水を確保せよ

 オルヌに案内されて着いた場所は、山積みのガラクタに隠れていたが見た感じはマンションの屋上にある貯水タンクに地面から生えたパイプがくっついていて、違う側面には大きめの蛇口がついているという至極簡単そうな作りだった。パイプの途中には箱がありそこが開くようになっているみたいだ。



「こいつで地下水をくみ上げてるんだが、さっきも言ったけど【ノマ】のオニイサンが飲んだらたぶん10分ぐらい苦しんであの世行きだぜ?あの世があればだけどな、キシシシシ!」



 オルヌがニヤニヤしながらそう言ってくる、近くにあったバケツにじゃ口を開けて水を入れてみると、蛇口からは水がちょろちょろとしか流れてこない、おまけに出てきた水は薄黒く、匂いも生臭いのとオイルの匂いが混ざったものがした。



「………こいつは確かに体には悪そうだな」



 となるとこの装置が壊れかかっているのだろうか。確認するには俺には水道関係の知識もなければ道具もない、哀れなる枚岡雄太君の物語はここで終わってしまった。



がなければそうなっていたかもな」



 俺はそう思いながら貯水タンクに左手を当てた。



「〚解析〛」



 すると、俺の視界にこの貯水タンクの現状が映し出された。



〚貯水タンク 固有値 10 / 100  

 状況  ・タンク内汚染物質固着 

     ・パイプ内汚染物質固着

     ・専用フィルター使用年数超過による劣化あり

     ・排出水汚染度93% 使用不適       〛



 うん、これはだめだね、俺に知識が無いから汚染物質の中身は表示してもらえなかったけど色々と手を入れないと水が確保できないな。



「?オニイサン何してんの?左手装置に当てたままで?そんなことしても機械は直んないよ、これがホントの手当てって?キッシシシシシ!」



「……君ギャグのセンスはないね、それよりもさぁ、その辺に山積みになってるガラクタというかゴミって自由に使っていいか?」



「キシシシシシ、何するつもりか知らないけどいいんじゃね?どうせ錆びだらけの使い道が無いよくわからない機械だし」



 言質はとった。ならやってやるか、ある程度使ってはいるがどこまでできるかを試すいい機会だ、新品同然にしてやるよ。



「ならば遠慮なく、〚分解〛」



 左手を向けてそういうと一瞬で2メートル近くあったガラクタの山が砂の山になってしまった。



「!?」



「おお、このくらいは一瞬で行けるのか、なら次は〚抽出〛」



 今度はそういうと砂の山から砂が集まってきて大小さまざまな大きさの球体が地面に転がり、残ったのは少しの赤さびた色をした砂だけだった。



「へぇ、錆びてたのは表面だけだったのか、これならいけそうかな?よし、〚含有〛」



さらに今度は球体が左腕に吸い寄せられるように集まり腕の中へ吸い込まれるように消えていった。



「さてお次は…「動くな」」



オルヌに視線を向けてみるとさっき持っていた槍をこちらへ向けていた、さらには今まであった軽い雰囲気もなく、こちらの一挙手一投足を油断なく警戒していた。



「ただの【ノマ】じゃなくて偽装した【デザ】か、まんまと騙されるところだったよ、ここに何の目的で来たんだ?油断させてユウヒか私の首取りに来たのか?どうなんだ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る