見つけた手がかり
振り返るとそこにあったのは、メロン…いやスイカ並の胸部…いやいや違うだろう…吸い寄せられてしまう視線を名残り惜しいが少しばかり上にやると、タレ目のふんわりした雰囲気な美人さんがこちらを心配そうに見下ろしていた。
「そ、その拳銃は不良品です!撃ったら指が吹き飛んじゃいますよ!」
「グッ…な、何をいきなり言うんですかぃ!失礼な!」
見ただけで不良品と見抜くとはこの美人さんも手練れみたいだな…
「じゅ、銃口の先に錆が見えてます!あと、遊底部が変な所で止まってます!不良品と一目で分かりますよ!こんな物売りつけるなんて最低です!」
「…おまけにお釣りに出したこのカード、ガワだけだから使ったら俺がとっ捕まる事になるな…」
俺が美人さんの後さらに付け加えると、店主は動揺を隠しきれなくなっていた。
「ゲッ?!な、なんで…!あ、いや!そ、そんな滅相もない!あっしは、そ、そうあっしも知らなかったんですよ旦那!」
嘘をつけ…バレなかったらシラをきっていたくせに…
「おいおいボリクタぁ、お前またアコギな商売やってんなぁ…」
その時もう一人美人さんが店の中へ入ってきた。
今度はベリーショートのボーイッシュ系だったが、この人も負けず劣らずな胸部装甲を持っていた…って違う違う!失礼なことはしちゃ駄目だろう…
「あっ、リーンちゃん!」
「よお!奇遇だなぁメル、それとイケてるお兄さん、間一髪だったね」
リーンとメルと言うのかこの二人は、まぁ端から見たら俺はいいカモだったんだろうな…
「いっ、市場で見かけて、子供について行ったから危ないなと思って!あっ!べ、別につけてた訳じゃなくて!」
「いや、危なっかしいのは分かりますよ。助けて頂いてありがとうございます。」
俺は素直にお礼を伝えた。不良品とは気づいていたが、彼女には分かるはずもないしこちらを心配する気持ちは本当のようだったしな。
「あ゛?!も、もしや、ほっ【歩兵連盟】の?!」
「おうよ、あたいもこっちのメルも泣く子も黙る
そう言うが早いかリーンは片手で店主の胸ぐらを掴むとそのまま山積みになったガラクタの方へ放り投げた。
「ギャア!……グエッ!……グハァ!」
放り投げられた店主は背中からガラクタの山に当たって下に落ち、そこに崩れたガラクタが乗っかってしまった。
「く、苦しい…痛いぃ…助けてぇ…」
「ああ、助けてやるよ!そら!」
そう言うとリーンはまた店主の胸ぐらを掴むと片手でそのまま持ち上げてしまった。目算80キロ超はあるのを簡単に持ち上げるとは歩兵といっていたが鍛えているのかデザだからかなのか……ん?あれは?!
「さぁて、ウチ等とこのお兄さんへのオトシマエどう付ける気なんだ?」
「ぐ、ぐるじぃぃ……」
「だ、ダメだよリーンちゃん!きちんと有り金と使えるもの根こそぎ慰謝料でもらっとかなきゃ!」
メルと呼ばれたふんわり美人さんもやっぱり物騒な事を言っているなぁ…
デザの女性は過激な性格が多いのかな?
「あー、すまんがリーンさん?店主を降ろしてやってくれないか?ちょっと聞きたいことが出来たんでね。」
「へぁ?!は、はい!了解でっす!」
「ガハァ!」
いや、持ち上げたまま手を離してとは言ってないんだが…まぁいいか。
俺は咳き込む店主に近づき話しかけた。
「さて、ボリクタさん?ちょっと質問に答えてくれ、素直に教えてくれるなら不良品売りつけようとしたことや偽金のお釣りを渡そうとしたことも工場長には言わないでおくよ。」
「ゴホッ!ゴホッ!あ、アンタ工場長に面識あるのか?!」
「まあね、一応客人さ。では質問だ、アンタがぶつかったガラクタの山から出てきたこのパイプ付きの部品なんだが、アンタこれどの辺りで拾ってきたか教えてくれないか?」
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