街へ行こう

「いやぁ、快適快適♪久しぶりに軽トラコイツに乗ったなあ」


 オルヌが荷台でそう言っているのを聞きながら、俺は軽トラの助手席に座っていた。


 運転しているのはもちろんユウヒだ。


 そのユウヒといえば、見てわかるくらい超絶不機嫌であった、理由は言わずもがな。昨日のオルヌによるがエキサイティングしてしまったせいで出発が大幅に遅れたせいだった。現在時刻は11時過ぎ、目が覚めて見たのはスヤスヤ隣で寝ていたオルヌと冷え冷えした目でこちらを見つめながら立っていたユウヒだった。



「あー、今朝はすまなかった。もっと早く準備出来たら良かったんだが…」



「……別に、しょうがないわよね」



 めっちゃ怒ってるなぁ……やっぱり断っておくべきだったかなぁ…しかしあの場面で断れるかと言われると……



「キシシシシ♪ユウ兄気にすんなって、ユウヒは怒ってるんじゃなくて拗ねてるだけ……アイタ!…グア!…グオオオ!……」


 後ろにある窓から顔を出してそんな事言ってきたオルヌが、ユウヒに裏拳でパンチされたあと後頭部を重機関銃の台柱にぶつけたのか呻いていた。


 余計なこと言うから……



「と、ところでこれから向かう街ってのはどんな所なんだ?取水装置のフィルターはありそうなのか?」



「……それに関しては大丈夫よ、あそこにはあらゆるものがあるから…」



「アイタタタ…ユウヒ!何も殴ることないでしょ!」



「うるさいわよオルヌ、ほら8時方向から【三ッ犬】の群れが来たわ、とっとと追っ払いなさい。」



「わかったよ…まったくもう…よっと!」



 そういうとオルヌは重機関銃の槓桿こうかんを引いて弾を入れ、何時でも撃てるようにしていた。

 その向こうから10頭以上いる犬のような生き物が走ってくるのが見えた、普通の犬と違うのは首が3つあることと目がバ〇オハザードのゾンビ犬みたいに白目で逝ってしまっていることだった。


 ナノマシンのおかげで視力も上がっているようだ、今判明したのはありがたくなかったがな……グロ映像見たおかげでよいそうだ……



「ユウ兄!しっかり耳塞いでなよ!…てぇーー!」



 そういうと同時に腹に響く轟音の銃声が響き渡り、群れの何匹かを吹き飛ばしていた、と同時にある程度知能があるのだろうか、【三ッ犬】の群れはこちらを負うことをやめ逃げて行った。



「ふぃ~、対処終わりっと!ねぇユウ兄見てた?見てた?私もやるでしょ、キッシシシ!」



「ああ、見てたよ、この辺はあんな化け物ばっかりなのか?」



 それなら車がないと移動できないが、この軽トラ壊れていたのに二人はどうやって移動してたんだろう…



「あの犬っころは荒野の掃除屋、こうやって車で移動してる人間や死んだ生き物の肉を漁ってるわ、ほかにも中型の馬や牛、大型のサソリやトカゲみたいな生き物、まああなたからすれば化け物がウヨウヨいるわね。」



 本当にヤバい世界になってしまったのか…それでも人類は生き残っているのか…



「それだけじゃなくて、昔の機械が人間やら殺しに向かってきたりするよ?大概は荒野でお互い殺しあってるけど、遠くから見てやたら角ばってる物体は機械だからユウ兄は気を付けなよ?あっ!だったら何時でも私が一緒にいればいいじゃん!よし!解決だね。」



なんでそんなのまでいて人類生き残れているんだろう…ああ、ユウヒやオルヌみたいな【デザ】がいるからか、なら【ノマ】にとっては生きづらい世の中だ。



「…そんな奴らがうろうろしているならこれから向かう街は大丈夫なのか?生存できるって意味で…」



「そっちも問題ないわ、昔の工場やらがまだ稼働中で物資も豊富、それ目当てに【デザ】も【ノマ】も集まっているから、あの街【ジャンク・ヒルズ】にはね。」


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