユウヒはあのデカブツを仕留めないと気が済まない様だ。



「でもどうするんだい?いくら紅霧と言われたアナタでもブルトーザーアレの相手はキツくないか?」


「……ちょっと!戦前技術で何とか出来ないの?!」


「えぇ~!アレをどうにかするってか?!」



 見れば唸り声に聞こえる機械音を出しながら再び脚をつけて周りを探し回っているようだった。

処理場の出入口が大きかったのは奴が自由に出入り出来るようにするためだったのか?



「…相手は生き物っぽい動きしてるけど機械には違いない、車体に通路みたいな所があるから取り付いて操縦席みたいな所に行けば左腕コイツで停止させられる……かも?」


「そ、そんな!ユウタ君危険だよ!ここは僕たちに任せたまえ!」



ホープはそう言うが、かと言って逃げようにもバイクやら軽トラは反対側の出入り口だし、歩きなんて追いついて踏み潰してくれと言わんばかりだ。



「ふーん、取り付けばどうにか出来るのね?」


「あ、ああ…恐らくは?」


そう答えると、ユウヒが天井を指差してホープに指示をした。



「そこのカウガール、天井の撃ち落として垂らしてくれる?アレであのデカブツに乗り込むわよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る