覚悟を決めろ
さて……美人二人との楽しい会話で意識しないでいたが、俺の手元を見てみるとトカゲ肉は無くなったが、他にもいつ作ったか分からない缶詰や乾パン、謎肉で作った干し肉がデンとテーブルに鎮座していた。
体感時間一昨日までカップ焼きそばにコンビニチキンをかっ喰らって自堕落に過ごしてきた元大学生にこれは少々じゃなくキツいものがある、ちなみに昨日は腹の中身を出すとのことで下剤と栄養剤のタブレット並びに水しか飲んでいない。
目覚めてからはカ◯リーメイトっぽい保存食を食べただけ、そこにこれはなぁ………
「……ああ、すまんがこの夕食なんだが……」
「あら?冷凍されて久しぶりの食事なんだからなるべく良いもの出したんだけど、お口に合わないのかしら?」
「あ、ああそうなんだ、まだ内臓機能が本調子じゃないんだ。すまないがこんなのあれば出してもらえるか?」
俺は持っていたカ◯リーメイトをユウヒに見せた。
「えっ?あなたこんなのでいいの?……これ食べていればとりあえず生きていられるってものだから味と量がないからみんなあまり食べないのよ?」
「そうそう、せっかく肉とかあるのにもったいないぞ?まあもったいないからいらないなら私が食べようか?♪」
これこそwin-winってやつだ、ぜひとも食べてもらおう。
「そうか、ならお言葉に甘えてオルヌ、悪いけど食べてもらえるか?」
「しょうがないなぁ~、捨てるのもったいないしぃ~、頼まれたらのまれたらしょうがないからねぇ~、キシシシシ♪」
そういうが早いがオルヌは手を伸ばしてきてあっという間に自分の手元に俺の分を持って行ってしまった。
その光景をユウヒがジト目で見ていた。
すまないユウヒ、俺にはまだ覚悟が決められなかったようだ。
実際、早いとこなれてしまわないと食料は何とかあるのにわざわざカロ〇ーメイトを食べ続けている変人と思われてしまう。令和スピリッツからアップデートされていない俺にはちとキツイものがあるかもしれない。
……まあ、そもそも変人ではなかったらコールドスリープ実験なんてものには参加しないかという根本的なことはさておき……
気が付くとまたタバコの火が手元まで来てしまっていた。
このタバコもこの世界では貴重品なんだよなぁ…
そんな貴重品をスパスパ吸ってしまう俺はやはり変人の類なのだろう、明日町に行った時に売られているタバコの値段をを目にすると眩暈を起こすだろうと容易に予想ができるなとつらつら考えながらタバコを携帯灰皿に捨てると寝るためにベッドへ向かった。
今夜の就寝にあてがわれた部屋にあったのは穴だらけでボロボロだったが何とか寝られそうなマットレスがのっかった無骨なベッドだった。
「まあ、ぼろいけど毛布ももらったし、とりあえずは横になれるからもう寝ちまうか……」
「はい!ドーン!」
「うわぁ!」
いきなり後ろから押された俺はベッドに倒れこんでしまった。
急いで仰向けになるとそこにはニヤニヤ笑いながらオルヌが立っていた。
「キシシシシ、オニイサン油断大敵ってね♪、本気だったら今ので死んじゃってたよ?まあ、私たちがいるここに強盗や追剥なんて来ないけどねぇ♪」
そういいながら彼女はなぜかベッドの上に乗っかってきた。
「…なあ、なんでベッドに上がってくるんだ?そういう事ならずいぶんといきなりじゃないか?」
「キシシシ♪いいじゃないか、水も出るようになったしご飯も譲ってくれた、ならお礼をしてあげないと女が廃るってね♪まぁ、私もなんでかオニイサンと話していたらそういう気分になっちゃったからってのもあるけどね」
オルヌはそう言ってきたが、ずいぶんといきなりすぎやしないか?
「いやでも今日あったばかりだし…」
「もう!んじゃ私が、すっきりしたいから!はいこれでいいよね!もう文句は聞きませ~ん!キシシシシ♪こういう時は天井のシミ数えてなって言うんだっけ?まあいいや、それじゃ改めていただきまぁす♪あ、水浴びはしっかりしてきたから大丈夫だからね、キシシシシ♪」
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