これは所謂ナンパでは?
「わざわざ荷物運んでもらって申し訳ない。」
「いやいや!全然大丈夫!アタイ鍛え上げてるからね!」
「…なんでリーンちゃんが張り切ってるのぉ?私もユウタさんと話したいのにぃ!」
あの後お互い自己紹介をして、店主から見つけた場所の情報を聞いた俺は材料に使えそうなガラクタと修理したらかなりの金額になりそうな使えない銃器を慰謝料代わりに(この2人が張り切って)巻き上げてそれを運んでもらっていた。
「でも…こんな使えない銃とガラクタをもらってもよかったのかい?あの野郎結構貯めこんでるから金でもよかったのに…」
「そ、そうですよぉ…ユ、ユウタさん優しいからその優しさに付け込んでくるノマがいるからぁ…思い切りヤっちゃって大人しくさせといた方がいいと思いますぅ…」
心配してくれているのは分かるが…あまりこちらの能力を話す訳にもいかないからな…
そうこうしている内に市場の入り口辺りに着いた、取りあえずここまででいいだろう。
「二人ともどうもありがとう、ここまでで大丈夫ですよ。ここでツレが来るのを待ちますので…」
「いやいや!アタイら暇だから荷物このまま宿まで持っていくよ!なっ!メルもそれでいいだろ!」
「えぇ~、でもぉ私達見回りのお仕事途中だし…それにリーンちゃん今度お仕事ほっぽり出したら先輩に大目玉だよぉ!」
「グッ…そ、それは…」
やっぱりこのコンビは、リーンの方は直情タイプ、メルの方はしっかりしてるみたいだ…このままいけば2人と離れてから材料を取り込み出来そうだ。
「なのでぇ、私達お仕事午前中だけだから、ユウタさんは私達とお昼ご飯を一緒に食べちゃいましょう!」
「おお!その手があったか!」
…そう来たか…
「…いやいや、ツレが来ると思うから…」
「わ、私達ちょうど今日お給料貰えるからご飯奢りますよぉ!」
「そうそう!アタイも出すよ!」
このままでは強引に連れていかれそうだな…それにPA乗りと言っていたし、ちょうどいいな
「分かった、ツレが来たら一旦宿に荷物を置いて合流しよう。待ち合わせ場所は何処に行けばいい?」
「マッマジかよ!じゃあ、ストレイ・キャッツっていう酒場があるんだけど、そこに来てくれ!」
「やったぁ♪ユウタさん楽しみにしてるから絶対来てねぇ!絶対だよぉ!」
「おい!メル!こうしちゃいられねぇ!すぐに行くぞ!」
「あっ!まっ待ってよぉ!リーンちゃん!」
2人は騒がしく市場の方へ走っていった。
…あれ?これは所謂ナンパされた事になるのか?
何故かナンパする方ではなくされる方になってしまったが、取りあえずユウヒ達が落ち着いた頃だろうと思うので、一旦戻って…
「そこの素敵な殿方!この私、エイミー・エイブラムスとこれからお茶会をする栄誉を与えますわ!ついていらっしゃい!」
いきなりそんなことを言われそちらの方を向くと、金髪の俺より少し小さいキチンとした軍服?迷彩服?を来ている女の子がいた。
顔は真っ赤で目には涙を貯め今にも泣きそうで俺の方に差し出された腕は手の先までプルプル震えている…チラリと彼女の後方へ目を向ければ、タイヤの付いた装甲車の回りに2人の女の子が心配そうにこちらを見ていた。
…これも広義ではナンパになるのか?
「…あー、ちょっとこれから会うツレがいるんだが…」
そう言うとガーンという表示が見えるみたいに彼女が目に見えて落ち込んだ…
「そ、そうですわよね…人生初めての殿方を誘うことなんてやっぱり無理だったんですわ…あぁ…メリーナとアリソンの言う通りに止めておけば…」
……まあ、なんというか同情8割だが、もう2人とも昼ご飯の約束してるし申し訳ないが一緒に済ませてしまおう。
「ああ~、そういえば荷物が結構あるんだよなぁ~、宿に運ぶのも大変だなぁ~、誰か親切な淑女の方がいないかなぁ~」
「!!!そ、それなら是非ともご一緒しましょう!その後は一緒にお茶でもいかがかしら?!」
あっという間に明るい表情になった彼女は停めてある車両の方へ走っていった。
「う~ん、騙して悪いけどいい思いもさせるから許してねで通ることを祈ろうか…どうにもならなかったらアグラーヤを頼るとしよう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます