やはりそう簡単にはいかない
奥から出てきたのは丸顔で人の良さそうな、それでも目はこちらを値踏みしている油断ならなそうな人物だった。
「おお!旦那さん!いらっしゃい!私はこの店をやっているボリクタってもんだ!ここには栄養保存食からバズーカ砲まで何でも揃ってるよ!さて、何をお探しで?」
確かに、ガラクタに混じって銃器や木箱が所狭しと置いてあるが、探しているのはフィルターなので特に所用は無いんだよなぁ…
「あー、店主さん…悪いんだが目的のものは「おや?!旦那ぁ!見たところ武器の一つも持ってないなんて不用心ですよ!よし!ここは取って置き!旦那にビッタリのもの持ってきますよ!少々お待ちを!」…あちゃぁ…」
これは厄介な店に来てしまったな…何とか穏便に行きたいところだが…
「さあ!お待たせしました!これこれ!こいつはどうですか?!」
そう言ってボリクタが出してきたものは俺でも見たことのある拳銃だった。見たところの状態は良さそうだ。
「こいつは旧国防軍で使用されてた9ミリ拳銃でさぁ!状態は中古ですがなかなかですよ!こいつに弾を3マガジン分付けて5万Payと言いたいんですが!アイツにわざわざ案内されたっていうことも含めて1万Pay!こいつはお買い得ですよ!」
俺は左手で銃を取り〖解析〗してみた
〚9ミリ拳銃 固有値 86 / 100
状態 ・銃口内磨耗(微小)
・機関部手入れ要あり
・状態概ね良し 〛
ふむ、中古品ならこれはいいんじゃないか?
だが、俺は銃を持ったこともないしましてや撃ったことなんて無い…生兵法は大怪我のもとだ…
「これはいい銃だと思う、だけど…「おお!さすが旦那!お目が高い!よし!こいつもサービスだ!10Payする栄養保存食も付けちゃうよ!」いや…ちょっと?」
ボリクタはそう言うと拳銃の横に山盛りのカ○リーメイトをドサドサ出してきた。おかけで拳銃は埋もれてしまった。
「おっと!こいつはいけねぇ!すまねぇ旦那!ちょいとおっちょこちょいなもんでね!勘弁してくんな!」
そう言うとボリクタは出しすぎたカロ◯ーメイトをしまい始めたが、何かいちいち動きが大げさ過ぎる…
「……支払いはこれでいいか?」
俺はアグラーヤからもらったカードを見せた。
「!!!はっ!はい!もちろんでさぁ!それでは品物とお釣りです!」
ボリクタはそう言いながら俺の見せたカードよりも半分くらい小さいカードを拳銃の横に置いた。
……何か変だな?ちょっともう一度見てみるか…
俺は再び拳銃を〚解析〛した。
〚9ミリ拳銃 固有値 3 / 100
状態 ・銃口内部錆磨耗(極大)
・機関部錆(極大)
・状態 使用不可 〛
このクソ野郎…!いつの間にか不良品とすり替えやがった…!
となるとこのお釣りも…
〚5万PAYカード 固有値 62 / 100
状態 ・内部データ無しの為使用不可
・使用時貨幣偽造となる可能大 〛
くそっ!危うく騙されるところだった…案内してきた小僧もグルか…しかもあの小僧いつの間にか消えているとなるとこいつらは常習犯だな?
「あのなぁ店主さんよ、あんまり「そっ、そんな物買っちゃ駄目ですぅ!だっ、騙されないで下さぁい!」…えっ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます