ジャンク・ヒルズへ

「ジャンク・ヒルズ……」



 名前からして、ゴミが多そうだ……そうなれば材料には事欠かないということだろう。



「このあたりだと一番デカい街さ、その名の通りゴミが丘ぐらい積みあがってそこで昔の物資を再生したりゴミ山から探したりで暮らしてる人間が集まってできたんだよ、まあほかにも小さい集落もあちこちあるけど、買い物は大概ジャンク・ヒルズに行けば何でもそろうよ、ねキシシシ!」



 オルヌがそう教えてくれた。やはり予想してた通りか……



「なるほど、そこならフィルターの純正品が見つかるってことか、壊れていても俺の能力で直せばいいと。」



「ええ、とにかく材料がないとあなたのその能力も使えないんでしょう?なら、材料がたくさんあれば自作でも使える部品ができる、そうでしょ?」



 ユウヒはそう言うが、農場に残っていたジャンクの山で軽トラと重機関銃を直したらきれいさっぱり無くなってくなってしまった、この能力は元となる材料をかなり消費するようだが、街にある材料が尽きてしまわないのだろうか……



「なあ、俺の能力で材料を作ると元のジャンク品とかをかなり使うんだが、ジャンク・ヒルズっていうくらいだからジャンクやらゴミやらがたくさんあるんだろうけど、ジャンクが無くなったら他の人間が困らないか?」



「はあ?…………プッ!アハハハハハハ!あなた本気で言ってるのそれ⁉」



「キシシシシシシ!ユウ兄ぃ~、それは無理ってものだよ、キッシシシシシ!」



 二人に笑われてしまった、そんなに笑うほどのことか?



「あ~久しぶりにこんなに笑ったわねぇ、フフごめんなさいね、でもあなたの言ったことは不可能よ、可能だとしてもあなたがデザ並みに長生きしないと無理ね。」



「……そう言うということは、ジャンクは今も増え続けてなくなっていないのか?」



「ご名答、しかもあんなので運び込まれちゃあね、ほら10時の方向見てごらんなさい。」



 ユウヒに言われ、そちらのほうを見ると山盛りのゴミやらジャンクらしきものを積んだダンプカーが走っていた。



「うん?普通のダンプじゃないか、あれは……無人で動いているのか?」



「そうそう、大昔の人工知能がぶっ壊れた後今でも命令通りごみを運び続けてるんだってさ。」



 オルヌにそう言われたが、それならあのダンプを破壊すればいいのでは?



「あなたの考えてることは無駄よ、今までそれを試そうとしなかったやつがいると思う?」



「何か理由があるのか?」



「フフ、なら答え合わせと行きましょうか。」



 そういうとユウヒはハンドルを切り、ダンプへ軽トラを近づけていく進路をとった。そして、ある程度近くまで来て俺はその理由を悟ったのだった。



「いやこれでかすぎだろ!」



 そこにいたダンプは目算で10メートル近くは高さがあり、その車体から何本もの銃身や砲身が見えていた。



「うっわぁ……こんなでかくて重武装したのとはドンパチしたくはないな。」



「でしょう?それにこれを壊せたとしても新しいのがどこからかまた来るから壊すだけ無駄なのよ。」



「なんでも、昔のキギョウってやつでオオマツだかが作ったらしいけど定期的にしか来ないから今ではほっとくほうがいいってなってるんだ、キッシシシ。」



ああ、おそらくあの会社だろう、となると鉱山用の車両か?こんなのがちょくちょく来るなら材料には事欠かないと考えていいだろうな。



「わかったなら、少し飛ばすわよ、日が落ちる前には街に入りたいからね。」



ユウヒがアクセルを踏みスピードを上げるとダンプは後方へと置いて行かれ、普通のサイズになった。



「あのダンプの進路がジャンク・ヒルズって訳だ、ならもう少ししたら着くのか?……ん?じゃあなんで着くまでに時間がかかるんだ?」



そう疑問を口に出したら、オルヌが答えてくれた。



「……違うよユウ兄、着くまでに時間がかかるんじゃなくて、着いてから時間がかかるからユウヒは急いでるんだよ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る